羽鳥操の日々あれこれ

「からだはいちばん身近な自然」ほんとうにそうなの?自然さと文化のはざ間で何が起こっているのか、語り合ってみたい。

食育

2009年12月06日 09時12分22秒 | Weblog
 最近の子供は食卓にのぼる形でしか食物を理解していないと言う。
 スティック状の人参やきゅうりはそれがそのままの形で、魚は刺身のまま泳いでいる(まさか?いやホントの話)と。食育を政府が言い出し教育の場に持ち込んだ。
 しかし、なによりもこの詩はいかがだろう。移すことをお許し下さい。
 
 追悼「自然の詩」春の食卓 高田榮一  

息子よ おまえのうしろから 静かに春が貌をのぞかせている おまえの若い体臭に ちょっと迷うようなふりをしながら

君はいつもそうだった 必らず新しい驚きやとまどいや ときにやわらかな恥じらいを 巡って来るたびに運んできた 父さんの少年の日の春の記憶が そのまま食卓の向こうのおまえにもある

さあ おまえのために 父さんとおまえを繋いでいる春のために 食卓を飾ろう

太平洋の波色を凝縮したアジの銀の肌を 春繭のようにふくらんだ卵焼のメルヘンを 油絵具でも描けないピーマンの濃い緑を おぼろ夜に浮かぶ月のレモンを ニンジンやコマツナのおだやかな主張を タマネギとブタ肉の美しい協調を そうして食卓を舞う新鮮な会話も

何から食べてもいい 笑いからでも 涙からでも 思い出からでも

おまえと 父さんが 噛みしめる味 食卓に二人の春の願いを盛ろう 
 
日本原子力文化振興財団
『原子力文化12月号』
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