まつなる的雑文~光輝く明日に向かえ

まつなる兄さんのよしなしごと、旅歩き、野球、寺社巡りを書きます。頼りなく豊かなこの国に、何を賭け、何を夢見よう?

第7回四国八十八所めぐり~第27番「神峯寺」

2017年02月12日 | 四国八十八ヶ所
唐浜駅から歩いて1時間20分、ちょうど8時に神峯寺に到着した。

お参りの前にトイレに行ったが、入り口には立派な烏枢沙摩(うすさま)明王像がいる。便所の浄めの功徳があるとされ、最近では「トイレの神様」としても知られるようになった。後で納経所に行った時、この明王のお札がズラリ並べられていた。

さて本堂に向かうが、納経所からさらに石段を上がる。最後の最後まで上りだが、両脇は地形を活かした庭園のようで眺めはよい。また石段の途中で振り返ると、本坊も昔の武家屋敷を思わせる造りでなぜか見入ってしまう。山の上に立派なものである。

石段を上りきると弘法大師像が出迎えてくれる。「みちびき弘法大師」といい、片足を踏み出して躍動感がある。八十八所それぞれにいれいろな大師像があり、特徴があって面白い。

お堂が2つ並んでいて、手前が経堂、そして奥が本堂で、十一面観音像を祀る。四国ではきちんとろうそく、線香をあげているのでろうそくに火をつけようとするが、ライターが上手く作動しない。そういえばガスも少なかったかなと思い何回かボタンを押すがどうもいけない。するとクルマで回っている感じの男性から「僕の使ってください。差し上げますんで」と、小型のライターを差し出された。思わぬ心遣いに感謝。ただ、出発前に装備の点検はしておかないと反省。

先の記事で、神峯寺は元々神社が由来で十一面観音は神仏習合で祀られていたが、明治の神仏分離令で廃寺扱いになったと触れた。この十一面観音も、廃寺になった際は室戸の金剛頂寺に預けられ、寺の再興とともに戻ったそうである。この神仏分離、廃仏毀釈、明治政府はなぜこのような政策を行ったのか疑問に思う。

明治といえば、政治家ではないが安芸出身で三菱財閥の創始者の岩崎弥太郎がいる。その母親が、弥太郎の立身出世を願って21日間、毎日20キロ離れた安芸からこの「真っ縦」を上り、神峯寺に祈願したそうである。ならば寺のどこかに三菱マークでもあると面白いかと思ったが、さすがに見つからなかった。

少し石段を上がって大師堂に行く。大師堂の前に、まだ新しい感じの大師像がある。その奉納記念の石碑があり、香川の庵治の石で大師像を作成したと記されているが、発起人には四国だけでなく滋賀県の人が多いのに気づく。滋賀で何か神峯寺に入れ込んでいるグループでもあるのだろうか。

ともかくお参りを終えてやれやれ。この先に神峯神社への坂があるが、大師堂で引き返した。今思えば、そもそも神峯寺は神社が由来で、そこに行かなければ本来の歴史に触れたことにならないだろう。いつしか、本堂と大師堂に行けばそこはクリア・・という感覚になっていたことである。これは仕方ないのかな。ただ、他の札所もそうだが、もし次に訪れる機会があれば、もう少し周りのスポットに気をつけて、押さえるべきところは押さえるようにしたい。

この時はそのまま石段を下り、納経所に向かう。駐車場代はここで支払うようで交通手段を訊かれるが、歩きと答えると「ご苦労様でした」と返される。

これで一段落して、再び石段の横に向かう。ここには水子地蔵が祀られているが、その脇に「神峯の水」という湧き水がある。霊水とされており、ここまでの上りで空になったペットボトルに汲む。山の上ながら絶えず流れ出る霊水というのにも感心する。

さてこれから戻り。唐浜9時58分発の安芸行きがあり、これを目標にと出発したのが8時40分。まあ、帰りは下りなので間に合うとは思うが・・・。山門を出ようとすると、白衣姿の人たちと次々にすれ違う。団体のようだ。駐車場にはマイクロバスやタクシーが何台か停まっている。さすがに普通の観光バスではあの山道は無理のようだ。ただ私も、帰りは自然の山道ではなく自動車道を下る。下りは下りで結構キツい。膝の後ろにビリっと来ることのないよう注意しながら歩く。

舗装道路と昔ながらの遍路道との分岐を過ぎたところで、前方から歩いてくる人とすれ違う。前日の路線バスで見かけた、金剛杖を2本持ち、四国八十八所なのに南無阿弥陀仏の笈摺を着たお兄さんである。金剛杖を2本ともリュックにくくりつける荒業で上ってくる。前夜は同じホテルなはりに泊まっていたはずで、奈半利を1本後の列車で出たのかな。挨拶しても無表情ですれ違った。

この後、坂道をかなり下ったところで前から来る人に「オハヨウゴザイマス」と声をかけられる。こちらは荷物もほとんどない身軽な出で立ち。ただ姿は西洋人である。前日、室戸から元橋までバスに乗り、慣れた感じでバス代を払っていた人。リュックはどこかに預けたのだろう。他の遍路ころがしの道は前後の札所に続いているが、「真っ縦」は同じ道を往復する。

9時35分頃に唐浜駅に戻ることができた。ちょうど列車がホームに入って来たが、これは奈半利行き。同じ車両が折り返して来るまでしばらく休憩とする。次の大日寺に向かうのいち駅までの間は一旦白衣を脱ぐ。

折り返しで安芸行きがやって来た。再び背の高い転換クロスシートに腰かける。ここから安芸までは海岸近くも走る。ただこの日は曇っていて、黒潮もどんよりしているように見える。

安芸に到着。高知行きがホームの向かい側に停車していて、大日寺に向かうなら乗り換えであるが、ここで一度改札を出る。せっかく高知東部の中心地に来たし、観光地もあるので寄り道としよう・・・・。
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