蛙と蝸牛

本の感想。ときどき競艇の話。

へんてこな生き物

2023年05月06日 | 本の感想

へんてこな生き物(川端裕人 中公新書ラクレ)


取材等により実際に著者が見たことがある珍獣の生態を描いたエッセイ。

タイトルからは、怪獣のようなキテレツな外見の生物が登場するのかと思っていたのだが、見たことがあるという縛りがあるせいか、割と聞いたり見たりしたことがある生物が多かった。

 

花の蜜を主食にする親指大のネズミのようなハニーポッサムがなんとも可愛らしかった。
オオサンショウウオの前肢(手のひら 4本指)もカワイイ(人によってはゲゲッかもしれない)。

一方、体長15センチもある巨大バッタ?ジャイアントウェタとか沖縄のオオゲジには決して会いたくない。著者によるとオオゲジは「つやつやしていて、顔つきがキリッとしていた素晴らしい造形」だそうだが・・・

沖縄のススキ原にいる、日本一小さいセミ:イワサキクサゼミは、昔は子供のおやつになっていたという。取材に行った沖縄のスーパーで捕虫網などを買ってセミ料理を再現して食べてみる、というのもナチュラリストならでは。コオロギの粉末が給食に入っていただけで大騒ぎする人が聞いたら失神しそう。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ヤーンの虜(グイン・サーガ140)

2023年05月06日 | 本の感想

ヤーンの虜(グイン・サーガ140 宵野ゆめ ハヤカワ文庫)


ワルスタット侯ディモス(ゾンビナリス?の支配下にある?)の命を受けてラカント伯はアンテーヌでアンテーヌ侯アウルス・ファロンを口説いて(というか脅迫して)反オクタヴィア同盟に参加させる。
ベルデラント侯ユリウス・シグルトの母ヴィダはシリウス(シルヴィアの子)を保護する。
シルヴィアとバリスはパロ南部でトカゲ犬に襲われる。
グラチウスは竜王の罠にかかって囚われの身となっていたが、ダナエ侯領でグインが救出?する。グインはアウロラ(レント海の王女)と会話する。

 

「シリウス」って栗本さんの伊集院シリーズでは(確か他のシリーズでも敵役の名前だったような・・・)主人公の宿敵の名だった。しかし、どうも栗本さんとしては主人公よりシリウスの方が好みだったような匂いがしていたので、シルヴィアの不義の?子にこの名をつけたからには、ナリスやイシュト、竜王をしのぐ大悪役になるのでは?と思っていたのだが、ここまで登場シーンがほとんどなく、どうも続編プロジェクトではスーティ(イシュトの不義の子(不義の子ばっかやな))の方が主役になりそう。

しかし、ここの所、ケイロニアの各地を巡る話が多く、主筋が全然展開しないなあ。イシュトやナリス、リンダが出ないとイマイチなんだけどなあ・・・

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

塩と運命の皇后

2023年05月06日 | 本の感想

塩と運命の皇后(ニー・ヴォ 集英社文庫)


記憶する能力を持つ鳥:オールモスト・ブリリアントを伴って、聖職者チーは各地を巡りり、歴史の目撃者から体験談を聞き出していた。湖のほとりの古城にいたラビットはかつてここに幽閉されていたアン帝国の皇后のエピソードを語る。(表題作)
チーは山奥の居酒屋で古代象(マンモス)偵察隊のスーウィと知り合う。スーウィたちは雪中行軍ででかけた先で3頭の虎に遭遇する。虎たちとチーは、伝説のメス虎ホー・ティー・タオと天涯孤独の女学生デューの旅の物語を語らう。(虎が山から下りるとき)

全編が韻文のような、幻想的な雰囲気に満ちたファンタジー。虎が人になり人が虎になり、今物語しているのはウサギなのか人なのかあるいは鳥なのか混沌とした雰囲気に香り高さがある。
それでいて皇后の劇的な人生遍歴やデューとタオの不思議に満ちた旅にはお話としての面白さもあって飽きさせない。

この設定でいくらでもストーリーが作れそうなので、続編を期待したい。

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする