まつなる的雑文~光輝く明日に向かえ

まつなる兄さんのよしなしごと、旅歩き、野球、寺社巡りを書きます。頼りなく豊かなこの国に、何を賭け、何を夢見よう?

第4回四国八十八所めぐり~神山温泉ですだち三昧

2016年10月23日 | 四国八十八ヶ所
鍋岩の集落から神山高校前を目指して歩く。ここからは完全に県道を歩くが、先ほどまで焼山寺に上っていたクルマが次々と追い越して行く。そして、先ほど停車していた観光バスも追い越して行く。15時を回ったこの時間からだとどうだろうか。次の13番の大日寺も行くのだろうか。

川沿いの道を少し急ぎ足で歩いたためか、神山町の集落が見えてきた。バス停は神山高校前だが、学校は徳島県立城西高校の神山分校である。この城西高校というのも、以前は徳島農業高校と称していたそうである。神山高校前だと16時04分発である。到着したのはその5分前。

バス停の標識があるので、乗り場がここでよいか確認しようと近づく。すると時刻表の様子が何か変だ。貼り紙があり、「10月1日にダイヤ改正」とある。そしてそれを見ると・・・これから乗ろうとする時間のバスはない。何と、15時59分発と書いてある。あらら、行ったばかりか・・・ともう一度よく見ると、その便は土日祝日は運行しておらず、もう1本、15時39分発というのが正解だった。スマホにわざわざ事前に時刻表をダウンロードしていたのだが、10月1日だからほんの少し前に変わっていたとは。おまけに、このダイヤ改正で変わったのは1日の中でこの時間帯だけなのである。ということは、絶対間に合わないバスを目がけて歩いていたわけである。思わず、本塁打を打たれた投手のように、膝に手をついてガックリくる。

ツイていないと言えばそれで済むことかもしれないが、これは公共交通機関で回ろうという者としては、絶対にやってはいけなかったことである。今回の初めのように、人身事故の影響でダイヤが乱れ、プランを練り直さざるを得なくなったのとは違う。まあ今日はお参りを済ませた後で、帰りに温泉に行こうというのだからまだいいが、場合によっては致命的なミスにつながりかねない。早めに予定を立てようと時刻表を早い時点でダウンロードしていたのが裏目に出た。実は他のバス路線についてもダウンロードしていたのだが、これらは一旦削除して、また行く直前に最新版をダウンロードすることにする。

さてどうするか。次のバスはおよそ40分後の16時47分発。ここは神山町の中心部ではあるが特段見るものもなさそうだ。神山温泉まではおよそ2.5キロ。・・・ならば、そこまで歩くか。これは時刻表見間違いのペナルティということで。

それでも、次のバスに乗るより多少早く、目指す神山温泉に到着。ここは日帰り入浴の他にホテルも備えていて、歩いて巡拝する人の中にはここに泊まる人もいるそうだ。とりあえず金剛杖は傘立てに置いてフロントへ。日帰り入浴は600円である。

浴室内の通路が畳というのに驚く。体を洗って湯船に身を沈めると、1日の疲れがじわりと出てくるのを感じる。膝の裏が時折ピリッとしたり、ふくらはぎが張った感じはするが、足にマメができるということもなくやれやれである。ただ一方で、左手親指の付け根が擦りむいている。ずっと左手で金剛杖を握っており、杖の角が当たるところである。これは意外。

当初は入浴をサッと済ませて、温泉前を17時25分に出るバスに乗ろうかとも思ったが、せっかくなのでゆっくりと入浴し、レストランもあるので早めの夕食(というよりは湯上りの一杯)を済ませることにした。となると、18時56分発の最終の徳島駅前行きに乗ることになる。今度はこの10月1日改正の時刻表を見たので間違いない。

大浴槽でのジャグジー、薬草風呂、露天風呂で汗を流した後で、レストランへ。地元の食材を使ったメニューがいろいろあるのだが、期間限定のすだち尽くしの料理があるので、それをいただく。神山町産のしいたけの佃煮をすだちで味付けした「すだちしいたけ」や、あめごの塩焼きにすだちを振りかけてみたり。

その中でメインは「すだちブリ」の刺身。すだちの皮を餌の中に混ぜて養殖したブリで、生臭さが少なく、ビタミンEが豊富に含まれる効果があるのだという。最近四国近辺(広島、大分も含めて)では、養殖のブリやハマチの餌にこのすだちだけでなく、レモン、みかん、かぼすなどを混ぜてそうした効果を引き出しているブランド養殖魚が増えている。山の中でブリ刺とは意外だが、これも徳島の名物ということで美味しくいただく。確かに、脂が濃いというよりは、さっぱりした味になっている。

そして忘れていた。これに合わせるのが「すだちビール」。まずは喉をうるおすということで普通の生ビールをいただいた後で、このすだちビールを注文。座っている位置から用意するところが見えたのだが、「すだちビール」というそういう製品があるわけではなく、まずは普通のビールサーバからビールをジョッキに7分目くらいまで注ぐ。そしてその上にすだちのリキュール(すだち酎かな?)を足す。それをかき混ぜた後、ビールの泡を一足しする。最後にすだちの一片を載せて「お待たせしました」。リキュールの甘さとすだちの香りが、ビールを爽やかなものにしている。

いろいろとあった1日は神山町特産のすだちで癒されるということで、以前の記事でチラッと触れた私の誕生日(10月9日)は思い出深いものとなった。

食後は休憩所でゆったりする。地元の人たちで日帰り温泉は賑わっているし、ホテルのほうも団体の宿泊があったようで満室とのことである。それだけ人気のところなのだろう。そろそろバスの時間と言うことで外に出るが、18時30分を回るともう真っ暗である。おまけに街灯もほとんどなく、少し歩いた先のバス停に行くのすら慎重になる。周りの家の中の照明が頼りである。昼にも聞いた町の防災無線が、暗くなった山の集落に響くのも結構こわい。

バスは18時56分発であるが、特段遅れる要素はないと思うのに定刻には来ない。こうなると「大丈夫かな」と不安である。徳島駅まで戻る最終便だからなおのことだ。5分ほど遅れてバスはやって来た。先に乗っていたのは女性一人だけ。着ているものから見て、先ほど焼山寺からの下りで、中途半端な時間だが下から上って来てすれ違った人のようにも見えるが、間違えていたら失礼だし、別に問い質してどうするということもないからそのまま乗る。もう外は真っ暗で何も見えず、どういうところを走っているのかわからない。今から乗る客もないからか、遅れを取り戻すためか、結構飛ばして走る。温泉に立ち寄り入浴したために周りが見られないのは残念だが、これも仕方ないだろう。

途中、13番大日寺最寄りの一宮札所前や、14番常楽寺前、15番国分寺前など、この先の札所最寄りの停留所を過ぎる。そして前日に訪れた府中(こう)の宮である大御和神社の前を通る。ここまで来ればもう町の中である。乗っていた女性が府中で下車した後は私一人。さすがに国道沿いで、19時半頃ではまだまだ多くのクルマも行き交い、沿道のレストランも家族連れなどで賑わっているようだ。結局徳島駅前に戻ったのは20時。

この日はもうこれで打ち止め、別に今から駅前のどこかに行くつもりもなく、そのまま東横インまで戻る。問題なのが明日の最終日をどうするかである。間で残っている13~15番を埋めるか、今回の目的地の一つだった小松島方面に行くか。スマホであれこれ考えるが結論が出ない。ともかく明日の朝ということで、この日は早めに就寝・・・・。

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