蛙と蝸牛

本の感想。ときどき競艇の話。

なんでもありか

2011年11月26日 | 本の感想
なんでもありか(伊集院静 西原理恵子 角川文庫)

伊集院さんは、このエッセイシリーズで、常に競輪の選手や施行者を批判している。しかし、今でもギャンブルとしての競輪は楽しみにしているようなので、競輪のためを思わばこそ、なのかもしれない。

昔のエッセイではいくらか競輪選手をリスペクトするような描写(滝沢の猛練習とか)もあったけど、近頃は文句ばかりだ。(もしかしたら褒められるような選手が本当に皆無なのかもしれないが)見込みのありそうな選手や良かったレースのことももうちょっととりあげてもらいたい。


それにしても、あまりにも連載が長くなったせいか、文章を書くほうも、挿絵を描くほうも、有体に言っていいかげんすぎる。
著者自身が「誰がこんなエッセイ読んでるのか」と何度か述べているけど、身銭を切って本を買った者からすると、そんなこと言われるとせつなくなる。

そんな不満を抱きつつも買ってしまうのは、時々いいものもあるからで、本書ではケント君(この人、雷蔵さんと並んでしばしば著者のエッセイに登場するのだけれど、仙人のような人だなあ、といつも感心する)と川崎競馬に行った「亀甲縛り馬券」、場末の寿司屋を描いた「11個600円」が良かった。
あと、武豊騎手との対談も面白かった(武騎手がかなり率直に馬主の悪口を言っているところとか)。

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