八本松の並滝寺を訪ね、芸陽バスの志和循環線に乗り続けて山陽線の西条駅に到着。駅前の看板には西条が誇る酒の銘柄がずらりと並ぶが、まずは広島新四国ということで橋上駅舎を通って駅の北側に出る。これから目指すのは第38番の国分寺である。
駅前に石州瓦の立派な本堂や門を構える寺があり、山陽線で通るたびに目につくのだが、これは教善寺という浄土真宗の寺で、室町時代に開かれたという。
線路に近いところの住宅地を抜け、東へ10分ほど歩いたところに国分寺がある。その名前からわかるように、奈良時代に聖武天皇の勅命で全国に開かれた国分寺の一つである。その後、律令制の衰えとともに国分寺も衰退していったが、その後再興、後継されたことで現在も結構多くの国に国分寺と名の付く寺が存在する。広島県でいえば、中国四十九薬師めぐりで訪ねた神辺にある備後の国分寺、そしてここ西条にある安芸の国分寺である。いずれも山陽道(西国街道)沿いで、古代から開かれた場所だったという。
安芸の国分寺の歴史は平安時代以降不明なところもあるが、室町時代には大内氏、毛利氏の保護を受けており、現在の山門もその当時の建物だという。そして江戸時代には浅野氏の祈願寺とされた。
正面の本堂は2004年の再建と新しい。扉が開いていることもあり、中に入ってのお勤めとする。本尊は薬師如来。
朱印は庫裡の外でいただく。なおここに「宿坊受付」の文字があるが、宿泊もできるのだろうか。
ここ安芸国分寺一帯は歴史公園として整備されている。現在本堂が建っている場所はかつての金堂跡で、先ほどくぐった山門は奈良時代の中門、もしくは南大門があったとされる。
今は住宅も建っているが、本堂から西に行くと塔跡があり、礎石も残されている。
金堂の北に講堂、僧坊、国師院などの跡がある。この一帯は広場となっていて、地元の子どもの遊び場にもなっている。戦前から戦後にかけて発掘調査が行われ、各地の国分寺の中でも奈良時代の開創当時の伽藍の跡が明らかになったとして貴重なものだという。発掘の結果、東西の長さは約250メートルとかなり長かったことがわかった。
その公園内には発掘調査から推測した当時の伽藍の模型が展示されていて、当時の様子がうかがえる。
安芸の国の古い歴史が残る貴重なスポットだと初めて知ったことで一つ勉強となり、国分寺はここまで。この後は案内板に従って、ある矢印の方向に向かうことに・・・。
・・・山陽線の踏切を渡ると「福美人」、「賀茂泉」といった赤レンガの煙突が目につく。西条の酒蔵通りである。
元々西条は西国街道の四日市という宿場町だったが、江戸時代から酒造りが行われ、明治から大正にかけて一気に全国的に有名になった。今も広島を代表する銘柄の酒蔵が並ぶところである。駅に戻りながらその風情を楽しむことにしよう。
酒蔵の間には最近建てられたらしい一戸建て住宅やマンションが並ぶ。伝統的な酒造施設を守りつつも、広島のベッドタウンとして開発が進む西条近辺での宅地造成を両立させたように見える。
賀茂泉酒造の前に出る。見学は原則平日のみのため扉は閉まっていたが、少し先の酒泉館で試飲と販売を行っているとある。それに従って進むと、昔の洋館に出る。ここ酒泉館には日本酒に関する蔵書が閲覧できる「お酒図書室」のほかに、「お酒喫茶」がある。
賀茂泉のさまざまな種類の飲み比べセットがあり、吟醸酒の5種飲み比べをいただく。フルーティなものから古酒まで、だんだん濃くなる味を楽しむことができる。
よい心持になって通りをぶらつく。その酒蔵に挟まれる位置にある広島新四国第59番の福寿院に出るが、原則札所番号順でめぐっているので今回は訪ねない。でもまあ、裏を返せばもう一度西条酒蔵通りに来る楽しみがあるわけで・・・。
西条(四日市)の本陣跡に隣接するのが賀茂鶴酒造。広島の中でもっとも有名な銘柄といっていいだろう。酒蔵を改装した見学室があり、酒造りに関する展示がある。
エントランスにはアメリカのオバマ大統領(当時)が広島を訪ねた時に振舞われたという賀茂鶴ゴールドの展示。ケースに収められた数々の瓶が、ふと京都の三十三間堂に並ぶ観音像を連想させる。
酒造りの道具などが並ぶ中、昭和の古き良き時代調の歌が流れる。賀茂鶴の社歌「世界に伸びゆく」で、作詞・西條八十、作曲・古関裕而、歌・村田英雄、コロムビア・ローズという当時の豪華メンバーである。「賀茂鶴 賀茂鶴 われらの賀茂鶴 たくましき羽ばたきに 未来へ翔ける われら われら」。
こちらでも無料ではなく有料の試飲がある。限定銘柄をスィーっといただいた後で、せっかくなので賀茂鶴ゴールドを購入し、今回のお土産とする。合わせて、入口にあった仕込み水も汲む。この水も、西条の酒を有名なものにした大きな要素とされている。
西条には他に郷土料理「美酒鍋」を出す店もあるし、西条の酒が楽しめる屋台村もある。夕方に訪ねてこうしたところを楽しむのもいいかなと思う。
先ほどは酒の飲み比べだけで昼食はまだだが、そのまま山陽線に乗って帰宅とする。
ホームに下りるとちょうどここまで貨物列車を後ろから押してきた機関車が切り離されたところ。貨物列車はそのまま三原方面に向けて動き出し、機関車は広島貨物ターミナルに単騎戻る。この機関車の回送も地味な作業である。
広島新四国八十八ヶ所めぐりはこの後は白市、河内とさらに山中に向かうことに・・・。
仕事のほうはいろいろあり、正直しんどく感じることもあるのですが、ブログに書くようなことも気分転換にしています。
バファローズもなかなか浮上できないですが、打線のあと一本です。まだ前半ですしこれから選手が揃っての巻き返しを期待しています。
これからもお見守りください。
しかし、人生ぼちぼち進むのが一番でっせ。
無理せず健康には注意し、頑張っておくれやす。