電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩する風情で身辺の出来事を記録。退職後は果樹園農業と野菜作りにも取り組んでいます。

ラヴェルの初期ピアノ作品「パレード」を聴く

2008年01月24日 06時41分21秒 | -独奏曲
ラヴェル(1875ー1937)のピアノ曲は、若い頃に、FM放送でペルルミュテールの「水の戯れ」や「夜のガスパール」を聴いて、すっかり気に入りました。このラヴェルのピアノ音楽全集第1巻「鐘、パレード」のCD(Naxos:8.550683)の冒頭に収録されている曲「パレード」は、初期の珍しい作品だそうで、Wikipedia の「モーリス・ラヴェル」にも記述がありません。どうも、フランソワ=ジョエル・ティオリエによる世界初録音らしいです。

この曲について、添付のリーフレットでは、次のように解説しています。

The piano piece La parade is a work of historical interest, rather than of any particular significance among Ravel's music for piano. It was written about the year 1898 for Antonine Meuniere of the Paris Opera, designed for interpretive dancing at home. Ravel was accustomed to inprovise at the piano for the dancing of Isadora Duncan, and La parade may be considered a surviving example of this activity. It consists of a number of dances, including two marches, two waltzes and a mazurka.

下手ながら、意訳を試みてみました。こんなふうでしょうか。

ピアノ小品「パレード」は、ラヴェルのピアノ音楽の中で何か特別な意味を持つものというよりは、音楽史的に興味ある作品です。本作品は、1898年頃に、パリ・オペラ座の Antonine Meuniere のために書かれました。ラヴェルは、イサドラ・ダンカンのためにピアノを即興演奏することに慣れており、「パレード」はこうした活動から今に残った実例であると考えられます。この曲はいくつかの舞曲からなり、2つの行進曲、2つのワルツとマズルカを1つ含んでいます。

ただし、家庭での interpretive dance というのがよくわかりません。コンピュータの世界でインタープリタといえば、人間がプログラミング言語で記述したソースコードを、コンピュータが実行できる形式に逐次変換しながら、そのプログラムを実行するソフトウェアのことをいいます。すると、インタープリティブ・ダンスというのは、ラヴェルが弾いた音楽を逐次解釈して踊るダンス、ということか。「即興ダンス」とか「解釈バレエ」といったものかもしれません。すると、「家庭での即興的なダンスのため」となるのでしょうか。

実際には、イサドラ・ダンカンの名前から想像されるような前衛的なものではなく、現代ならばむしろ街角で演奏されていてもおかしくない、少しモダンな、楽しい音楽といった雰囲気。「パレード」という題名が実にぴったりです。

しかし、こういう音楽を聴いて、その場で即興で踊るなんて、信じられない!木偶の坊の踊りなら、いささか自信がありますが(^o^;)>poripori

■フランソワ=ジョエル・ティオリエ盤 12'36"
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