まつなる的雑文~光輝く明日に向かえ

まつなる兄さんのよしなしごと、旅歩き、野球、寺社巡りを書きます。頼りなく豊かなこの国に、何を賭け、何を夢見よう?

特急「ひだ」で日本海側へ横断

2019年12月31日 | 旅行記D・東海北陸

29日に乗車した「ひだ3号」。岐阜からは進行方向が変わる。私が座っているのは進行方向の右側で、東から南に向くところだ。冬の青空に降り注ぐ日光はありがたいのだが、その分まぶしいし、車内も暑く感じる。あちこちで窓側のカーテンが引かれるが、私は外の景色を見たいのでそれは我慢する。ただ、外の景色の写真を撮るとなると、窓ガラスに車内の様子が反射したりで思うようにはいかない。

岐阜を過ぎると乗車は落ち着いたようで、自由席の通路に立っていた客もデッキに移動したり、果ては向かい合わせにしてできたシートの隙間に荷物を入れたり、果てはその隙間に子どもを座らせたりと、混雑の中にあって少しでも快適にという動きになる。

観光利用の多い特急らしく、時折車窓の案内も入る。まずは現存の天守閣で日本最古である国宝の犬山城。高山線からは結構離れたところに位置するし、この時間だと逆光なので姿がくっきり見えるわけではないが、小高い丘の上にそれらしき姿が見える。

続いては木曽川の日本ライン。確か「日本ライン下り」という遊覧船があったと思うが、現在はその名前を聞かない。どうやら利用客の減少や安全面の理由から営業休止となったようである。

そして天然記念物にも指定されている飛水峡。木曽川水系の飛騨川の河床の岩盤の上に数多くの穴が見られるのが特徴というが、車窓で見る限りではよくわからない。時折ゴツゴツした岩が現れるなというくらいである。

美濃から飛騨に続く道中、茶畑が目立つ。白川茶というのはこの辺りの名産だという。国内の茶の生産の北限だそうで、急な地形で栽培され、昼夜の寒暖差が大きいことから立ち込める朝霧が保温効果を出すそうで、ゆっくりと旨味を蓄えるという。この日は穏やかな天候とはいえ、ここまで来ると日陰では霜が下りているのが見え、茶畑もうっすらと白くなっている。これでも大丈夫なのだろうか。

名勝の中山七里はほとんどが反対側の車窓に広がったようだが、いつしか飛騨川を渡り、下呂の温泉街が見えてきた。

ここで外国人観光客を含めてそこそこの下車があったが、それ以上に多くの乗客が乗り込んできた。下呂温泉に宿泊して、翌日に高山観光というルートだろうか。飛騨観光の王道といえば王道だが、実は私は下呂温泉を訪ねたことがないので何とも言えない。下呂であれば大阪から青春18きっぷの日帰り旅行でも行ける範囲で、宿泊しなくても日帰り入浴の施設もあるし、民俗村のようなスポットもあることからこれまで何回か行き先の候補に挙げたこともあるが、まだ実施にいたっていない。

下呂を出発してから車内改札があった。下呂から乗車したのもほとんどが外国人のようで、持っているのも一部新幹線を除く全国のJR特急が乗り放題の「ジャパン・レール・パス」のようである。その提示を受けて車掌も「タカヤマ?」「タカヤマ?」と呼称確認するだけである。で、私も指定席を放棄して自由席に座っている特急券を提示しようかとすると、先に、隣から周りにかけて陣取っていた大陸の親子連れのお父さんらしい客が人数分のパスを提示した。それを見て車掌も「タカヤマ?」とまとめて処理してそのまま行ってしまった。どうやら私も大陸からの客にカウントされたようだ。

まあ、どこぞの国の暗殺された要人にそっくりだと言われて居酒屋で写メを撮られた経験があるくらいだから、別にいいか。

高山線の最高地点にある久々野のあたりではさすがに少し雪の姿も見えるが、交通に支障があるものではなくうっすらとしたものである。大陸のお父さんも「雪だ」と外を指さすものの、事前に聞いていたほどの量ではなかったのか、ちょっと期待外れというような反応である。

さて、「タカヤマ」に到着した。果たしてほとんどの客が下車する。高山は飛騨の観光の拠点であり、もちろん古い町並みも見どころであるが、世界遺産の白川郷へのアクセス地でもある。下呂温泉に泊まり、高山をちょっと見てから白川郷に移動するというのも外国人に人気のルートのようだ。

ここで意外だったのが、高山で後ろを切り離して4両で走る富山行きにも、これもほとんどが外国人の待ち客があり、先ほど以上の混雑となった。この人たちは、もちろん富山を観光するケースもあるだろうが、富山から北陸新幹線に乗って金沢に行くか、ひょっとしたらそのまま東京に向かうために「ひだ」に乗るという人が多いのかな。

隣にやって来たのは外国からのカップル。女性に席を与えて男性が立っていたのだが、スマホに映る文字はクルクルした字体のタイ語。このエリアを訪ねるタイ人観光客が多いという。座席にあるJR東海の運行情報のQRコードの案内にもタイ語バージョンがあるようだ。

飛騨古川を過ぎて、富山県境の山深いエリアに入る。雪景色も少しは見えるがそれほどの量ではない。10年くらい前だったか、途中の杉原駅近くの民宿で年越しを迎えたことがあるのだが、その時は雪が深く、駅から徒歩3分のところだがご主人に送迎していただいた。

猪谷からはJR西日本の路線となる。少しウトウトする間に富山平野に出てきた。神通川に沿うエリアだが、手前に散居村、奥には雪をかぶった立山連峰が広がる。これは運がよい。隣のタイ人から私の目の前にスマホが伸びてきた。

定刻なら12時30分のところ、5分ほど遅れて高架の富山に到着。この旅にあたってまずは富山を目指すと書いたが、今回は乗り換えのみである。この後「あいの風とやま鉄道」の泊行きに乗り継ぐのだが、予定では12時47分発である。ただ乗り換えるだけなら同じホームなので問題はないのだが、富山では駅弁、そしてほたるいかやかまぼこといったアテを購入したい。まあ17分あれば買い物の時間はあるかと思うが、5分遅れとなるとちょっと厳しい。また多くの下車客がいるので移動に少し手間取る。

その中でいったん改札を出て、コンコース内の土産物コーナーでしかるべきものを購入する。幸い12時47分発には間に合い、そのまま東へと向かう・・・。

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