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台風とダム

2019年10月15日 09時22分00秒 | みりこんばばの時事
台風19号‥大きな台風でした。


皆様がお住いの地域は大丈夫だったでしょうか?


お見舞い申し上げます。



テレビで水に浸かってしまった家々を見ていると


昨年の西日本豪雨が思い出され


「どんなに怖かっただろう」と、涙が浮かびます。


命が助かったとしても、その後の後片付けが大変です。


流れ込んだ土砂は信じられないほど重い上に


悪臭を放ちます。


そして乾いたらすぐに凝固して、石のように硬くなります。


打ちひしがれた心で、様々な事後処理をしなければならない‥


被災された方々の気持ちを考えると胸が痛みます。



この痛みは、明日は我が身をひしひしと感じる


いち国民としてのものでもあり


また、建設業界人としてのものでもあります。


建設業界には、主な舞台の一つとしてダムがあり


ダムと水害には密接な関係があるからです。



昨年の豪雨を体験して以来


ダムについて考えることが多くなりました。


今日はそれをお話しさせていただきたいと思います。




さて、ダム建設には莫大なお金がかかります。


一つ作ろうと思えば何百億円もの税金が必要です。


その予算には、工事費用の他に地域住民の立ち退き料や


代替え地での新築費用も含まれます。


誰だって、住み慣れた土地を離れるのは嫌です。


代替え地でダム御殿と呼ばれる豪勢な家を与えられたって


その気持ちは癒えるものではありません。



けれどもダムは、治水のために必要です。


雨水や川水をコントロールして、河川の氾濫を防ぐのがダムです。


大雨が降った時は、ひとまずダムに貯めることで堤防の決壊を遅らせ


人命の安全を図るための時間を稼ぐ役割をはたします。



古くから、雨の多い国々の首長は


人的、経済的に大変な犠牲を払いながら


治水事業に心血を注いできました。


治水を怠ると、国がどんなに栄えていても


台風や豪雨ひとつで尊い人命が失われ


積み上げてきた繁栄は、あっという間に破壊されてしまうからです。


水をコントロールする治水は、国民と国土を守る重要な事業なのです。


お金のかかるダム建設が、最善の治水とは言えないかもしれませんが


今のところ、日本にはダムが必要だと思っています。



な〜んてえらそうに言ってますけど


これはダムの重要性を理解してもらって


自分の会社の仕事を増やそうと思っているからではありません。


我々の町にはすでにダムがあるので


この先、私が生きている間に新設はあり得ないからです。




私がダムについて、かすかに考え始めたのは


20年近く前だったか、小説家の田中康夫氏が


『脱ダム宣言』を訴えて長野県知事に当選した時です。


あの時はなかなかの騒ぎでした。



確かにダム建設をやめれば、たくさんのお金が浮きます。


そのお金を福祉や教育に回して豊かに暮らしましょう‥


有名人がそう呼びかければ、浮動票は獲得できます。


いつ役に立つのかわからず


政治家や土建屋のおじさんだけが得をしそうな印象のダムより


さしあたって多くの人が恩恵を受けそうな福祉や教育の方が


良さげな気がするからです。


田中氏の脱ダム宣言は、選挙の戦法としては斬新で有効でした。



しかしそのために、長野県のダム建設は遅れることになりました。


ダムの建設には10年単位の長い年月がかかります。


着工が遅れると、当たり前ですが完成も遅れます。


そのことと、今回の千曲川の氾濫との因果関係はわかりませんが


ダムのことよりも、このようなインパクトのある甘い言葉で


民衆を扇動する手法があると知った出来事でした。



それから10年ほど前には、政権を獲った民主党が


群馬県で計画中だった八ッ場(やんば)ダムの建設を


中止すると言い出しました。


すでに立ち退きを済ませた住民たちが怒る中


代表で視察に訪れた前原議員は能面みたいに無表情だったのが


印象に残っています。




その後、八ッ場ダムの建設は再開されることになりましたが


先ほど言いましたように、ダム建設には長い年月がかかります。


その長い年月を経て、完成は来年、今は試験運転中という時に


今回の台風が発生しました。


ギリで間に合い、利根川は氾濫から免れたそうです。



近頃ではなぜかダムに人気が出て


ダムカードという物が配られるようになりました。




ダムの写真と共に、規模や特徴などを記した小さなカードが


全国各地の主なダムに用意されていて


それぞれの事務所に行けば、誰でも無料でもらえます。


いろんなダムを訪れてカードを集めるのが


静かなブームになっているそうです。


水害が増えた昨今、ダムへの興味も高まってきたのでしょうか。


だとしたら国土強靱化を念頭に


末席ながらダム建設に関わる者として、ありがたいことです。


《続くかも》
コメント (8)
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