蛙と蝸牛

本の感想。ときどき競艇の話。

麦子さんと

2015年01月03日 | 映画の感想
麦子さんと

子供の頃に生き別れになった母親が突然訪ねてきて、兄と二人で暮らしていた娘(麦子・堀北真希)は戸惑う。母親はいろいろ世話をしたがるが、麦子は鬱陶しく感じるだけで、つらく当たる。
母親はまもなく癌で死去してしまう。葬式に立ち会ったのは兄妹だけだったが、納骨のため麦子が訪れた母親の故郷では、誰もが美人で麦子そっくりの母親を覚えていた。
納骨のために必要な書類が見当たらず、兄から送ってもらうための数日、麦子は母親の故郷に滞在することになるが・・・という話。

地味そうなタイトル・筋書なので、普通なら見ようと思わないのですが、映画評などでかなり評価が高かったのと、息子が堀北さんのファンなのでDVDを借りてきました。

息子は堀北さんが出ているだけで満足そうなのですが、横で見ている私は正直言って退屈気味でした。ただ、例えば普通なら詳しく描きそうな母親との死別シーンを一切省くなど、あっさり目でテンポのいい脚本、演出は好印象でした。一方、堀北さんは声優をめざすアニメおたく役なのですが、容姿が整いすぎているせいか、そういうふうには見えませんでした。

しかし、終盤30分くらいは、母と子の関係性のありがたみ、という、よっぽどうまくやらないと陳腐になりそうなテーマが非常に上手に表現されていて印象が一変。
麦子が母親にひどい仕打ちをしてしまった、という後悔を吐露するシーンは、久々に涙がでそうなほど感動できました。(オーバーな演出や演技ではなくて、あくまであっさり目に静かに話が進むのがまたいい)

また、関係性の重要なシンボルとして使われているめざまし時計のエピソード(母親の持ちこんだめさまし時計がとてもうるさくて麦子は閉口しており、その時計を壊してしまう。その時計は母親が故郷から歌手を目指して一人で上京する時に家族が無理矢理持たせてくれた時計だったことが後からわかる)がとても良かったです。

蛇足:温水さん(かつて母親にあこがれていたタクシードライバー役)は、演技うまいなあ、脇役だけどとても光っているよ、と思いました。
コメント
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