羽鳥操の日々あれこれ

「からだはいちばん身近な自然」ほんとうにそうなの?自然さと文化のはざ間で何が起こっているのか、語り合ってみたい。

巡礼一休み……映画を見る『シン・ゴジラ』

2016年08月11日 07時26分02秒 | Weblog
 水曜日はレディース・デイ。
「映画がお安く見られますのよ」
 そこで、暑さをも顧みず、午後のいちばん気温の高い時間帯に、新宿ピカデリーに出かけた。
 会場に子供がいるのかと思いきや、全くゼロ。見回すと中高年夫婦、初老の男性、男性同士の若者、若い女性同士も見受けられた。
 この手の映画ははじめてなのだけれど、なかなかの見応えだった。というかシビアな内容で、終始考えさせられてしまった。
「まず、大震災が起こったら、もうどうにもならないし、いつでも死を覚悟しておけ、って感じ」
 なのである。

 防衛のために総力挙げて戦う自衛隊、日米安保の難しさ、時間との戦いのなかで謎の進化生物の生命体解析にかけるハグレもの学者たち、事に当たる官僚と政治家の力関係と駆け引き、etc。
 謎に満ちた静かなはじまりから、怪物の登場。そして上陸によって引き起こされる災害。
 一応は、生物による自然災害のようでそうではない。
 人類が人工的に産み落とした生物を超えた怪物。つまり、人災への対処の難しさを描いてゆく。

 テレビでもおなじみの男性俳優総出演の感あり。
 長谷川博己、竹野内豊、石原さとみ3名を軸にストリーは展開する。
 脇をかためる主な俳優38名中、女優は4名。
 それだけで硬派な内容であることを、事前に読んだプログラムでつかんでいた。が、それは、想像以上であった。
「ゴジラといっても、子供向きではないんだ!」
 そう気づくのに時間はあまりかからなかった。
 
 大都会・東京を舞台に虚構と現実をうまくリンクさせて、死んでいても死んでいない、死んでいないのに死んでいる、いやいや、もともと生命体でありながら生殖無しに次世代を次々とつくりだせるゴジラの姿は、そのままメルトダウンを起こして手に負えない原発そのものの姿なのだ。あの手この手で進化し、増殖を続ける核兵器でもあるのだ。
 ドキュメンタリー色をふんだんに塗り込めたエンターテイメント映画「シン(新・進)・ゴジラ」だった。

 ラスト、東京の街に悠然と立つゴジラを背に、内閣官房副長官役の長谷川博己の制御不能な核に対する不安な表情が印象的だった。
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