蛙と蝸牛

本の感想。ときどき競艇の話。

護られなかった者たちへ(小説)

2021年11月22日 | 本の感想
護られなかった者たちへ(小説) (中山七里 宝島文庫)

仙台市内で、被害者を拘束したまま廃屋に放置して餓死させるという手口の殺人事件が連続しておきる。被害者二人には同一時期に同じ福祉保険事務所に勤務していたという経歴があり、当時その事務所でトラブルを起こして懲役刑となり最近出所した利根が容疑者として浮かびあがる、という話。

生活保護の申請者に対して簡単には受給させない役所の方針?を「水際作戦」というらしい。本書はその方針から生じた悲劇を描いているが、本書で描かれている事案はちょっと誇張があるのかな?と思えた。
ここまでひどいと受給できる人がほとんどいなくなりそうだけど。
一方で、行政書士にでも頼まないと素人が完璧な書類作成することは難しいだろうから、書式不備だけで容赦なくハネてしまいそうな気もする。民生委員とか運動家の人とかが同伴していなくて本人だけだとマトモにとりあってもらえない、とかもありそう??

読みやすさに配慮されていて、テーマへの訴求もあるのだけど、登場人物のキャラ(特に警察側)がちょっと薄いかな?と思えた。巻末の対談を読むとそれも意識的なのかもしれないが。
コメント
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