電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩する風情で身辺の出来事を記録。退職後は果樹園農業と野菜作りにも取り組んでいます。

シマノフスキの弦楽四重奏曲第1番を聴く

2008年01月20日 06時41分27秒 | -室内楽
先日、某所の新年会がありました。泊まった先で相部屋になった某氏は、豪快なイビキで有名です。事前に情報を察知し、当方は携帯CDプレイヤーと耳栓型イヤホンを持参しました。温泉に入り、ほろ酔い機嫌で聴いたのが、シマノフスキの弦楽四重奏曲第1番でありました。
静かで集中力に富む音楽は、実にアルコールの酔いがまわります。奈落に吸い込まれるように眠りに落ちました。おかげで、翌朝「某氏のイビキ、すごかったろう?」と聞かれても、「いや~、音楽を聴いてて、ちっとも気づかなかったヨ」と答え、音楽好きと鈍感力と、両方の評判が著しく上昇した模様です(^_^;)>poripori

さすがに酔っぱらって睡眠導入剤として聴いたままではシマノフスキに失礼。ここしばらく、ポーランドの作曲家カロル・シマノフスキ(*)の弦楽四重奏曲を聴いております。第1番ハ長調Op.37は、1917年に作曲され、1919年のポーランド独立後の1922年に初演されたものだそうです。すでに後期ロマン派ではなく、でも無調とまではいかない、不思議な美しさを持った音楽です。

第1楽章、静かで集中力に富むレント・アッサイの序奏に続き、アレグロ・モデラートの主部。密度の濃い、きわめて集中力に富む音楽。最後はバン、と切断するような音で終わります。
第2楽章、アンダンティーノ・センプリーチェ。解説書によれば、全体が3部構成なのだそうで、第1部は「カンツォーネ風に」とされているとのこと。どこがカンツォーネ風なんじゃ!と思いますが、まあいいか。第2部はアダージョ・ドルチッシモ。繊細な転調は当方にも聴き取ることができます。第3部はレント・アッサイ・モルト・エスプレッシーヴォ。アタッカで第3楽章へ。
第3楽章、ヴィヴァーチェ。激しい序奏に、スケルツァンド・アラ・ブルレスカ、ヴィヴァーチェ・マ・ノン・トロッポの主部が続きます。不思議な響きは、各楽器の調性が異なる、多調で書かれているのだそうです。

演奏はカルミナ四重奏団で、DENON の COCO-70439 というCD。クレスト1000シリーズの1枚。1991年5月にスイスのセオンでデジタル録音されたもので、録音もたいへん優秀です。女性2人、男性2人のメンバーが思い思いに集まったようなCDジャケットが自然な雰囲気で、こちらもたいへん魅力的です。こういうデザイン的な愉しみは、CDやLPならではのものかも(^_^)/
併録されている弦楽四重奏曲第2番や、ウェーベルンの「弦楽四重奏のためのラングザマー・ザッツ」も、何度も聴いているうちにじわっと良さがわかってくる、たいへんすてきな音楽です。

■カルミナ四重奏団
I=7'28" II=5'34" III=4'24" total=17'26"

(*):カロル・シマノフスキ~Wikipediaの解説
コメント (2)