蛙と蝸牛

本の感想。ときどき競艇の話。

セイバーメトリクスの落とし穴

2019年08月15日 | 本の感想
セイバーメトリクスの落とし穴(お股ニキ 光文社新書)

著者(ハンドル)名から見ると、かなりふざけた内容が予想されるところですが、中身はいたって真面目な野球評論です。
文章も非常に読みやすく、もともと文筆関係の職業の方では?と思えました。若干技術論に傾きがち(特に投手の変化球編)なのは、著者のアドバイスがダルビッシュにまで採用されたことなどから自信があるからなのでしょうか?

著者も述べている通り、ピッチャーが投げている球種が何にあたるのかは、人それぞれ(投げている本人もわかっていなこともあるらしい)の判断で、画一的に決めることはできないようです。実際、テレビや球場で見ていても落ちたかスライドしたかくらいしかわからないことが多いように思います。

私は、時々メットライフドームに行きますが、同球場では客席からブルペンが見られるようになっていて、ピッチャーの背中側の少し上目の席から見ていると球筋が見やすく、「今のはチェンジアップだな」などとわかります。ブルペンでこんなに曲がるのだから、本番ではさぞかし凄いのでしょう。それを簡単にバットに当てられる打者もまた凄いのですが。

現在のメジャーは、データ重視の影響で、かえって「ホームランか三振か」みたいな、ゲームの単純化が(一周回って)進んでいる、
とか、
分業化でベンチ入りさせる投手の人数が増え、試合で起用可能な野手の数が減っているのでどこでも守れるユーティリティ野手が歓迎されていて、捕手すれもできるような選手が特に重宝されている(さらに、大谷の出現でユーティリティの範囲が投手にまで拡大しそう)、

などという指摘が特に印象に残りました。

なお、注釈で日米の選手の短い紹介が行われているのですが、これがまた面白くて、選手評だけの本を書いてもらってもよいのでは?と思えました。

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