まつなる的雑文~光輝く明日に向かえ

まつなる兄さんのよしなしごと、旅歩き、野球、寺社巡りを書きます。頼りなく豊かなこの国に、何を賭け、何を夢見よう?

奈良29番「丹生川上神社下社」~神仏霊場巡拝の道・14(白と黒の神馬)

2022年06月13日 | 神仏霊場巡拝の道

丹生川上神社の三社めぐりも兼ねている今回の神仏霊場めぐり。5月29日、大和八木から(西国三十三所の)岡寺~談山神社を回った後、丹生川上神社の中社~上社と来て、これから下社に向かう。吉野郡を時計回りでたどるとこういう形になった。

国道169号線で吉野川に沿って下る。相変わらずカーブが続く中、川の周囲も少しずつ開けてきた。その中で前方に見えてきたのは鉄道の橋梁である。近鉄吉野線で、大和上市~吉野神宮にかかる鉄橋だ。前々回の神仏霊場めぐりではこの鉄橋を渡って吉野に着いたこともあり、何かここでつながったようにも感じられた。

そのまま近鉄と並走しながら国道を進み、下市口駅近くで国道309号線に入り、近鉄とはいったんお別れ。

この道は以前にバスで通ったところ。近畿三十六不動の札所である龍泉寺への参詣が目的だったが、龍泉寺があるのが天川村。大峯山に入る修験者たちのベースキャンプといえるところだ。今回はレンタカーで、下市の町並みを過ぎて、途中に急カーブの上りが続く区間を経て、国道からの分岐道を行く。

天川村の手前で国道から離れ、しばらく走ったところで丹生川上神社下社に着く。前を流れるのは丹生川で、そのまま賀名生を経て五條で吉野川に合流する。

神社の由緒は不明だが、例によって「丹生川上神社はどこにあるか」の考証が進む中で、かつて丹生大明神と称していたこの神社も有力視され、江戸時代後半にはここが丹生川上神社であるとして、孝明天皇も国家安泰、攘夷を祈願したという。しかし明治時代になって、現在の上社が丹生川上神社であると比定され、下市町の神社は下社となった。その後、「中社」を含めて丹生川上神社となり、戦後に上社、中社、下社がそれぞれ独立した。今は特にどこが本家でどこが分家で・・と分け隔てなく、三社めぐりを楽しんでほしいとのことだ。

なかなか経緯をうまく説明できないので、それぞれの関係についてはネット他をご覧いただくとして・・。

境内の一角に馬場があり、白馬がいる。近づくと白馬も物おじせずにこちらにやって来るので思わず後ずさりする。そこへ係の人がもう1頭、黒馬を連れてきて柵の中に入れる。

朝廷ではかつて、水の神に祈願をする時に馬を献上していた。雨を祈る時は黒馬を、長雨が止むのを祈る時は白馬を献上していたとある。後に、生きた馬の代わりに板に馬の絵を描いて奉納するようになったのが絵馬の発祥で、丹生川上神社がその発祥の地とされる。

その丹生川上神社下社に、2012年におよそ600年ぶりに献上されたのがこの馬だという。前年に起きた東日本大震災、紀伊半島大水害(いずれも、水の災害だ)からの復興祈願のためとのこと。ただ、水害といえばこのところ毎年どこかの地域で被害が出ている。この記事を書いている6月ともなれば、そろそろゲリラ豪雨のニュースも入って来る頃である。

拝殿に向かう。その奥には階段が伸びていて、本殿はその上にある。下社は江戸時代末期、天誅組を討伐する幕府方の兵火より焼失したが、明治時代に再建する時に階段(きざはし)を設けたという。その老朽化にともない、2019年におよそ150年ぶりに建て替えられたそうだ。

こちらでもご神水を汲むことができる。上社には水汲み場はなかったが、道の駅で川上村のペットボトルの水を買っていたので、これで水のほうも三社めぐりとなった。ちびりちびり飲むことにしよう。

朱印をいただく。丹生川上神社下社は2019年に元興寺とともに神仏霊場に加盟したところ。やはり「三社めぐり」を揃えようという働きかけがあったのだろうか。確かに、神仏霊場の札所が中社と上社だけだったら、私なんかはそういうものかと思ってこの二社だけを回っていたことだろう。

ここで、次の行き先を決めるくじである。おみくじではなくスマホアプリのあみだくじだが・・。

まず出走表は、

・大神神社(奈良8番)

・鞍馬寺(京都23番)

・大和神社(奈良7番)

・御上神社(滋賀12番)

・大原野神社(京都6番)

・観音寺(京都42番)

・・・またも奈良、京都に固まったように思う。くじ引きアプリもお手軽なものだが、出目も固まる傾向があるのかな。

そして、あみだくじの結果は・・5枠に入った大神神社。またも奈良、しかも今回めぐっているエリアにも近い。神仏霊場めぐり、図らずも奈良の中でも飛鳥、吉野エリアと来て次は桜井方面。次はさしずめ、山の辺の道、万葉まほろば線シリーズとして周辺の寺社をめぐることになりそうだ。

これで丹生川上神社の三社めぐりを終えて、レンタカーの出発点である大和八木に戻ることにする。下市口駅近くの昔からの町並みも通り過ぎる。その道すがら、今朝方立ち寄った岡寺のJR西日本・西国三十三所デジタルスタンプラリーのQRコードがある近鉄橿原神宮前駅を経由する。ならば・・・?

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