殿は今夜もご乱心

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手抜き料理・一応はお花見編

2023年04月17日 09時47分04秒 | 手抜き料理
去る4月5日は同級生の友人ユリちゃんのお寺で、恒例の料理をした。

昨年末以来なので、実に4ヶ月ぶりだ。


この日はお花見。

つまり、お寺の行事ではない。

境内に1本ある桜が咲いたということだった。


以前は行事だろうが花見だろうが、頼まれたら作っていた我々同級生…

正確にはマミちゃんと私、時々モンちゃん。

理由をつけては友だちを呼び、材料費だけで安くランチを作らせ

それを夜も翌日も食べて楽をするというユリちゃんの本音を知ってからは

召集にシブシブ感が漂うようになった。


自分の言動には鈍感だが人の言動には敏感なユリちゃんも、それは感じている様子。

身内の他に、一人か二人の他人を呼んで

家族だけじゃないメンバー構成を装うようになったが、そもそも高齢化じゃん。

付け足しに呼ぶ他人も入院や施設入りで来なくなり

我々に声をかけにくい状況が続いていた。

いつも呼ぶ芸術家の兄貴すら、寄る年波には勝てず入院中である。


しかし敵もさるもの、新たな対処法を編み出した。

料理を作ってもらいたくなると、マミちゃんの経営する洋品店で

服や化粧品を買うのだ。


マミちゃんと個人的に会えば、自然にお寺料理の話も出る。

意地の悪い私より先に、優しいマミちゃんを取り込んで

それを私が手伝う形に持ち込めば、すんなり決まるというわけ。

ここしばらく、ユリちゃんはこの作戦を取っていた。


もちろん我々は、この手口に気づいている。

私は、むしろ諦めがついた。

便利屋として利用されようが、他の料理番と天秤にかけられようが

マミちゃんを手伝うのであれば、多少は気持ち良く参加できる。


けれどもマミちゃんの方は、面白くないようだ。

宮大工が建てた和風建築の豪邸で、お金持ちのご主人と暮らす彼女にとって

親から引き継いだ洋品店は完全なる道楽。

生活がかかってないので売上を気にすることなく

過疎地に生息する老女たちのサロンとして週末だけ店を開けている。


しかしユリちゃんのやり方だと、「買い物するんだから料理してね」

そう言われているようで、何だか嫌な気持ちになるという。

加えて、自分をリーダーみたいに扱われるプレッシャーが大きいそう。

しかし前回から4ヶ月と間隔が空いたし

6月のお祭の打ち合わせも必要ということで、彼女は引き受けたのだった。


そういうわけで、久しぶりのお寺料理。

モンちゃんは、勤務先の農協が窓口入れ替えの日ということで欠席したため

マミちゃんと二人でやった。


この日のメンバーは、合計8人。

他人メンバーは我々を除けば、いつも来て整備作業を手伝うK老人と

公務員OGの料理上手、梶田さん。

梶田さんは入院中の兄貴の代わりに、無理矢理呼んだらしい。


身内部門はユリちゃん夫婦に兄嫁さん、そしてこの日はユリちゃんの従姉妹

ハッちゃんが初お目見えだ。

我々より一つだか二つだか年下で、認知症になった両親の介護のため

関西から帰省中だという。


「ずっと親と一緒だと気が滅入ると思って、気晴らしに呼んだの」

ユリちゃんの何気ない発言を聞いて、マミちゃんは密かに怒っていた。

「私らは、あの人たちの気晴らしの道具なの?!納得できんわ!」

今知ったんかい…選民にとって我々は、最初から道具じゃ。

80才のK老人を見ろ。

車で1時間以上かかる自宅から毎回呼ばれては

老体に鞭打って重労働させられとるぞ。

帰りには兄嫁さんの家にある粗大ゴミを車に積んで

彼の町の廃棄場まで捨てに行くのが恒例じゃ。

あれよりはマシじゃよ。



さて今回の料理は、マジで手抜き。

もう、手の込んだことはせんのじゃ。


『マミちゃん作・スンドゥブチゲ』


豆腐、豚バラ、キムチ、卵なんかを一人用の土鍋で煮たキムチ鍋みたいなの。

貝の出汁というのがキムチ鍋と違うところだそうで

味付けは、スンドゥブ用のレトルト。

私は初めて食べたが、雨が降って肌寒い日だったので温まり、すごく美味しかった。


それよかマミちゃんが、一人用の土鍋を家から8個持って来たのに驚いた。

「家にあった」と言うけど、そんなに無いぞ、普通。


『マミちゃん作・芋餅』


もらったジャガイモがたくさんあったので、作ったそう。

ジャガイモをポテトサラダを作る時みたいに茹でてつぶし

片栗粉、バター、塩をそれぞれ少々加えて練る。

真ん中に溶けるチーズを包んでコロッケみたいに丸め

両面をバターで焼いたら完成だと。

出来上がりが可愛らしい形で、ホクホクと美味しかった。


『マミちゃんの妹作・おから』


マミちゃんの妹が作って、持たせてくれた。

前にもおからを始め、色々作ってくれたが、どれも美味しかった。

今回のおからには、シメジが入っている。

安定の美味しさだった。


『マミちゃん作・キュウリとミョウガとショウガとトマトのサラダ』


ドレッシングは市販のピエトロ。

ミョウガとショウガが、いい仕事していた。


『みりこん作・ミンチカツ』


6月にお寺の夏祭で出すオードブルにしようと思い、試食を兼ねて作った。

去年まではユリちゃんのこだわりでコロッケだったけど、今年はジャガイモが高い。

去年はたまたま、マミちゃんの店のお客さんが一箱くれたので

彼女が作って来たが、今年も祭りの前にイモをもらえるとは限らない。

ジャガイモより高いとはいえ、価格が安定していて入手が容易な合挽きミンチなら

安いタマネギで増量すれば、コロッケとさほど大差無い予算で作れると思ったからだ。


しかもコロッケを作るのは、手間がかかる。

イモを茹でて潰したり、合挽きミンチとタマネギを炒めたりと作業行程が多いのだ。

その点、ミンチカツのタマネギは生でイケる。

合挽きミンチと合わせ、パン粉や卵と調味料をぶち込んで混ぜれば

あっという間にタネが出来上がるのだ。

そのくせ一応は手をかけたように見える、かなりの手抜き料理。

そこで、ミンチカツに切り替える提案をしたわけ。

評判は上々で、この提案はあっさり通った。


『みりこん作・豚バラの味噌漬け』


これは我が実家に伝わる、料理というには簡単過ぎる一品。

豚肉は、バラ肉でもトンカツ用でも肩ロースでもモモ肉でも

少し厚切りのものなら何でもいい。


①味噌汁に使う普通の味噌をボールにたっぷり入れ

酒、みりん、砂糖、ゴマをドバッと投入

ごま油、すりおろしたニンニク、醤油をそれぞれ少々加えて混ぜる

②豚肉1枚1枚に味噌ダレが行き渡るよう混ぜる


④焼く時を考慮して肉を1枚ずつ形を整え直しながら

タッパーがジプロックに入れ、冷蔵庫かチルドルームで2日から4日寝かせる

4日目には、こうなる

⑤焼く時は味噌ダレが付いたままだと焦げやすいので

キッチンペーパーでサッと拭き取ってからフライパンで焼く


味噌ダレは、日数が経つと味噌の塩気が勝つため

普段の自分の好みよらも甘めに仕上げておくと、コクが出て美味しい。

レタスやサンチュなどの野菜と一緒に、忙しい日の晩ごはんにどうぞ。

お酒の肴にしたい人は、味噌ダレの砂糖を少なめにするとキリッとした味になる。


これは何がいいって、柔らかくて美味しいし

味噌ダレはどう作ってもそこそこの味になるのもだけど

何より、数日前に準備が済むので前日や当日にバタバタしなくていいこと。


味噌に漬ける期間は、短いほど味がさっぱりしていて弾力があり

長くなれば柔らかくて濃厚になる。

腐るまで漬けちゃあダメよ。

食べるチャンスを逃したら、冷凍しておけばいい。

焼く時は、室温に戻してからの方が柔らかく仕上がる。


お寺では、炭火焼きにした。

梶田さんが早めに来て、うちの子が釣った魚と共に焼いてくれた。

去年の祭で作った、鶏モモの山賊焼の代替だ。

甘辛のタレに漬けてから焼く山賊焼も簡単ではあるけど

鶏モモは切れ目を入れて成形しても、デコボコしとるじゃろ。

焼くのに時間がかかるんじゃ。

そこで厚みの安定した豚肉。


難点は、豚肉が鶏モモよりお金がかかること。

が、大丈夫。

去年作って大好評だった海老パン…

サンドイッチ用のパンに海老のペーストを塗って揚げる中華スナック…

あれをやめるんじゃ。

品数を減らせば、予算と労働量の問題はクリアできる。

冷凍海老を3キロ買うお金で、豚バラの冷凍ブロックが2個、買い足せるんじゃ。

今年の祭は品数を減らして一品ずつの量を増やし、手抜きに徹する所存。


ユリちゃんのご主人モクネン君もミンチカツ同様

この味噌漬けをたいそう気に入り、祭のオードブルの一品のして

あっさりOKが出た。

あ、モクネン君の許可?

実は全然気にしてない。

私のパフォーマンスよ。

祭りのための試食と言えば、食事会に意義が持たせられるじゃん。

男って、そういうの好きじゃんか。

こうしておだてながら、メニューを変更させてこっちの思い通りにするのは

技術のうちよ。
コメント (2)
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