まつなる的雑文~光輝く明日に向かえ

まつなる兄さんのよしなしごと、旅歩き、野球、寺社巡りを書きます。頼りなく豊かなこの国に、何を賭け、何を夢見よう?

第7番「岡寺」~西国三十三所めぐり3巡目・8(万葉文化館と全国一の宮)

2019年12月11日 | 西国三十三所

11月27日、この日は所用のため有給休暇を取得。用事そのものは午前中で終わったが、さて午後の時間をどうするかである。

天気は青空とはいかず雲が広がっているのだが、ここは西国三十三所の「ちょこっとお出かけ」ということにする。札所めぐりでは西国四十九薬師めぐりもあるのだが、次の行き先は和歌山の海南ということで、これは休日に改めて午前中から行きたいところだ。

地図を見て、そういえば先日壺阪寺に行ったこともあり、今回はその隣にある岡寺はどうだろうかとなる。こちらもちょうど秋の特別拝観中ということで、本尊の塑像の如意輪観音像を内陣にて拝観することができるという。紅葉も見頃を迎えているようだ。

昼間の列車にて藤井寺から橿原神宮前まで移動する。岡寺へは橿原神宮前駅から飛鳥を周遊する路線バスで行くのが便利。もっともこれまでの2巡の訪問では、最初が飛鳥駅のレンタサイクル、次が橿原神宮前駅から飛鳥駅まで全て徒歩移動だったから、バスに乗るのは初めてである。

橿原神宮前に近づくと、駅前に結構な人だかりができているのが見える。また列車を降りて改札や京都線ホームに向かう通路にも人があふれていて、警備の数も物々しい。ニュースを見ていなかったのでこの時初めて知ったのだが、ちょうど前日から天皇皇后両陛下が関西に来られているそうだ。一連の即位の礼や大嘗祭が終わったことを皇室の御先祖に報告するということで、前日に奈良に入り、この日は橿原の神武天皇陵に参拝。この後京都に移動して孝明天皇陵、明治天皇陵に参拝するために近鉄特急で移動されるという。それを見送ろうと待つ人々である。

西国めぐりと橿原神宮前で思い出すのは、以前に長谷寺に参詣しての帰り、「全国豊かな海づくり大会」に臨席のため奈良に来られた現在の上皇ご夫妻に遭遇したことがある。今回も急ぐわけでなし、新たな天皇皇后両陛下の姿を直に見ようかとも思ったが、時間ももう少し後のようだし、まあいいかなということでそのまま改札の外に出る。駅の周囲も制服・私服姿の警察官であふれている。見送りの人については混乱を避けるためかエリアが決められているようだ。

乗るのは橿原神宮前から飛鳥のスポットを回って飛鳥駅に行く周遊路線バスの「赤かめ」。平日ながらそこそこの乗車があるが、運転手に「万葉文化館に行きますか」と確認する姿が目立つ。万葉文化館は過去に訪ねたことがあるが、何人も「行きますか」と確認するということは、この日何か特別な行事でもあるのだろうか。まさか天皇皇后両陛下が万葉文化館に来るというわけでもないだろうが、万葉文化館といえば「令和」改元で注目された万葉集に関するスポットである。岡寺に行く前に私も立ち寄ることにする。

バスで30分近く揺られて万葉文化館に到着する。同じバスから20人くらい、車内のほとんどの客が下車したのだが、皆さんがやって来たのは「万葉集を読む」という月例の講座のようである。平成の時から講座じたいは行われているそうだが、やはり令和になってから受講する人も増えているとか。ミュージアムショップにもさまざまな書籍が置かれているのだが、やはり令和を意識したものも目につく。またこの元号を考案した中西進氏の著作も過去のものも含めて結構並んでいて、私も思わず1冊買い求める。先に「積ん読」状態の本が何冊かあるので、開くのは少し先のことになるが。

乗客のお目当ては万葉集ということだったが、当初は何か特別な展示を目当てに来る人が多いのかと思っていた。現在開かれている企画展は「全国一の宮展」というもので、西田眞人という日本画家による全国の一の宮を描いた作品展である。これはこれで私は興味を引いたので入ってみる。

西田さんは神戸市出身の日本画家で、「端正で清潔、透明感あふれる日本画」、「詩情あふれる独自の世界を表現する気鋭の画家」などと評される。その作品はこういったもので(撮影可)、日本の他にイギリスの田舎の風景なども作品にしている。そんな中、2010年から新たなテーマとして全国の一の宮をめぐり、独自の世界観を描いている。

全国一の宮。日本の六十余州のそれぞれに一の宮がある。これは朝廷や国司が制度として定めたものではなく、由緒ある神社、多くの信仰を集めている神社の最上位をいつしか一の宮と崇めるようになった。また時代の移り変わりもあり、一つの国に複数の一の宮がある。そのため、現在は北海道や沖縄も含めて全国で101社ある。ミュージアムショップに全国一の宮のガイドブックがあったので購入したのだが、これを全て回るとなると実に大がかりなことかと思う。「日本百名城」よりハードかもしれないと感じた。

一の宮に当たる神社はこれまでに訪ねたことがあるところもそれなりに含まれているが、今のところは意識していないとしても、もし改めて「全国一の宮シリーズ」としてサイコロで行き先を決めるとなると、相当壮大なテーマとなるだろう(さすがにそこはサイコロで決めなくてもいいのでは?神社だからおみくじ方式にするとか・・・って)。

大和の国ということで三輪の大神神社を描いた作品がメインに展示されている。またこれに関連して大神神社ゆかりの遺物や史料もあり、信仰の歴史も紹介している。

そして北から順に、作品となったもの、その下絵としてスケッチされたものが並ぶ。単に風景を描くのではなく、そこに詩情を挟むことができるのも絵画ならではである。まだ101社全てを作品化しているわけではないそうだが、いずれはその国の風土を感じられるとして一の宮を回るのも面白いかなと思う。

この後は人形や歌劇で万葉や歌の世界を紹介する「万葉劇場」や「歌の広場」を見て、万葉文化館を後にする。ここまで来れば岡寺もほど近く、歩いて向かうことに・・・。

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