川っペリムコリッタ(映画)
山田(松山ケンイチ)は、詐欺事件?で収監された後、出所して富山の水産加工場に就職した。社長の紹介で古びた長屋風のアパートに入居する。アパートの大家は若い未亡人の南(満島ひかり)。アパートの住人である島田(ムロツヨシ)は庭で家庭菜園を営むが定職はないようで、昼間もブラブラしていて、山田やその他の住人が食事を始めると、一緒に食べさせろとたかるのを習慣にしていた。市役所から、一人暮らしの山田の父が孤独死したとの連絡が入り・・・という話。ムコリッタというのは短い時間を表す仏教用語とのこと。
上記のような設定からすると「めぞん一刻」か?と思わせるものがあり、確かに多少不条理コメディっぽい雰囲気もあるのだが、テーマは割合とシリアスで人の生死の意味や人生の意義を問う内容だった。
そのテーマへの答えは割合とスタンダードなものなのだけど、衒いなく正面から映像化されると、意外とすんなりと受け止められたのが意外だった。
荻山直子監督の作品は随分前に「かもめ食堂」を見たことがあるだけで、同作は世評は非常に高いが、私にとっては多少退屈だった。本作も淡々とした筋立てや食事シーンが多いことなど似たようなムードなのだけど、とても良かった。トシのせいもあって、こういう何も起こらない映画の面白さがいくらか理解できるようになったのかもしれない。
松山ケンイチは確かにいいのだけれど、あまりに役にハマりすぎて演技しているように見えないのが難点??
行旅死亡人を管理する市役所の役人を演じた柄本佑も良かった。映画の内容とは関係ないが、引き取り手がない遺骨の管理というのも、何というか大変な仕事なんだなあ、と感心した。