まつなる的雑文~光輝く明日に向かえ

まつなる兄さんのよしなしごと、旅歩き、野球、寺社巡りを書きます。頼りなく豊かなこの国に、何を賭け、何を夢見よう?

第31番「長命寺」~西国三十三ヶ所巡り・34(近江商人と水郷の町)

2015年10月19日 | 西国三十三所
残り6所と納経軸の番外で行くつもりの高野山と合わせて7所となった西国めぐり。今回は中7日で近江八幡の長命寺に出かける。滋賀県に6つある札所では最後である。なるべくならこの年内で西国は一度回りきりたいし、かと言って他の予定と重なって時間が取れなくなる恐れもあるので、行けるうちに行こうと思う。

ただそれなら、前週に安土の観音正寺に行った帰りに行けば済んでいたことだが、体力的にもハードだし、安土、近江八幡それぞれで回ってみたいというのがあった。近江八幡は新快速で何回も通過しているが、降りて観光となると10年以上前にさかのぼる。その時も市内中心部の古い町並みを見てロープウェーで八幡山に上っただけ。長命寺にも行っていない。

また今回行くなら、近江八幡中心部の古い町並みを見るだけではなく、水郷めぐりの遊覧船にも乗ってみたい。少し前に読んだ司馬遼太郎の『街道をゆく』の「近江散歩」の中で、琵琶湖の環境破壊、環境保全、その中にあっての水郷めぐりのことが書かれていた件が私には印象的だった。同じ紀行文の前半は、かつての歴史人物の足跡をたどったり、現代にも残る人々の生活文化風習を訪ねるという流れだったのが、安土城跡を訪れて築城当時は琵琶湖の湖面だったところが一面埋め立てられていた(干拓されていた)姿を見て、司馬遼太郎は愕然とする。この場面を境に、後半はそれまでの書き方から一転して、環境破壊について多くのページを割き、論調も厳しく、現代社会への批判が出ていたように感じた。船に乗りたいのはそういうこともある。

水郷めぐりは市内にいくつかの業者があるが、最も有名なのは「元祖」を名乗る近江八幡和船観光協同組合がやっている手漕ぎ船である。近江八幡の観光ガイドや、近江八幡をテーマにした旅番組でタレントが乗っている船はだいたいこの和船観光協同組合のものだという。乗り場も市内中心部から比較的近く、アクセスしやすい。近江八幡駅から長命寺に向かうバスの停留所もある。ホームページを確認すると、貸切船と乗り合いの定期船があり、一人旅なら2,160円で定期船を利用することになる。乗船時間は70~80分。定期船は事前予約も不要だが、ただ時間が10時発・15時発と一日2回しかない。1日2便とは不便だなと思うが、その間は団体や予約の貸切船が運航する時間帯ということか。個人客はその前とその後で受け付けるということだろう。

となると、近江八幡市内見物と長命寺参拝と水郷めぐりをどの順番で行うか。時間が決まっているのなら、水郷めぐりは10時発の便に乗るとして、その後で琵琶湖を望む長命寺を参拝し、帰りに市内見物ということにする。

ということで、大阪7時30分の新快速に乗り、8時30分過ぎに近江八幡に到着。水郷めぐりの乗り場へは駅前から長命寺行きのバスに乗って行くところであるが、まずは歩くことにする。地図を見て、歩いて歩けないこともない距離だし、歩数も稼いでおきたいところ(長命寺の参道は808段の石段で、体力も温存しておきたいところだが)。そして、市内の古い町並みも行きがけに歩いて通り抜けることにする。

駅前通りを歩く。日曜の朝のこととて人通りはそれほどでもないが、時折ジョギングやウォーキング姿の人を見かける。前回安土を訪れた時に目に付いた「飛び出し人形」だが、近江八幡の駅前から歩く中では見ることがなかった。それよりもこの通りには「ブーメラン通り」という愛称がついているのに気づく。店にも「ブーメラン通り店」と名乗るものがある。なぜ「ブーメラン」?

これは推測だが、改めて市街地図を見ると、この道は途中で「く」の字に曲がっている。その形状がブーメランに似ているからだろうか・・・?どなたか正解をご存知の方がいらっしゃれば・・・。

駅から20分あまり歩いて、近江商人の町並みが広がる新町通りに出る。資料館も開いたばかりだが、立ち寄っていると水郷めぐりの船の時間が気になるので帰りにでものぞいて見ることにする。まだ人通りも少ないので、八幡山をバックに伸びる格子造りの通りがよく映える。

ここから八幡山に向かって直進すると、八幡堀に出る。山城である八幡山城の堀の役目を果たしており、ここも水郷の一部である。この八幡堀に沿って昔ながらの家や蔵が並ぶ。多くは料理店や土産物店としても活用されているし、「かわらミュージアム」なるものも建っている。水郷めぐりにはこの八幡堀を行き来するコースもある。

こうした風情を残す町並みということで、時代劇などのロケでもよく使われている。近江八幡駅内の観光案内所に、NHK朝ドラ「あさが来た」のポスターが貼られていたが(ドラマを観ていないので中身は知らないのだが)、主人公や物語の舞台が近江八幡ということではなく、ロケ地として近江八幡の町並みが使われているからとのこと。ドラマそのものは幕末から明治にかけての設定だそうだ。

ただこうした町並みがあるといっても、すぐ隣では普通の家屋も並んでおり、生活の匂いがする。その辺りが、全国的に超有名な観光地とは違い、落ち着いた感じで歩くことができる面白さがある。

町並みを抜けると水郷めぐりの乗り場にやって来た。「船乗れます」の表示が出ている。まずはこれに乗って琵琶湖の一端を楽しむことにする・・・。
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