僕のほそ道   ~ のん日記 ~

  
これと言ったテーマはなく、話はバラバラです。 つい昔の思い出話が多くなるのは年のせい? 

 オリンピック漬けの1日

2008年08月10日 | スポーツの話題

オリンピック一色に塗りつぶされたかのようなここ1両日。しかし、高校野球も熱戦を繰り広げています。僕が応援している宮城県代表の仙台育英高校は、相手を寄せつけない強さを見せ、のこたんさんの市岐阜商は接戦をモノにして「甲子園初得点、初勝利」を実現しました。たまごさんの駒大岩見沢も勝ち残っています。これに大阪桐陰を加えた4校を、応援していきます。

甲子園には「魔物」が住んでいる、と言われます。
オリンピックにも同じような「魔物」が住んでいるのでしょう。
常人には計りがたい重圧と緊迫感、といったものが。

昨日、僕は朝から夜遅くまで、ず~っとテレビの前に座っていました。
NHK総合と、BS7と、テレビ朝日とTBSと…。
チャンネルをあちらこちらと変えながら、ひたすら五輪中継を追う。

たぶんここ数年間で、これだけ長時間、テレビを見続けたのは初めてです。
胸のあたりに不整脈の違和感が残っており、身体を動かすとドキンドキンと動悸がしたりするので、一日テレビの前で「安静」にしていたのです。でも、オリンピックをじい~っと見ていると、だんだん画面に引きずり込まれていき、わが身に興奮やら緊張やらが渦巻き始め、かえって不整脈を誘発してしまったり、息が荒くなったりして、何の「安静」にもなりませんでした。とほほ。

女子重量挙げの三宅選手は、完調ではなかったようです。ジャークで105キロを挙げたときも、やっとのことで持ち挙がったという印象がありました。体重を落としすぎたかな? とお父さんが言っていましたが、4年に一度のその日、その時間に自分の体調をピークに持っていくというのは、本当に神業に近いような難しさがありますね。優勝した中国人選手は、ダントツの力を示していました。人間ではなくサイボーグのように見えました。あの無機質なパワーにはあきれ返ります。

それにしても、この48キロ級女子重量挙げは、前回アテネの金メダリストをはじめ有力3選手がスナッチで次々3度の試技に失敗して、前半で姿を消すハプニングがありました。あれがなければ三宅の6位入賞も難しかったのでは…ということになりますが、バーベルが中国製で、持つところがしなり易いのだそうです。有力選手たちの失敗は、それにうまく対応できなかったからではないか、と解説の人がチラッと言っていました。さすがに中国です。地元の利を生かして、器具まで自分たちの使い慣れたものを、そつなく競技に使用する…という念の入れようでした。

柔道の畳も、これまでの五輪ではずっと日本製を使っていたけれど、これも今回は中国製の畳を使用しているそうです。日本の畳より滑り易いのが特徴だということです。それで何が有利になったり不利に働いたりするのか知らないけれど、まあとにかく中国はそこかしこでこういう「環境づくり」をマメに行っているのです。

柔道の谷が敗れた試合を見ていて思ったことですが、谷も相手もなかなか組まないので、主審は最初、相手のルーマニア選手に「指導」を与えた。しかし、副審たちはそれを訂正し、谷にも「指導」を与え、イーブンにした。

その後、互いに探りあいのまま、残り時間が少なくなってきた。まもなく延長戦に入る、と思ったそのとき、主審が今度は谷に「指導」を与えた。そのとき副審たちは、何の訂正もしなかった。あそこも両者ともども「指導」の場面だったろう。それを、主審が終了間際に谷だけにさっと「指導」を出して、副審たちは訂正せず、谷に反撃の隙を与えないまま時間切れ試合終了…。谷は、わずかひとつの「指導の差」で3連覇が夢と消えた。…なんだか釈然としませんね。

ちょっとやり方がひどいと思いませんか?
たしかに、谷も消極的ではありましたが、それは相手も同じこと。これと言ったワザをかけたわけではない。なぜ谷だけに…それも逆転の余地がなくなる終了寸前に「指導」を出すわけ? 副審たちも、ルーマニア選手に「指導」が与えられたときは訂正して両者「指導」にしておきながら、谷に指導が与えられたときにはなんの訂正もしなかった…なにか恣意的なものを感じざるを得ませんね。

柔道男子の平岡に最初に与えられた「指導」も、なんで…? という感じ。
相手のアメリカ人も、組まれると腰を引いて頭を下げることばかり繰り返していた。これも「攻めの姿勢」がみられないので「指導」を与えるべきだろう。なぜか日本人ばかりに「指導」が与えられる。柔道の判定は、あらゆる部分で本来の日本柔道に不利なようにルールが変えられてきているので、「勝つための戦法」も、ずいぶんセコくなってきている。嘆かわしい傾向ですね。このあとの各級で、またそういう気配が垣間見えるかもしれませんが、もううんざり、という思いです。策略に走らず、どの国の選手も、正々堂々と戦って欲しいです。その上で負けたなら、納得もできますが、昨日の谷のような負け方は、納得できません。

テレビ解説者や新聞などのマスコミは、なるべくこういう判定の不満は中国を怒らせてはいけないので、出さないように申し合わせているに違いありません。そして、タレントやニュースキャスターたちは、口を揃えて中国を褒めている。谷の銅メダルにしても「よく頑張りましたね」と褒めているだけで、勝負の内容は「残念でしたネェ」というだけで、判定問題には話は及びません。日本のメディア全体がそういう方針なんだから、マスコミ解説も新聞記事も、タテマエしか言わないので、信用できませんね。

柔道の金メダルは2つ獲ってほしい…と願っていましたが、谷の不運と平岡の初戦敗退はなんとも暗いスタートとなりました。ひょっとして柔道の金はゼロ…なんていうことになりそうな気もしてきました。

…とまあ、愚痴を言ったり悲観したりしていてもしょうがないので、せめて文句なしに優勝してくれるであろう水泳の北島を夜に見て溜飲を下げたいところでした。

北島は100m平予選で、いきなり1分を切る好タイムで2位通過。
ライバルのハンセンはどうしたのか、押さえ気味?
きょう、準決勝があって、明日の午前に決勝ということで、3日間続くという変則日程だけれど、北島は怪我もしていないようだし、決勝では日本中を歓喜の渦に巻き込んでくれることを期待しましょう。

夕方から夜にかけて行われていた体操は、内村が鞍馬で落ちると、その影響を受けたのか、名手鹿島までが鞍馬で落ちてしまい、出ばなをくじかれました。ニッポン体操陣は、中国の引き立て役だけに終わってしまうのだろうか…?

女子サッカーはアメリカに敗れ、1敗1分けになりました。
残るノルウェー戦に勝って勝ち点4を挙げたらまだわからない、ということですが、これはなかなかむずかしいところです。なんとか踏ん張ってほしいですけど。

アメリカに敗れた女子バレーボールは、だいたい実力どおりですね。
女子バレーボールにメダルを期待するのは、ちょっと気の毒だと思います。

そういうことで、いろいろ曲折を経ながら発進した日本選手たち。
今日以降、全力を出し切って、ぐ~~んと盛り上げてもらいたいものです。

昨日1日、ずっとテレビを見ていると、たいそう疲れた。おまけにニュースで女子マラソン期待の野口みずき選手が入院して検査していたという事実も知らされて、ますますがっくりと疲れた。野口が出られなかったらどうするの…? 最も楽しみにしている女子マラソンなのに、どうなるのか? こちらはあまりにも心配です。

今日はサッカー男子、ナイジェリア戦があります。
勝利の見込みは1割程度ですが、「大番狂わせ」を期待して、応援します。

 

 

 

 

 

 

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 北京五輪 開幕へ

2008年08月08日 | スポーツの話題

北京五輪がきょう、開幕する。
北京という場所が気に入らないけれど、まあオリンピックであることには間違いないのだから、これから2週間余り、大いに楽しもうと思う。

昨日の夜は男子サッカーの予選があったが、アメリカに負けてしまった。日本は、オランダとナイジェリアという、どう転んでも勝てそうにない強豪国と同じグループに入ってしまったので、組み合わせの段階で決勝進出は無理だろうなぁと思っていた。だから、勝てるとすればアメリカ戦だけだろ、と思っていたのに、そこにも負けてしまった。一昨日、女子サッカーが「ここしか勝つ相手がいない」と言われていた格下のニュージーランド戦に引き分けたのと同じパターンだ。

もともと今回の男子サッカーチームの顔ぶれを見ると、いかにもひ弱い。オーバーエイジで遠藤や大久保が出られなかったのがこたえている。森本がエースというのだから、このチームのレベルの低さは明らかだ(森本がダメ、と言っているのではありませんよ、念のため)。

あぁ、これで、日本は、男女とも決勝トーナメント進出はほぼ不可能になった。
男子はともかく、女子は残念だ。…といっても、アメリカ戦とノルウェー戦で奇跡を起こして大逆転、ということもあり得るので、諦めずにがんばってほしい。

男子は…相手がオランダ、ナイジェリアだからねぇ。
今からさっさとあきらめておいた方が、不整脈にはよさそうである。

「日本はいくつ金メダルを獲れるか…?」
そんな話題で持ちきりの昨今である。
ホントに、いくつ獲れるのだろうか…。ちょっと計算してみた。

水泳の北島が2個。
女子レスリングが2個。
柔道は、ちょっと厳しいけれど、なんとか2個は獲ってほしい…?

これで6個。

あと、マラソンの野口と、星野監督率いる野球で、ぜひ金メダルを獲ってほしい。

マラソンの野口は、体調が微妙なように伝えられているので、少し心配だ。
おまけにライバルが周という中国選手である。これが、怖い。
北京の熱狂的なファンで埋め尽くされた沿道で、なにかハプニングが起こりはしないかという心配もある。今回の北京は、何が起こるかわからないから。

野球は、なんといっても巨人の上原の不調が痛い。
なんで楽天の岩隈を出さないのか、と不満である。
予選リーグでは適当に試合をしておいて、適当に勝ったり負けたりしておいて、ほどほどの成績で決勝トーナメントに進出し、そこで一気呵成に全力投入…という配分を間違わなければ、金メダルだ(何とでも言えるよね、外野席からは)。
星野監督の強運に賭けましょう。

マラソンと野球で金を獲れば8個になる。

体操はどうか。金メダル…なかなかむずかしいだろうな。
中国はここで金メダルの量産を狙っているからである。
舞台が北京なので、日本に不利な採点に片寄ることは、ほぼまちがいない。
体操に限らず、中国人は日本人を目の敵にしているので、とにかく日本選手が出てくるとブーイングだ。どの競技でも、審判の判定が日本人に悪いように悪いように傾いていく、というのは、相当覚悟しておかなければならない。

新聞によると、セーリングという競技で日本が金メダルを期待できるそうだ。
「セーリングて、なんや?」
職場で、そんな会話を交わす僕たちである。

あれやこれやと考えると、日本の金メダルは最大8個、というところだろうか。
二ケタに届くことは、ずいぶんむずかしいけれど、たとえば、室伏のハンマー投げとか、ソフトボールとか、ひょっとしたら…という競技もあるので、しっかり応援しよう。

余談になるが、先日、キッチンで用をしているとき、テレビではNHKがかかっており、五輪関係のニュースを伝えていた。そのとき、
「○○選手は、東京オリンピック以来、二度目の出場となります」
というアナウンサーの声が聞こえた。
「なになになにっ?」と、僕は振り返ってテレビを見た。

珍しいこともあるものだ。
NHKのアナウンサーがこんな間違いをするなんて。

なんで「東京オリンピック以来、二度目の出場」なんだ。
東京オリンピックは今から44年前の大会だ。
それ以来二度目の出場、というような選手が、この世の中にいるのか…?

そんなやつ、おらへんでぇ。

明らかにNHKのアナは、原稿を読み間違えたのだ、と思った。

NHKはミスをいつ訂正するのかと、テレビに見入っていたが、その気配はない。
なおも見ていると、その選手の名前が出た。
法華津さんという馬場馬術の選手で、年齢を見たら、なななななんと、
67歳、とあった。

東京オリンピックのとき、この選手は23歳であった。
それ以来二度目の出場、というのは、原稿の読み間違いでも何でもなかった。
う~ん。67歳で五輪出場。しかも、僕が高校1年生だったときに開催された東京オリンピックに選手として出ていた…。

僕はしばらく、テレビの前で、ぽか~~~んとした。


   ……………………………………………………………………


高校野球のほうは北大阪代表の大阪桐陰が、日田林に圧勝した。
やっぱり、南大阪代表の近大付属より、こちらのほうがだいぶ強いかなぁ。

日田林高校は残念でしたね。
この学校は、大分県代表でした。
大分県といえば、ブログ仲間だったotacoさんは、今頃どうしているんだろう…?

 

 

 

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 ホルター心電図

2008年08月07日 | 心と体と健康と

海の向こうの北京は明日の五輪開幕に先立ってサッカー予選で盛り上がり、東北の仙台は七夕まつりで華やいでいるというのに、僕はうっとうしい機器を身体に貼りつけて、相変わらずもぞもぞと日常生活に埋もれ、昨日の続きを書いている…。

昨日の午前9時、病院でホルター心電図をつけた。

そのイメージです。→ http://www.hokujun.or.jp/annai/horuta01.html

実際の僕の身体には、写真よりもテープが沢山貼ってあり、もっとごちゃごちゃしている。ただでさえ暑い時期に、べちゃべちゃと胸やらお腹やらに電極やテープを貼り付けられているので、むずむずして気持が悪いったらない。

昨日は、これをつけて、病院からそのまま仕事へ行った。
24時間つけている間、ふだんと変わらぬ生活をしなければならない。
風呂、シャワーのたぐいはダメだけれど、それ以外はふつうに過ごす。
その日だけビールをやめたりしてはいけないのだ(むはは)。
その代わり、ふだん以上に飲むのもよろしくない(とほほ)。

   ………………………………………………………………

このホルター心電図をつけるのは、今度で4回目である。
過去3回、いずれも24時間つけたものの、ことごとく空振りに終わった。
これをつけると、なぜかそれまで出ていた症状が鳴りを潜めてしまうのである。
つまり、検査の効果としてはゼロだったわけ。どのホルター心電図検査でも、
「あれま。何も異常がなかったですなぁ」
と医師から告げられるのが、24時間、気持の悪いのを我慢した挙句の結果だった。

おまけに去年の7月などは、ホルターを外すと、それを待っていたようにすぐに不整脈が出始めて苦しんだことがある。あまりの情けなさに、言葉も出なかった。

しかし今回は状態が違っていた。
24時間、何も出ないということは、あらゆる面からみても考えにくかった。

脈が速くならない未経験の不整脈であったのと同時に、8月に入ってから、断続的にではあるが症状がずっと続いてきているのだ。そして昨日、ホルターをつけてもらうその瞬間にも、脈が飛んだり動悸がしたりしていたのである。今度こそ、24時間もあれば、相当な数の不整脈がホルターの記録機に刻まれ、豊富なデータが得られて今後の治療に資するであろう。弥が上にも“期待”は高まる一方であった。

ところが…

ホルターを装着してもらっている最中にも不整脈が出ていたというのに、
「はい。つけ終わりました。服を着てください」と検査技師さんに言われた瞬間から、不整脈が消えてしまった。電車に乗って職場へ行き、仕事を始めたけれども、いつまでたっても不整脈はゼンゼン出ない。嘘のような話である。なんでや…?

昼ご飯を食べても心臓は規則正しい拍動を続ける。ピクリとも違和感が生じない。そんなはずはない、話が違うぞぉ~っと、叫ぶ(誰に叫んでいるんだ?)。

「行動記録カード」というものをもらっていて、そこに行動を書き込んで行く。
服薬、トイレ、乗り物、歩行、運動、休憩、階段昇降、食事、飲酒、起床・就寝、仕事、運転など、おおまかに分けられた行動が、表の一番上の行にずらりと書かれていて、左の列に何時何分、と書き込む欄があり、たとえば、午前10時半、階段昇降、症状→動悸、みたいな感じで書いていくカードである。「症状」のところには何も書き込まないままに時間が過ぎていく。

午後4時前後にすこ~し拍動に乱れを感じた。でも、さほどのことはない。
すぐに消えて、また正常に戻った。
結局、仕事中はほとんど何の波乱もなく、5時半の退庁時刻を迎えた。

本来なら6日ぶりに不整脈が収まってきたことを喜ぶべきである。しかし、ホルター心電図で新しい不整脈の正体をつきとめるはずだったのに、何の成果も得られぬまま夕方になってしまったのは、いささか無念であった。あとは夜のビールの力で、脈が乱れるのかどうかを確かめる以外にない。

「うむ。いよいよ、勝負のヤマ場が来たな」

僕は運命の缶ビールを思い描き、ちょっと舌なめずりをしつつ、緊張感が激しく全身を駆け巡るのを感じながら、自転車のペダルを踏んで自宅へ帰った。

ぐびぐびぐびぐびぐび…(注:ビールを飲んでいる音)

ぐびぐびぐびぐびぐび…

ぐびぐびぐびぐびぐび…

威勢よく飲んだ。それでも電極に監視されている心臓の拍動は乱れない。
前日までビールを飲んだら強く出ていた不整脈だったのに、この日は出ない。

無理して飲んだわけじゃなかったけれど、そうして食事を終えてしばらくしたら、またすこ~し心拍に異変があった。ちょいちょい、という感じで乱れ始めてきた。前日までのものと同じ種類の不整脈だった。
いちおう「行動記録カード」には、「午後7時30分 食後・動悸」と書き込んだ。

そうして…きのう1日は終わった。

夜は、ホルターが身体にまとわりつく不快感から早く逃れたかったので、10時半ごろ睡眠薬を飲んで、ころんと寝た。

5時間後の3時半に目が覚めると不整脈が、ぐにょぐにょと出始めていた。
脈をみると、時々飛ぶ。ドキン、という軽い衝撃も心臓に受ける。あぁ、やっとその形になってきた、と、枕元の記録カードに「3時半・動悸」と書き込む。5時前ごろまでうつらうつらしながら、小刻みに不整脈が出ているのを感じていた。

5時に起きた。
しかし、身体を起こすと不整脈は止まった。
いま、午前6時半だけれど、ピタリと止まったままだ。
体勢によって、出たり消えたりもするのである。不思議だけど。

病院に行ってホルターを外してもらうまで、あと2時間半と迫ってきた。
このあとは何事もなく、このまま行ってしまいそうな気配が濃厚である。

結局、今回のホルター心電図は、まったく空振りということはなくてよかったと思う。昨夕から、ぼつぼつと出て、夜と明け方には最近の特徴的な心拍の乱れがそのまま出ていたので、これである程度のデータは刻まれただろう。やれやれである。

不整脈が出てやれやれ…というのも、なんだかおかしいけれど、とにかく、こんな特殊な状況の下ですからね。

ホルター心電図をつけたときに限って不整脈が出ない…というロクでもないジンクスから、今回はなんとか逃れられたことは、まあよかったです。これで、ホルターを取ったあと、まったく不整脈が出なくなったということになれば、これはもう、それ以上言うことはないのですが…。

それにしても、カユいことカユいこと。
電極とテープの貼りついた胸の周辺が、カユくてカユくてたまらない。

ガリボリガリボリと、思いっきり掻きむしりた~~~い 

 

 

 

 

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 今日は不整脈のことを少し

2008年08月06日 | 心と体と健康と

また病気の話である。自分でも、うんざり。
お読みいただいている人も、うんざり、でしょ~ね。

この「のん日記」は、闘病日記じゃないんだもんね。

もともと「のほほん日記」とでも題したい、おちゃらけブログなんである。

でも最近は、話題は病気のことに偏る一方だ。高校野球たけなわで北京五輪もあと数日に迫るという熱気を孕んだ日々だというのに、この辛気くさい話題は、はなはだ時勢に合わない。だけど、それでも昨日病院へ行ったことを書かなければ日記にならないのでは…と思うので、やっぱり書くのだ。他にネタもないし…(笑)。

んで、今日も病気の話題なのです。

「あれ、ヘンだな…」と思ったのは、8月1日の金曜日の午後。
不整脈が起こったのだ。しかもその不整脈は、これまでの不整脈とは違っていた。

急に心拍が乱れ脈が飛んで動悸がする、という不整脈は、数年前からの僕の持病だったが、最近は、予防として飲んでいる薬が効いてくれていて、不整脈の発作の起きることはたまにしかなかった。そんなとき、久しぶりに、その日の午後、「ご無沙汰で~す」と不整脈が、わが心臓を訪れてきたのだ。招かざる客、ってやつだ。

その不整脈が、従来のそれと違っていたことは明白だった。脈の乱れ方や動悸による息苦しさが、初めて経験する感覚なのだ。ずっと効いてきた薬も、異種の不整脈だから効かなかったのだろう。そのあと何日も続いているのだから、これまでにはまったくなかったことである。…といっても、症状は、従来よりもひどい、ということではない。これまで発作が起こると1分間で100以上に脈拍数が上がる「頻脈性」の不整脈であったのが、今回は普通の脈拍数でありながら心拍だけが乱れるという感じだったので、苦痛度からいえば、今回はまだまだマシだった。

様子を見るため、2日の土曜日は一日中寝ていた。
安静にしていると、不整脈はおとなしくなる。
起きて動いたり、話したり、食事をしたりすると、脈が乱れてくる。
ドッキン、ドキドキドキ、ドッキンドッキン、グルグル、ドキドキドキ…。
フーっと、血の気が引くような、めまいに近い不快感が頭にのぼってくる

3日の日曜日も、午前中は横になっていた。
午後から、そろりと、普通の生活を再開した。
不整脈は、出たり引っ込んだりとせわしない。
出たときは、息をとめて、ぐっと全身に力を入れると、す~っと消えていく。
そして、数秒後、数分後、数時間後とまちまちだが、また出る。

4日の月曜日に至っても、不整脈は断続的に起きた。
これはもう、医者に診てもらうほかはない。

昨日の火曜日。
僕が勤務する市内にある徳○会という、循環器系では定評のある病院へ行った。

去年6月にきつい不整脈が出たとき、かかりつけ医へ行って点滴を受けても収まらなかったので徳○会病院を紹介され、夜間に救急で診てもらったことがある。どうしても収まらなかった不整脈が、その夜、徳○会病院の当直だった○○医師の、懇切丁寧な検査と治療で、数時間後にピタリと止まった感激は今も忘れ得ない。昨日、僕はその時の○○医師を頼って、1年2ヶ月ぶりにその病院へ出向いたのだ。

診察に先立って、検査があった。
心臓のエコー検査。心電図と血液の検査。それと、なぜか、鼻の粘液の検査。

そのあと、順番が来て、○○医師の診察室に入った。
「お久しぶりですねぇ…」と先生は、にこやかに僕を迎え入れてくれた。
う~ん。たった一度なのに、覚えてくれていたんだ。うれしい。
僕も、もちろん1年2ヶ月前のことは、忘れていない。
「その節はお世話になりました」と、心からお礼を言い、再会を喜んだ。

あのあと、8月にK大病院で不整脈のカテーテル手術をして、思いも寄らぬアクシデントに見舞われたことなどを、かいつまんで話したら、○○医師は、「え~っ、カテーテルをして…? ふ~ん…、そうだったんですか」と驚いた様子だった。

ひとしきり、会話を終えた後、○○医師はペーパーを見ながら、
「検査の結果は、すべて異常なし、でしたよ」
そう言って、涼しげな眼で僕を見た。
しかし、僕にとって「新種」の不整脈は、いまも間歇的に続いている。
「従来の不整脈ほど苦しくはないのですが、もう4,5日続いているのが心配です。フ~っと気分が悪くなったりしますので、このままではちょっと…」

○○医師は、僕の話にうなづいて、
「ご心配なようですので、ホルター心電図をつけてみますか?」と言ってくれた。
胸に装着する24時間の心電図の記録を取ることによって、僕の不整脈がどういう種類のものかを特定し、それに見合う治療法を考えてもらう、ということである。
一口に不整脈といっても、その種類は、命に関わるものから放っておいても全然問題ないものまで、ピンからキリまで、数え切れないほど多い。

そんな具合で今日これからまた朝9時に病院に行き、ホルター心電図を装着する。
そして、明日の9時に、それを外してもらいに行く。
昨日、今日、明日と、3日連続の病院だ。
病院が終わり次第、職場に行くが、もう仕事も何もあったものじゃない。

しゃ~ないですね。健康が何よりも一番だもん。

   …………………………………………………………………………

 ここまでお読みいただいた皆さま。
 これは、コメントのしようのない記事だと思います。
 読み捨てて置いてくださいね~。

     明日もまた、この続きを書こうとしている「のん」より。

 

 

 

 

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 加齢と高校野球と耳鳴りと

2008年08月05日 | 日常のいろいろなこと

昨日も3人の仲間の方からコメントをいただきました。
今日は、記事の中でお返事をさせていただきます。


~ のこたんさんへ ~  

  年をとっていく…ということ

「若いときはあれだけ体力があったのに…」
というご主人や僕らの嘆きは、ある意味年齢的には仕方ないのでしょうけども…。
「それにしても…」という言葉が、そのあとにため息と共に出てきます。

「むかしは元気だったのにな~ぁぁぁぁ」
ぐすん。

いつか、片目が真っ赤になったとき、びっくりして眼科へ飛び込みましたが、
目をこすったりしたときに膜がずれて出血することがよくあるらしく、
「心配いりません。すぐに治ります」と医師に言われました。
「なんで、こんなふうになるんですか?」と僕が聞いたら、
「カレイによるものです」と言われたので、え~? と思い、
「カレーは最近食べてませんけど…」
と首をかしげた僕でした。
「あのね、違うでしょ。カレイは加齢、つまりお年、ということですがな」
と言われたときは、笑っている場合ではなく、大きなショックでした。
それ以来、耳鳴りその他、いろいろお医者にかかっていても、
「原因は○○と××と、それに加齢もありますしね~」
といわれることがめっきり多くなりました。
人は、そんなふうにして、自分が年をとってきたことを少しずつ自覚していくものなのでしょうね…。

不整脈はいちおう落ち着いたのですが、まだ心臓に違和感は残っています。
きょう、病院へ行って専門医の診察・検査を受ける予定です。


~ ちひろさんへ ~

  近大付属高校、残念でした

昨日は甲子園での近大付属を応援していただいていたのですね。
わが母校は、南大阪大会の予選で、6試合中5試合が逆転勝ちという接戦づくしの戦いを続けてきました。これは、つまりですね、勝負強いという評価のある反面、あまり強くないチームにもてこずって来たという、はっきり言って、相手を力でねじ伏せるだけのパワーがなかったのです。
だから、甲子園に出られたことだけでも「奇跡だ」と、僕たちは喜びました。
それ以上、欲を出してはいけない、と、自分に言い聞かせましたが、もちろん出たからには勝ち進んで欲しいのは当然ですよね。

しかし、初戦に当たった千葉経大付は、相手として悪すぎました。優勝候補ですものね。仕事から帰ってテレビをつけたら、3対0でリードされ、8回を迎えていました。9回裏に本塁打が出て一死後に二塁打が出たときは「ひょっとして…」と胸躍りましたが、ドヨド~ンと不整脈が出たので、慌てて冷静に戻りました(笑)。
結果は残念でしたが、甲子園でも最後まで粘って見せ場を作ってくれたことは何よりだったと思います。ご声援、ありがとうございました。これからは、大阪のもう1校の大阪桐蔭をはじめ、宮城の仙台育英と、のこたんさんの市岐阜商、たまごさんの駒大岩見沢などを応援していきたいと思います。


 
   8月5日朝日新聞大阪河内版より



~ アナザービートルさんへ ~

  耳鳴りがもたらしてくれたもの

いつも耳鳴りのことを書くと、アナザービートルさんの優しい言葉が返ってきますので、むしろ恐縮しています。すみません。
ちひろさんもコメントで、
「ほんとにこの話題(耳鳴り)になると、気楽にコメントしてはいけないような気がしてしまうのですが…」と書いてくださいました。アナザービートルさんも、きっとそういうお気持ちがあるのでしょうね。でも、そんなにご心配をしていただなくても、耳鳴りも、「誰にでもある人生のひとつのアクセント」と思える日が、遠からず訪れることを確信していますので、ご安心下さい。

こちらにコメントを寄せてくださるyukariさんややまぶきさんも、耳鳴りが発症したころはずいぶん落ち込まれたようです(当たり前ですが)。僕もなにか自分が呪われているのではないか、というような暗澹たる気分に落ち込んだものでした。

しかし、日にち薬、とはよく言ったもので、徐々に慣れてきています。
それで、ブログにも、いろんな角度から耳鳴りを取り上げていますが、これもネタのひとつなんだ、くらいに思ってお読みいただけたら有難いと思います。物を書くアナザービートルさんなら先刻ご承知のことだと思いますが、どんなものでもネタにしてしまおう…という俗念が「書くこと」の原動力にもなりますので、僕も、耳鳴りのおかげでこのブログを続けていけているようなものです。

ココロしておかねばないことはただひとつ。アナザービートルさんがおっしゃったとおり、耳鳴りからヤケになって自分を見失っていく…そのことだけはないように、しっかりと自己管理をしたいと思います。貴重なアドバイス、感謝します。

 

 

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 ギリシア神話と耳鳴り

2008年08月04日 | 心と体と健康と

前回、耳鳴りのTRT療法の病院の待合室で、阿刀田高の本を読みながら順番が来るのを待っていた…ということを書いた。読んでいたのは「ギリシア神話を知っていますか」という文庫本。最近また少しギリシア神話に凝っていて、この本も数ヶ月前から何度か読んだけれども、読むほどに滾々と湧き出る面白さがあり、外出時は持ち歩いて適当なところを開けて、つまみ食いのようにして読んでいる。

最近、それを読んでいて、耳鳴りと関係のある興味深いひとつの話を発見した。まあ、耳鳴りの改善にはゼンゼン役に立たない話ですけれども、今日はそのことについて書いてみます。

耳鳴りにはさまざまな態様があり、原因も諸説あって治療法も確立されていないことは、これまで何度も書いてきた。耳は外耳、中耳、内耳の3つの部分から成り、内耳は音を聞く聴覚器と、体のバランスを保つ平衡器という全く異なる2つの機能を持っているとのことである。内耳は、ものすごく精密で複雑なのである。

いろいろな耳鳴りの中でも、この内耳の聴神経で発生した耳鳴りが、最も治療の難しい耳鳴りであると言われている。僕なんかもそういう耳鳴りなのだろうと思っている。病院で、自分の耳の奥から脳にかけての克明なMRI写真を見せてもらい、中耳や内耳の仕組みを詳しく説明してもらったが、なかなか難しくて、半分も理解できなかった。蝸牛、耳石器、前庭…なんて、なんのことかさっぱりわからない。

まあ、とにかく耳の一番奥の「内耳」というヤツが、偉大なる存在にして、かつ大いなるクセ者と言わなければならない。

そこで話は、いきなりギリシア神話に飛ぶのです。
ご用とお急ぎでない方は、このあとも、おつき合い下さいまし~。

以下の話は、阿刀田さんの本の「アリアドネの糸」の章を参考にしております。
「アリアドネの糸」って、みなさん、よくご存知のお話ですよね。
この機会に、いっしょにおさらいをしてみましょう。

その昔、ギリシアのアテネと南方のクレタ島とが戦争をし、クレタ島が勝利した。戦勝国のクレタ島の王が戦利品としてアテネに要求したのが、
「毎年、7人の少年と7人の少女を人身御供としてクレタ島に送れ」だった。

何のための人身御供かと言えば、クレタ島に「迷宮」と呼ばれる宮殿(あるいは城塞のようなもの)があり、そこにミノタウロスという怪物が住んでいた。こいつは少年少女の肉を食うのが大好きで、献上しないと暴れ出す。だから、クレタ島の王は、アテネから毎年、少年少女を送らせて怪物に与えようとしたのである。

「そんなアホな。わたしらの可愛い子どもたちを!」と、アテネ側は困り果てる。
そこへ「ボクが人質に入ってクレタ島に行き、怪物ミノタウロスを退治しよう」
と、カッコよく名乗り出たのが、アテネ王・エイゲウスの子(つまり王子)のテセウスだった。テセウスは、人身御供の中に加わってクレタ島に運ばれた。

クレタ島の王の娘アリアドネが、そのテセウスを見て、一目ぼれをしてしまった。彼の勇猛な活躍ぶりは噂にも聞いていた。おそらく、怪物を倒そうというつもりだろう…と賢い彼女は推測するが、なにしろ怪物の住む「迷宮」は、もともと怪物が外に出られないようにと作られた宮殿で、中はきわめて複雑な迷路になっていた。テセウスが首尾よく怪物を退治したとしても、宮殿から出てくることは不可能である。そこでアリアドネは、テセウスに糸玉を渡した。

「この糸玉の一端を迷宮の扉に結びつけ、あとは糸をたぐって出ていらっしゃいませ。そして…」と、アリアドネは熱い視線をテセウスに向けた。
「そして…?」
「私を連れてこの国を逃げてください。あなたをお助けした以上、私もこの国にとどまることはできません」

テセウスは言われたとおりにして迷宮に入り、怪物とめぐりあい、一撃で倒した。

糸をたぐって無事に迷宮から出られたテセウスは、アリアドネが用意した船でクレタ島を脱出し、2人は結ばれる…。

…とまあ、ここまではいいのだけれど、そのあとたどり着いた島で、アリアドネは酒の神ディオニソスに気に入られ、ごちゃらごちゃらと言い寄られ、抱きしめられたりしている間に、テセウスは、なんとアリアドネを島に置いたまま、さっさと一人でわが国アテネに帰ってしまうのである。なんだ、この薄情モンがぁっ!

…で、この話と耳鳴りと、どう関係するのかというと…。

怪物ミノタウロスが住んでいた(というより閉じ込められていた)迷宮は、現在でも犯罪事件の犯人が見つからないまま歳月が過ぎたときに使う「迷宮入り」という言葉の語源にもなっている。それほど、複雑に入り組み、いったんその中に入ると二度と出て来ることができない宮殿…それがクレタ島の迷宮であった。

その迷宮の名は、ギリシア語で、ラビュリントスというのだそうだ。
英語で言うと labyrinth で、これは、ラビリンス、とでも発音するのだろうか。
さらにこれを医学用語で言えば、人間の耳の内部、つまり内耳の部分を意味するのだという。
ためしに手元の和英辞典で「内耳」を引くと、
inner ear と labyrinth の2通りの単語が出てくる。

内耳 → labyrinth(ラビリンス) → 迷宮

そうです。内耳は「迷宮」という意味を持っていたのです。
怪物ミノタウロスが閉じ込められていたギリシア神話の「迷宮」です。
迷路だらけの「迷宮」なのです。

それほど、耳の奥部は、複雑に曲折して入り組んでいる…というわけである。
ヒトの体の中で最も複雑な部分…と言い換えても過言ではないだろう。

耳鳴りというものが、謎に包まれているのも無理なからぬことである。
しかし、決して「迷宮入り」とあきらめてはならないことは、もちろんだ。

…ということで、ただそれだけの話です。すみません。
耳鳴りとギリシア神話の話はこれでおしまいです。愛想なしですか?

では、終わりに、テセウスに関するその後のエピソードを付け加えます。

アリアドネを捨て、船で故郷に向かったテセウスだったが、当初、人身御供としてアテネを出るとき、父親であるアテネの王エイゲウスに、
「もし無事で帰ってきたなら、船に白い帆をかかげます」と約束をした。
しかし、その約束を、テセウスはすっかり忘れていた。

息子の帰りを待ちわびていた王は、ある日岸壁に立って見ていたら、テセウスの船が見えた。「おぉっ」と思って船を見ると、白い帆が掲げられていなかった。
「やっぱり息子は怪物に食われて死んだのか」と、王は絶望のあまり、海に身を投げて死んでしまった。…あぁ、なんという早とちりなのだ。
テセウスも、恩人のアリアドネを見捨てたバチが当たったのだろうか…?

ちなみに、この海は、エイゲウス王の名をとって、エーゲ海と呼ばれるようになった、ということであります。チャンチャン。

 

 

 


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 耳鳴りの経過報告

2008年08月01日 | 心と体と健康と

今日から8月。日のたつのが早い。定年退職まで、あと8ヶ月を切ってしまった。
それにしても…毎日、暑い。暑すぎる。
ジージージーとうるさいセミの鳴き声が、体感温度をますます強めていく。

しかしそれ以上困ったことに、僕の耳の奥で鳴くセミには季節がない。耳鳴りが発症した昨年9月以来、秋が通り過ぎ、寒い冬が訪れ、年が移り変わり、やがてさわやかな春風が吹き抜けるようになり、新緑が広がり、梅雨が過ぎ去り、灼熱の太陽が大地をジリジリ焼き焦がすようになっても、ず~っとず~っと僕の耳の奥にはセミが棲みついていて、キンキンジージーと絶えず騒ぎ立てている。夜寝る前のシーンとした静かさの中では、その音がさらに大きく感じられて、つくづく辛いものを感じる。

そこで一句…

   静かさや 耳にしみ入る 蝉の声

そんな「耳キンキンジーンジーン現象」に悩まされながら、はや10ヶ月がたった。

30日はTRT療法のため、大手前病院の予約日だったので、今回は休暇を取って、Tシャツ姿の気楽な格好で病院の検査に出向いた。6月4日以来約2ヶ月ぶりである。午前9時半の予約だったので、9時過ぎにいつもの言語聴覚室の前のソファに座り、阿刀田高の文庫本を読みながら名前を呼ばれるのを待った。しばらくすると、僕の前に検査を受けていた女性が部屋から出てきた。yukariさんである。

「あ、こんにちは~」
「暑くなりましたね~」

離れたところで待っておられたyukariさんのお母さんも来られて、例のごとく、待合で3人でおしゃべりをした。僕が以前に蔵書を処分したことに話題が及び、お母さんもyukariさんも、大の本好きだとおっしゃった。同じ本でも若い頃に読むのと後年に読むのとでは、感じ方が違い、その都度、新たな感動を味わえますよ、とお母さん。水上勉の「越前竹人形」を、これまで何度も何度も読み返されたそうだ。

話に花が咲いている途中、(変な言い方だけど)話の腰を折るように、部屋のドアが開き、僕の名前が呼ばれた。いつも思うのだが、耳鳴りのように科学的に明確に解明できない症状を持っていると、医師や検査技師さんよりも、同じ症状を持つ者同士の体験談を交わすほうがよほど参考になり、説得力がある。呼ばれて言語聴覚室に入り、検査技師さんと向かい合ったとたん、僕のテンションは急に落ちた。

「yukariさんと、お知り合いなのですか?」と技師さんが切り出した。
僕らが親しそうに話していたのを目にすれば、誰でもそういう疑問が生じるだろ。
「えぇ。よく知っていますよ」と僕。
「そうですか」と技師さんは、どこでどう知り合ったのか聞きたそうな顔をした。
「ネットです。『耳鳴り治したい』という掲示板的なサイトがあったので、そこでyukariさんと知り合いました。大手前病院のTRTは、そこでは有名ですよ」
と、僕は少~しだけ種明かしをした。
「耳鳴りのホームページを、持たれているのですか?」と僕に尋ねる。
「いえ。他の方のホームページです。僕は持っていません。でも、そのホームページでは、大手前病院のTRTは、なかなか評判がいいみたいですね」
と付け加えることも僕は忘れなかったが、
「まあ、やっているところが少ないですから」
と、実直そうな技師さんは、関心が薄い様子で感想を述べた。

僕の現在の耳鳴りの症状としては、まだまだ「慣れる」までにはなっておらず、未だに心の不安が募ると、音も大きく感じ、不覚にもそれにおびえることさえある。耳につけるTCIも、1日中ほとんどつけており、外すと耳鳴りが辛く感じることが多い。何かに集中したり楽しみを見つたり、リズミカルな生活を送ったら耳鳴りは改善すると思う。思うのだけれど、気分や体がなかなかその方向へ向いてくれない。まあ、今後もそういう努力は続けていきたいと考えている…。そんなことを僕は言った。技師さんはうなずきながら手元のパソコンに何かを打ち込んでいるが、その指も、以前のようにはめまぐるしい動きは示していなかった。お互いが持つ情報は、もう出し尽くした…という感じも、しないではなかった。

「今日はお休みですか?」と、技師さんは僕の軽い服装を見て、話題を転じた。
「仕事にゆとりができたので、夏休みをもらいました」
「へぇ~、羨ましいですね。病院はお盆休みとかもありませんしねぇ」
(お盆休みは、役所にもありませんけどね…と、僕は心の中でつぶやく)

そんなやりとりもすぐに途切れ、話は早くも、今後はどうするかという最終段階に突入した。入室して15分ぐらいしかたっていなかった。

「もう、あなたの場合は耳鳴りについてもよく知っておられるし、自己管理でも十分いけるのかなあ、と思うのですが…。どうします? 次も予約をしますか?」
「そんな、ツレないことを…。ここへ来させてもらうのが、安心の源ですから」
「そうですか(と笑う)。じゃぁ、いつごろがいいですか…?」
「いつごろ…ねぇ…。ふ~む」僕は腕組みをして壁のカレンダーをにらんだ。
しくじったなぁ。その日は仕事を休んだので、手帳を持って来なかったのだ。
仕事の予定がわからないので、いつにしたらいいのか迷っていると、技師さんが、
「あのぉ…。yukariさんは10月×日の9時から予約されています。その日の9時半は空いていますけど。そこにしますか?」と言ってくれたので驚いた。見かけによらず、粋な計らいをしてくれる人なのだね。

「へぇ、そうなんですか。じゃぁ、その日に予約をお願いします」
そう答えたら「では取っておきます」と技師さんは表情をやわらげ、
「その直前に、耳鳴りの学会がありますので、何かいい情報をお伝えすることができるかも知れませんし」と言い添えてくれた。根は親切な人なんだなあ。

たぶん、10月×日も、今日とさして状況は変わっていないものと予想される。
技師さんとは、また軽い会話だけで終わると思うけれど、それも悪くないだろ。
数ヶ月に一度顔を出すことで気分が安らぐし、yukariさんたちとも会えるからね。

廊下に出て、さっそく僕の職場の庶務担当者にメールを送った。
「10月×日は何もなかったですか?」
すぐに返事が来た。
「何もありません」
あぁ、よかった~。


  …………………………………………………………………………


*最近、役所で親しくしている2人の人が耳に異常を訴えて休んでいる。
 ひとりは、突発的難聴と診断され、自宅療養を続けている。
 もうひとりは「ひどい耳鳴り」に襲われ、本人の希望で入院中だ。
 現在、病室でステロイドの点滴を受けているとのことである。
 ステロイドで耳鳴りが治る確率はきわめて低いと言われているが、
 その結果どうなるか、強い関心がある。推移を見守っていきたい。
 

*アナザービートルさんの奥さんが広告で耳鳴りを治す「ナリピタン」
 という薬のことを知って、僕に教えてくださった。いつも気にかけて  
 いただき、ありがたいことです。ただ、「ナリピタン」は試しましたが、
 全然効きませんでした。yukariさんも効かなかったと言っています。
 「ナリピタン」という名前も、「ナリヤマン」に変えたらどうかと、
 僕は小林製薬の宣伝部に提言するため、手紙を書いているところです。

 

 

 

 



 

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