殿は今夜もご乱心

不倫が趣味の夫と暮らす
みりこんでスリリングな毎日をどうぞ!

ダブル不倫語録

2010年06月11日 10時40分58秒 | みりこんぐらし
知人に、ダブル不倫中の奧さんがいた。

40代の、ごく一般的な女性だ。


相手は、かなり以前に趣味を通じて知りあった、同じ年頃の男性。

当時からずっと好きで、2年前に告白し

1年返事を待って、去年「結ばれた(本人談)」と言う。


「ずっと秘めていた思いを大事に大事に育てて、やっと実った感じかな?」

彼女はそう主張するが、私は違うと思う。

このタイムラグが怪しい。


男には、不倫というものを一度してみたい気持ちが前からあった。

同じ冥土の土産なら、出来れば上等なの…若くて、かわいいのを持参したい。

しかし、頬を染めて「好きです…」と言ってくれたのは

肥満したおばさんであった。


それでも相手が誰であろうと、告白されれば嬉しいに違いない。

もしや、初のモテ期到来?

気を良くして、男は他にも立候補者がいないか、待った。

しかし誰も現われず、浮世の義理として、返事もしないといけない。

どうする?オレ!

…やがて妥協。

これが、下世話な私の推理である。


「私が告白して1年間、彼も葛藤したそうよ。

 でも、自分の正直な気持ちに勝てなかったんだって」

ものは言いようだねぇ。


「ホテルで過ごすより、一緒に食事に行くのが楽しいの」

どんな所に行くのか、たずねてみたら「イタリアンや、中華のお店」と言う。

よく聞いたら、ファミレスじゃん。

この人、自分じゃ気づいてないけど、まことによく召し上がるのだ。

最初から言わないところを見ると

やはり本人も、何かは感じているのだろうと思われる。


が、この女もさるもの

「ファミレスは、二人でいても自然だし

 時間を気にせずにおしゃべりが出来るでしょ」

とおっしゃる。


「もっといいもん食べなよ~…カニとか、フグとか…」

時は冬であった…よせばいいのに、ついそんなことを口走る私。

しかしその次に、この名言で感動する。

「彼がね…“オレがカニ料理に誘ったら、もう最後と思え”って。

 しゃべりたくない相手としか、カニは食べない主義なんだって」


おお!交際費節約の素晴らしい言い訳!

しゃべりたくない相手に、カニをおごるわけがない。

しかし男のほうは、ひとまずこれで、財布の危機を逃れたらしい。


フレンチや和会席は、店員が度々来るので落ち着かない…

焼肉は、においで家族にバレるから無理…

フグにいたっては、アレルギーなんだと…

お見事。

また感動。


私の表情を察して、彼女もソワソワと言う。

「デートに経費を使わないのは、彼の愛情表現だと思うから…。

 そりゃ勤め先の経費を使えば、高い所にも連れて行ってくれると思う。

 彼、職場で、色々任されてると言ってたから。 

 でもそんな卑怯な男の人、こっちからお断りよ。

 領収もらってる後ろ姿なんて、見たくないもの」

ムキになって、言えば言うほど、イタい。

経費なんか、持たせてもらってるもんかい…窓際候補に決まってら。


「たまにしか会えないんだけど、お互いその日のために生きてるって感じ?

 彼も忙しいし、私にしょっちゅう会うと

 自分をコントロール出来なくなっちゃうんだって…」

うっとりとのたまう、にわか王女様。

さすが…とひそかに喝采。

小遣いが大変だからじゃないんだ~。

コントロールなんだ~。


「両方の相方が死んだら、二人で暮らすのが、夢なの」

お前らが二人共、都合よく生き残るとは限らんぞ。

「胸が大きいから、他の男が見るのよね…彼、すごく妬けちゃうみたい」

胸も大きいかしらんが、腹も大きいぞ。

「会うといつも体を求められるんだけど、私、そういうの好きじゃなくて。

 でも彼、聞いてくれないの」

おっとっと…責任回避と株価上昇を同時に狙うか。


「ごはん食べて、おしゃべりして、バイバイじゃダメなのかなぁ。

 血のつながってない妹じゃ、いけないのかなぁ」

あんた、ゴクミ(古!)のつもりか。

妹になるのは、難しいんだぞ。

本人に、それなりの品質が無いとな。

そんなに嫌なら、毎回、生理日にデートしたらええじゃんけ。

会ってもらえないだろうけど。


「老後に一緒に暮らすのも夢だけど

 いつか二人が同時に納得して、綺麗に別れるのもいいかな。

 その時が来たら、奥様にそっとお返しするつもり」 

“バカか?”のひと言は飲み込んだが、これは言った。

    「何がそっとお返しよ…あつかましい。

     さんざん手あかつけて、ねぶり回したカスを」


「ええ~?彼、私のカスなのぉ?」

彼女と私は顔を見合わせ、爆笑した。

同じテンションの笑いではあるが、その意味は全く別のものだった。
          
     
「お互いに家族を傷つけるのは、絶対に嫌だから、セーブしてるの。

 でも、もしもバレたら、その瞬間が最後の時…その覚悟は、いつも出来てる」

口を一文字に結び、そう答える彼女であった。


しかし、ほどなくバレた。

覚悟というのは、口だけだったらしい…

その後も家族の目を盗んで会い、またバレた。


老後を共に過ごそうと約束した彼からは

「しつこいから、仕方なく会っていた」と言われた。

「そっとお返し」するはずだった奥様からは

この次に会ったら、訴訟を起こすと言われた。

不倫の覚悟なんて、その程度のもんだ。
コメント (34)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする