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台湾米について

2023-02-07 04:33:46 | 楽観農園


 台湾で日本人が作出したお米としては100年も前に台北帝国大学の磯永吉 博士の作出した台中65号という品種が有名である。蓬莱米と言われ、戦前には台湾から日本へ出荷されていた。そのお米の特徴はインディカ米とジャポニカ種の交配種で、亜熱帯地域の気候に適合した稲の品種だった。

 この交配は普通のジャポニカ種の交配と違い、なかなか困難な交配らしい。100年前にこうした交配を成し遂げ、台湾の農業改革に貢献した業績は、台湾では今でも語り継がれている。現在の台湾では、稲の改良が熱心に行われている。これは台湾の安全保障意識が高いためと考えられる。

 日本は食糧自給率38%の国で、安全保障から食糧確保が抜け落ちた国だ。台湾は食糧自給率83%である。そして、経済成長を続けていて、近々一人当たりのGNPでは日本を抜くことになる。最近の日本は台湾に学ばなくてはならないことばかりだ。

 現代の台湾では、日本米が美味しいということになった。インディカ米を食べていた台湾が、今はジャポニカ種のコシヒカリが美味しいというので作られるようになった。蓬莱米は作りやすい品種ではあったが、それほど美味しいわけではなかった。

 ジャポニカ種の稲の栽培が台湾では難しいといことは、今でも同じことで、亜熱帯でジャポニカ種を作ることは、十分には行かないことは変わりが無い。葉が13枚程度しか出ないはずだ。ただし、台湾には標高の高い地域があるから、気温的には石垣島よりもかなり低い。こうした地域ではコシヒカリを作ることが出来る。

 しかし、販売が有利と言うことで、今もそれなりの面積でジャポニカ種が作られている。スーパーでも日本のコシヒカリであると言う表示がなされて、売られていた。価格は台湾産のお米よりも大分高い。台湾現地で生産されたコシヒカリは越光米として売られていた。

 日本からの輸入のコシヒカリは価格的には台湾産コシヒカリよりも2,3倍は高い。やはり台湾ではコシヒカリが栽培不適地で十分には出来ないため、コシヒカリに粘り気が足りないと言うことになる。日本の味覚テストを受けた、台湾産コシヒカリがあるそうだが、点数は低かったそうだ。

 それは中国でも同じことで、中国ではお米が沢山必要と言うことで、やはりジャポニカ種とインディカ種を交配した多収米が作出されたのだが、味覚的に問題があった。やはり経済成長と共に、味覚重視となり美味しいお米の需要が伸びている。どうも食べ慣れてくると、ジャポニカ種の方に好みが寄ってきているようだ。

 多収だけを重視した新品種はどうしても、インディカ種の、粘りの無い味に近くなるようだ。そこで多収でありながら、粘り気のある程度在るお米というものが、中国や台湾では作出されるようになってきた。それが台南19号のようなお米なのだと思われる。

 台湾ではインディカとジャポニカの交配が盛んに行われている。そして、コシヒカリを味覚で凌駕したと、言われているものがでてきている。今回このお米を食べてみたかったのだが、明確にその品種と分かるような販売がされていなかった。台湾作出米では台南19号「芋見月光米」というお米が一番美味しいらしい。

 とはいうものの、コシヒカリが相変わらず高い価格で売られていると言うことは、台南19号に変わりつつあると言うことでもないようだ。やはり、まだコシヒカリの方が高くても美味しいので選ばれているというのが実態かも知れない。

 今度は最初から台南に行き、台南19号の生産者のところを尋ねてみたいものだ。蘭展の頃日程に都合が付けば行きたいのだが、今年の3月となるととても無理だ。来年と言うことになるだろう。どうなるか調整をしたいが。2月末が田植えなのだから、とても無理なことだろう。

 台南の農業者を訪ねる方法は分かっている。台湾にはレジャー農業という制度があり、お米の体験農場というものがある。そこに連絡を取れば、台南19号を作っている農家を見付けることが出来るだろう。そこのお米を食べてみたいと考えている。台南19号は商品名としては「芋見月光米」と言うことのようだ。

 これは確かに台湾のスーパーで売られていた。炊いて食べれるように今度は小さな調理用具を持って行けばいい。あるいは料理の出来るようなホステルを探せば良い。何しろお米を日本に持ち帰るには、許可申請が面倒くさい。禁止されているわけではないが、無意味に面倒な手続きが必要になっている。

 台湾でお米を食べてみるほうがいい。以前中国に行くときには電気釜を持ち込んだものだ。それよりも台湾へ行ってから、簡単な調理器具を買うのが一番よいかもしれない。それは持ち帰らなくても言い訳だ。台湾のお米がどんな味なのかは、色々炊いて食べてみる必要がある。

 もし美味しければ、持ち出しの許可申請を行えば良いのだろう。洋蘭の持ち出しについては、それぞれの業者が許可申請をしてくれるので、台湾で購入して、簡単に郵送処理が出来るようになっている。お米でも業者自身が輸出許可の申請をしてくれれば、簡単なのだと思う。

 それがあれば、日本に入るときに検疫所で簡単な申請をすれば可能になる。この辺のをクリアーしているお米の業者はないものだろうか。それがあれば、通販でも台湾のお米が年間100キロまで日本への持ち込みが可能になる。台湾のお米の業者にも利益がありそうだが。

 台湾のお米とはっきり分かるもので、今まで食べたところではこれは上手いと思うお米には出会っていない。台湾で美味しいと思うお米は日本の品種を食べていたと言うことはあるような気がしてきた。そう考えると、台南19号の味覚が日本人に合うかどうかはまだ未知数である。

 稲の栽培という意味では、インディカ種との交配種が石垣の気候に合うはずである。もう少し「とよめき」の栽培をしてみる必要がある。今のところ台湾の品種よりは「とよめき」のほうが美味しいと思う。とよめきをのぼたん農園で十分に作り込むことの方が先決である。

 台湾でなぜコシヒカリが作られているかと言えば、台湾には標高の高い稲作地帯もあり、気候的には九州ぐらいのところが在るからだろう。今年の石垣島は一年の最低気温が10度が一日在っただけで、後は13度まで。台湾では5,6度まで下がるらしい。

 まずはお米を十二分に育てる努力をすることだ。「とよめき」もまだ良く出来たわけではない。「とよめき」を満作に作り、その味がどうなるかである。まだ、とよめきが石垣で15枚葉が出るのかどうかすら確認できていない。葉が15枚出るなら、とよめきを作り込んで行きたい。

 どうなのだろう。石垣の熱研では15枚葉は出ているのだろうか。今度小林先生にその当たりのことも、聞いてみたいものだ。とよめきには8分の1インディカ種が交配されている。その影響が旨く出るならば、石垣島でも、15枚葉の出る栽培が出来るかも知れない。

 
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