「モッコウバラ」
写真上部の黄色い花です。
本当はバラじゃないんだけど、そう呼ばれているようです。
私が洗濯物を干しながら、いつも見ている風景です。
夫の実家の片付けは、依然として続行中。
先日は、洗濯物を干す周辺を片付けた。
洗濯物を物干し竿へ運ぶまでの道中に、問題が生じていたからだ。
勝手口から物干し竿まで、ほんの数メートル。
問題は、この数メートルの内容だ。
義母ヨシコと私は、身長差が13センチある。
ヨシコにとっては何てことない配置が、大柄な私には意外な危険をもたらす。
毎日洗濯物を干すたび、取り込むたび
ヨシコ・コレクションのプランターや植木鉢が行く手を阻む。
頭上にも数個の植木鉢が、ブラブラとぶら下がっている。
足元に気をつけながら、頭上の鉢をよけよけ
あともう少しというところに、なぜか鎌(カマ)や花バサミがぶら下がる。
ひ~!
身をかわした先には、トゲトゲのヒイラギがお待ち。
ヒイラギをかわせば、物干し竿の先端が、頭を直撃。
ぎゃ~!
孫悟空は、数々の艱難辛苦(かんなんしんく)を乗り越え
天竺(てんじく)…いや、物干し竿を目指すのであった。
毎日これだと、さすがに嫌気がさす。
体が弱くても足だけは達者で、まだハイヒールでツカツカ歩けるヨシコだって
そのうち足元がおぼつかなくなったら、つまづいて怪我をするだろう。
そこで、天竺までの道のりの整備に乗り出した。
家の片付けはしても、ヨシコの植木コレクションはそのまま…
というのが、暗黙の約束ではあった。
安全のため…と説得しても、ヨシコは不満げであった。
「何もかも捨てられて、変えられて…
年を取って病気になると、みじめだわ」
とつぶやく。
冷酷な嫁に、おびただしい物品を容赦なく捨てまくられた直後なので
その気持ちはわかる。
が、ただでさえ手のかかる老夫婦を抱え
いつまでも天竺渡りに時間を食ってはいられない。
無視して決行。
天竺ロードは、半日で整備された。
さっぱりしたら、ヨシコもまんざらでもない様子で
珍しく洗濯物を干してみたりしていた。
このような天竺ロードは他にもあり、次の整備に乗り出したところ
木の枝にぶら下がっているスズメバチの巣を発見してしまった。
この季節になると、よくあるのだ。
巣は、まだ着工したばかり。
短い首のついた小ぶりな一輪挿しを逆さまにぶら下げた形状である。
私の報告を聞いたヨシコは、おもむろに
高枝切りバサミと、息子達が釣りに使う長い網を取り出した。
各種ある網のうちから、目が細かくて軽いものをチョイスしている。
そしてそろり、そろりと巣に近付くと
狙いを定め、巣のぶら下がった枝を高枝切りバサミで切り落とした。
まだ柔らかい巣は、地面に落ちると瞬時にバラバラになった。
破壊された巣の中から、スズメバチが一匹
ブ~ンとうなり声を上げて飛び出す。
建築中の家を壊されて、かなり怒っている感じ。
ヨシコはひるまず、もう片方に持った網で
飛び出したハチをキャッチした。
鮮やかに手首を返して網を地面に落とすと、すかさずハチを足で踏んで殺害。
「おおっ!カッコイイ!」
その勇敢なハヤワザに、私は感嘆の声をあげた。
「“VS嵐”を見てるから…」
ヨシコは静かに言う。
“VS嵐”は、毎週木曜の夜7時から放送されるテレビ番組。
ヨシコの大好きな芸能人グループ“嵐”が
ゲストと共にさまざまなゲームを楽しむ、ヨシコが一番好きな番組だ。
その中に、何バズーカといったか
フリスビーを大きな網でキャッチするゲームがある。
「あれを見ていて、コツがわかったの」
ヨシコは謙虚であった。
長い高枝切りバサミと網を持って、仁王立ちするヨシコこそ
よっぽど孫悟空みたいであった。
姑にハチ退治をさせておいて、後ろで「やった!やった!」と騒ぐ私は
猪八戒未満か。
写真上部の黄色い花です。
本当はバラじゃないんだけど、そう呼ばれているようです。
私が洗濯物を干しながら、いつも見ている風景です。
夫の実家の片付けは、依然として続行中。
先日は、洗濯物を干す周辺を片付けた。
洗濯物を物干し竿へ運ぶまでの道中に、問題が生じていたからだ。
勝手口から物干し竿まで、ほんの数メートル。
問題は、この数メートルの内容だ。
義母ヨシコと私は、身長差が13センチある。
ヨシコにとっては何てことない配置が、大柄な私には意外な危険をもたらす。
毎日洗濯物を干すたび、取り込むたび
ヨシコ・コレクションのプランターや植木鉢が行く手を阻む。
頭上にも数個の植木鉢が、ブラブラとぶら下がっている。
足元に気をつけながら、頭上の鉢をよけよけ
あともう少しというところに、なぜか鎌(カマ)や花バサミがぶら下がる。
ひ~!
身をかわした先には、トゲトゲのヒイラギがお待ち。
ヒイラギをかわせば、物干し竿の先端が、頭を直撃。
ぎゃ~!
孫悟空は、数々の艱難辛苦(かんなんしんく)を乗り越え
天竺(てんじく)…いや、物干し竿を目指すのであった。
毎日これだと、さすがに嫌気がさす。
体が弱くても足だけは達者で、まだハイヒールでツカツカ歩けるヨシコだって
そのうち足元がおぼつかなくなったら、つまづいて怪我をするだろう。
そこで、天竺までの道のりの整備に乗り出した。
家の片付けはしても、ヨシコの植木コレクションはそのまま…
というのが、暗黙の約束ではあった。
安全のため…と説得しても、ヨシコは不満げであった。
「何もかも捨てられて、変えられて…
年を取って病気になると、みじめだわ」
とつぶやく。
冷酷な嫁に、おびただしい物品を容赦なく捨てまくられた直後なので
その気持ちはわかる。
が、ただでさえ手のかかる老夫婦を抱え
いつまでも天竺渡りに時間を食ってはいられない。
無視して決行。
天竺ロードは、半日で整備された。
さっぱりしたら、ヨシコもまんざらでもない様子で
珍しく洗濯物を干してみたりしていた。
このような天竺ロードは他にもあり、次の整備に乗り出したところ
木の枝にぶら下がっているスズメバチの巣を発見してしまった。
この季節になると、よくあるのだ。
巣は、まだ着工したばかり。
短い首のついた小ぶりな一輪挿しを逆さまにぶら下げた形状である。
私の報告を聞いたヨシコは、おもむろに
高枝切りバサミと、息子達が釣りに使う長い網を取り出した。
各種ある網のうちから、目が細かくて軽いものをチョイスしている。
そしてそろり、そろりと巣に近付くと
狙いを定め、巣のぶら下がった枝を高枝切りバサミで切り落とした。
まだ柔らかい巣は、地面に落ちると瞬時にバラバラになった。
破壊された巣の中から、スズメバチが一匹
ブ~ンとうなり声を上げて飛び出す。
建築中の家を壊されて、かなり怒っている感じ。
ヨシコはひるまず、もう片方に持った網で
飛び出したハチをキャッチした。
鮮やかに手首を返して網を地面に落とすと、すかさずハチを足で踏んで殺害。
「おおっ!カッコイイ!」
その勇敢なハヤワザに、私は感嘆の声をあげた。
「“VS嵐”を見てるから…」
ヨシコは静かに言う。
“VS嵐”は、毎週木曜の夜7時から放送されるテレビ番組。
ヨシコの大好きな芸能人グループ“嵐”が
ゲストと共にさまざまなゲームを楽しむ、ヨシコが一番好きな番組だ。
その中に、何バズーカといったか
フリスビーを大きな網でキャッチするゲームがある。
「あれを見ていて、コツがわかったの」
ヨシコは謙虚であった。
長い高枝切りバサミと網を持って、仁王立ちするヨシコこそ
よっぽど孫悟空みたいであった。
姑にハチ退治をさせておいて、後ろで「やった!やった!」と騒ぐ私は
猪八戒未満か。