2022年は山陽新幹線の岡山開業から50年、また同時に、新幹線に接続して伯備線経由で山陽と山陰を結ぶ特急「やくも」の運転が開始されてから50年である。これを記念して、3月から「やくも」1編成の塗装をかつての国鉄色に変更し、新型車両が導入される予定の2024年春頃まで運転されている。
使用される国鉄型の381系は現在「やくも」でのみ運転されていて、その筋の人にとっては貴重な存在である。現在はJR以降のオリジナル色で走っているが、それが国鉄色にリバイバルするということで注目が集まっている。早速?沿線では撮影をめぐってのトラブル、迷惑行為が報じられているようだが・・。
私としては、列車というのは実際に乗ってなんぼである。車内で過ごす分には国鉄色かどうかはあまり影響しないのだが、そうした列車に乗り込む、そうした列車から降り立つことで昔の旅の風情を少しでも感じてみたいものである(実際、国鉄色の特急列車に乗った経験はほとんどないのだが・・)。
国鉄色は「やくも8・9・24・25号」として運転されていて、出雲市から朝の「やくも8号」として出発して、1日2往復して「やくも25号」で戻るパターン。山陽・岡山側から見れば、11時05分発の「やくも9号」に乗るか、18時39分着の「やくも24号」で戻るのがよいだろう。往復乗ってもいいし、行きまたは帰りに広島~出雲市間の高速バスを利用すれば、日帰りでも循環ルートで楽しむことができる・・・。
ここでもう一つ気になる列車。国鉄色とは少し違うが、ディーゼル機関車に牽引された客車列車がある。車両の老朽化により2023年度での廃止が決まっている「奥出雲おろち号」。もう少し猶予があるとはいえ、山陰に行くのならこちらにも乗っておきたい。
その「おろち号」には直近では2021年9月にも乗車したが、その時はクルマで前日に木次まで行って宿泊。当日は木次駅前にクルマを停めて、わざわざ延長運転の始発である出雲市まで木次線~山陰線で移動してから備後落合までの全区間を往復し、木次からクルマで広島に戻るルートだった。そうまでして乗りたいのかと言われそうだが・・。
「おろち号」は人気があり、2022年の運転が始まってからネット予約で空席をチェックするも連日満席である。「e5489」の場合、指定席券発売開始である乗車1ヶ月前にプラスしてさらに5日前から事前申込が可能なのだが、それでもダメ。もっとも、備後落合行きの場合は三井野原~備後落合間、また延長運転の出雲市~木次間なら空席があり、備後落合から木次行きの場合は全区間空席があることが多い。地元を盛り上げようと「おろち号」乗車がついたツアーがあ設定されていて、その多くは木次~三井野原間で「おろち号」に乗る。席の何割かは旅行会社が押さえていると言ってもいいだろう。
・・とは言え、ネットを頻繁にチェックしていると備後落合行きでもたまたま空席表示されることがあるもので、通路側ながら、5月22日の出雲市~備後落合間の指定席を確保することができた。
「おろち号」に乗ることができるのなら、これをベースにして先に書いた「国鉄色やくも」との組み合わせを考える。その結果、21日に岡山から「やくも9号」で出雲市まで行き、その日は出雲市泊。そして翌日は出雲市から「奥出雲おろち号」に乗車して備後落合へ。備後落合からの芸備線が2時間待ちとなるため、いったん「おろち号」の復路に乗って出雲坂根まで行き、行き違いとなる普通列車に飛び移って備後落合に戻ることにした。前に乗った時、「出雲坂根で反対列車に乗り換えの方は車掌までお知らせください」とあったので、そういう乗り方は可能だと判断。最後は備後落合から芸備線を乗り継げば、まだ日があるうちに広島に戻ることができる。これも循環ルートだ。
ということで、久しぶりに「札所めぐり」がまったく絡まない旅に出る。
5月21日朝、広島駅の新幹線ホームに向かう。手にあるのは「広島市内発広島市内着」の乗車券。経由に「広島・新幹線・伯備・山陰・木次・芸備」とある。木次線の分岐である宍道と出雲市との間は飛び出し乗車として別運賃が必要だが、途中駅で乗車券を区切るよりも安くなる。
そして乗車するのは広島8時55分発の「こだま840号」岡山行き。500系使用ということで、元グリーン車の6号車に乗る。500系じたいはJRになってからの車両だが、こちらも本数が少なくなっており、今回の旅のテーマにも合っている。
次の東広島では、反対側に博多行きの「こだま839号」が通過待ちの停車中。500系どうしが並ぶ光景も珍しい。
9時台ともなると列車の本数も増えており、この先の各駅で通過待ちの停車がある。
10時26分、岡山到着。「やくも9号」の発車は11時05分と少し時間があるが、今回は乗車券の特例を使っているので改札の外に出ることができない。次の「やくも」には3時間あまり乗るが、ちょうど昼時ということで「飲み鉄」としようかと、改札内にてあれこれ買い求める。
在来線ホームに降りるとすでにカメラを構えた人たちがホームのあちこちにいる。その向こうで国鉄色が出番を待っている。まずは長い4番線の端まで歩いて行き、その姿をチェックする。
そろそろ入線時刻となり、発車する2番線に向かう。6両編成でやって来た。これから、出雲に向けて出発である・・・。
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