12日に投開票された統一地方選・都道府議選は、
歴史的な低投票率だったそうある。
前々回が52.25%、前回が48.15%、今回が45・05%。
いろんな理由があるのだろうけど、大きな理由としては、
「自分が1票入れたとしても結果が変わるわけではない」
という理由がひとつで、もうひとつは、村上春樹さんが言ったように、
例えば候補者が3人いて、どれも議員にふさわしくない。
マイナス3の人とマイナス4の人とマイナス5の人と、
そんな3人から誰かを選べ…と言われても無理だ。
プラスの人がいないから、投票には行かない。
…という理由である。
さらに「忙しいのに選挙なんぞ行ってられない」
みたいな理由も多いだろうと思う。
まあ、立候補者の人間性とか政治的資質なんて、
外からはわからないし、演説は紋切り型だし。
僕も投票には行くけれど、支持政党があるわけでもなく、
「この人に!」という強い気持ちがあるわけでもない。
なんとなく決める…いうのが、正直なところである。
その統一地方選で、2件、珍しい出来事があった。
ひとつは、今回の選挙に出馬した全候補者の中で
最高齢だった91歳の男性が、13回連続当選を逃した話。
なんとまあ91歳で出馬とはすさまじいエネルギーだが、
残念なことに今回は落選してしまった。
しかもそれが…
1票の差で落選したそうである。1票差だぞぉ~
最下位当選の人が3,304票で、91歳の人が3,303票だったという。
さぞ無念だったろう。選挙管理委員会はちゃんと数えたのか?
…と思いたくなるし、もう1度投票用紙を数えなおしてくれ~
とも思うでしょうね。ホント、泣くに泣けないとはこのこと。
僕が住む藤井寺市議会議員選挙でも同じことがあった。
前々回の選挙だから2007年4月のことである。
20歳代の新人候補者が1票差で最下位当選した。
1票差だと、彼に投票した人はみんな、
「私が投票したから当選したんだ」と満足する。
実はその時、僕も妻もその新人に投票した。
「僕らが投票しなかったら落選していたなぁ」
と、他の人たちと同じように、言い合ったものだ。
しかしその新人は議員になってもパッとせず、
前回の選挙では次点で落選してしまった。
さて今回のもうひとつの珍しい出来事は、熊本市議選だった。
最後の1議席を2人の男性候補者が争い、
その結果、両者の得票が全く同数となった。
これまた、めったにない現象である。
それで、翌々日の火曜日にくじ引きで決めることになった。
公職選挙法で、同数票の場合はくじで決めると規定されている。
そのくじを引く様子が昨日のTVニュースで放映されていた。
沢山あるくじには数字が書かれてあり、
若い方の番号を引いた人が「当選」となる。
最初に引いた人が「3番」を引いた。
「きびしいなぁ」と相手の陣営がつぶやく。
次に引いた人は「10番」だった。
その結果「3番」を引いた人が当選した。
これもまあ悔しいだろうなぁ、負けた人。
その場ではTVも入っているので笑っていたが、
そのあと、親しい人だけの場に移ったときに、
「こんちくしょうめ!」と鬼の顔になっていただろう。
……………………………………………
僕が市役所の議会事務局で仕事をしていた時、
毎年「議長選挙」というのがあった。
議長は毎年交代するという慣例があり、
年に一度臨時議会を開いて議長を決める。
話し合いで全員異議なくA議員を議長に…
ということになれば、すんなりと決まる。
しかしそうもいかない場合が多い。
○○党と○○党から2人の候補者が出て、
共に一歩も譲らないとなると、投票で決めるしかない。
(3人以上出るということは、まずない)
議場にいる議員たちが、どちらかに投票するのだ。
で、ごくたまに2人の票が同数になることがある。
そんなときもやはり、くじで決めるのである。
くじ引きも、議場で議員たちが見守る中、行われる。
2人だからくじは2本。
まず「くじを引く順番を決めるくじ」を引く。
「当たり」のしるしのあるくじを引いても喜べない。
先にくじをひく権利を得ただけだからね~
「残り福」という言葉もあることだし、
こういうくじはあまり意味がない。
そして本番のくじ。
先に引いた人に当たりマークがあればそれで決定だ。
尻尾に当たりとハズレのマークがついている細長い2本のくじを持ち、
それを引かせる役をするのは、僕ら議会事務局の職員だ。
議長になってほしい人となってほしくない人がいると、
先にくじ引くのが「なってほしい人」だったら、
当たりくじのほうの先っぽをそろっと上げる。
他の議員たちには見えないように…。
そして「なってほしい人」がそのくじを引くと、
それで「○○議員が議長に当選されました~」となる。
ジャジャジャジャ~ン。
あはは。ウソです。
そんなことを議会事務局の職員がしたら、
ただでは済みませんからね~
でも、その場にいると、ふと…
そんなイタズラをしてみたくなったことは、ありましたけど。