まつなる的雑文~光輝く明日に向かえ

まつなる兄さんのよしなしごと、旅歩き、野球、寺社巡りを書きます。頼りなく豊かなこの国に、何を賭け、何を夢見よう?

北陸新幹線・・・の裏で考えなければならないこと

2012年03月13日 | ブログ

先日「九州新幹線が好調」ということを書いたのだが、今度はこれから開通しようという新幹線のこと。

2012031320490000_2「北へ向かって、魅力に向かって、北陸新幹線」というポスターを、会社帰りの駅で見かける。「北へ向かって」とはあるが、ポスターに登場する写真の光景は長野、新潟、富山、金沢、そして福井。つまり、「北へ向かう」のは東京から長野まで開通している長野新幹線のその後の新規開業を指してのことである。

こういうポスターを関西の駅に掲示するのって、果たしてどのくらいの効果があるのだろうか。長野から金沢まで開通したところで、関西にとって何かメリットが生まれるというものでもないし。まあうがった見方をすれば、東京から新幹線を直通させてメリットが生まれるのはせいぜい金沢まで。後の福井、そして福井から関西という区間に新幹線を通すのは関西の人たちの胸三寸ということで、だからこそ「北陸新幹線に協力してよ」という意味で出した広告ということなのだろうか。

先日、福井から特急サンダーバードに乗ることがあった。福井の次は京都までノンストップ、後は新大阪だけに停車して所要時間は2時間足らずというものだったが、在来線の特急でも走りやすい環境を整備してやれば別段苦にならない時間で到達できるというものである。これをわずかの時間短縮するために高い特急料金を設定し、かつ、地元在来線の交通網をズタズタにするだけの価値があるのだろうか。

世間では「地元の通勤通学客の利便性を低下させる」ということで、新幹線新規開業区間の在来線廃止、第三セクター化への反対意見が多い。ただその中で、目立たないが実はもっと憂慮しなければならないのが、貨物列車への影響ではないだろうか。

貨物列車を運転するJR貨物は自前の線路を持たない(・・・と言っていいだろう。もっと専門の方からはツッコミが入るところだが)。旅客列車を運行するJR各社の線路を使用する形で運転しているのだが、これがJRではない、第三セクターでズタズタにされた区間となるとどうだろう。それぞれの会社が線路使用料を高額に要求したり、会社によっては線路保守がままならないとかで貨物列車の走行そのものに難色を示すところもあるとか。

まあ、鉄道各社も自社の経営をどう安定させるかに苦慮するところである。しかし、貨物列車を一本走らせるのにいくつもの旅客会社をまたがせるのっていかがなものだろうか。

耳触りのいい言葉に「モーダルシフト」というのがある。トラック輸送から、環境負荷の少ない鉄道などに輸送をシフトしようということで、国の環境施策の一つでもあるし、最近は企業のグリーン経営の一環として「物流を鉄道に切り替えた」というのをアピールするメーカーもある。ただその実態を見るに、鉄道への移行はほんの一握りの話。やはり物流を支えるのはトラックである。

こういう、鉄道網がズタズタというのは、モーダルシフトに逆行していることである。せっかく鉄道を利用して・・・といいながら、その鉄道がものすごく不便なのだから。鉄道網の維持ということであれば、第三セクターにするくらいならJR貨物が引き受ける、あるいは国のものにしてもいいのではないかと思うが、どうだろうか。

本気で貨物列車へのシフト、物流の一翼を担わせようとするのであれば、当事者がもっとインフラ整備についての意識を持たなければ意味がないだろうな・・・・。

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