御柱祭と言えば、ご神木の「山出し」「木落し」「里曳き」「建御柱」が、一般的には一連の行事と知られている。
このうち「木落し」は諏訪大社でしか行われない。
小宮の「山出し」も既に終わっている。
「建御柱」は神事であり、危険が伴うので、直接関わるのは神社関係者と玄人集団のみ。
そんな訳でオイラ達が参加できるのは、長時間にわてって御柱を、街中引き回す「里曳き」である。
御神木を氏子たちが、力を合わせて街中を引き廻す里曳き。
多くの人が参加でき、一体感がいや増し、とても幸せな時間を共にできる。
平坦な場所は楽々と動くが、坂道、踏切、曲がり角などは難儀する。
真の引手と思われるのは、御柱の直前を引く屈強な若者たちである。
坂で止まった御柱を何とか動かそうと・・・木遣り保存会の出番である。
長老もここ一番、自慢の声を張り上げて一行を鼓舞。
そんな中、本当に力になるのは子供木遣り。
中でも秀逸だったのがこの子供木遣り、法被・股引・鳶足袋で見事に装束をかため、美声を張り上げた。
「気持ち一つに お願いだ~」、「山の神様 お願いだ~」に、氏子は「ヨイサ」「ヨイサ」の掛け声とともに御柱を力いっぱい引くのだ。
曲がり角、登り坂で抵抗していた巨大な一之御柱も、ついに動き出した。
俄か氏子のオイラ達でも、何故か自然に涙が頬をつたう。
感動の一瞬だ!
細長い短冊状の物は「おんべ」と言われる祭り道具で、木の棒にカンナで削った木片を巻き付けたもので、おんべ=御幣の意味らしい?
「祭りを彩り 氏子を鼓舞し 巨木を動かす」おんべの力もすばらしい。
この子が持っているカラフルな「おんべ」は近年の流行とか・・・
後ろで後見人のように立っているのは、言わずと知れたオイラ達のリーダーです。
御神木と路面の摩擦を減らすため、要所ようしょで水を撒いている。
それでも、巨木を引いた後には、御柱の削りくずがいっぱい。
最後尾を行く氏子たちが、巨木を引いた後に残る削りくずを清掃していく。
当たり前のことかもしれないが、この祭りの真の美しさを見た思い。
オイラが生まれ育った浜松、終の棲家になろうとしている広島に、このように感動を呼ぶ祭りは残念ながらありません。