まつなる的雑文~光輝く明日に向かえ

まつなる兄さんのよしなしごと、旅歩き、野球、寺社巡りを書きます。頼りなく豊かなこの国に、何を賭け、何を夢見よう?

第26番「一乗寺」~西国三十三ヶ所巡り・10(播磨のローカル線と共に)

2014年12月08日 | 西国三十三所
くじ引きとサイコロで巡る西国三十三所も、番外含めて10ヶ所目である。今回は一乗寺を目指す。

一乗寺という名前を聞くと、京都のラーメン激戦区を思い浮かべる方が多いだろう。私は叡山電車の駅名を連想した。昔は京都にもその名の寺院があったそうだが、今はなくなっている。

で、西国三十三所の一乗寺は、兵庫県は加西市にある。巡礼初の兵庫県入りとなる。JRの西国三十三所スタンプは姫路、宝殿、加古川に設置されており、公共交通機関ならば姫路からバスが便利で、35分ほどで着くとある。

ただ、そこは「最近は札所というより、その前後の文章がだんだん長くなっている」私である。姫路エリアは書写山圓教寺の時に行くとして、一乗寺は「北条鉄道」という選択をする。

第3セクターの北条鉄道には法華口という駅がある。初めて北条鉄道に乗った時、名前のユニークさと古くからの木造駅舎の風情が印象に残っていた。その「法華」とは一乗寺の山号「法華山」から来たものである。一乗寺の存在自体、恥ずかしながら西国三十三所巡りをやるようになって初めて知ったが、言われてみれば由緒あることである。

アクセスを調べると、姫路からのバスは一乗寺を通った後は法華口駅前を経由している。ならばその逆もありかと時刻表を見ると、果たして便はあるもののお互い日中5本ずつしか出ていない。バスで往復すると一乗寺での時間が大きく余ってしまう。別に1日1エリアと決めているのだから、時間の心配をする必要はない。ただ今回、別のところで結構欲張っている。

それは、加古川線に接続するローカル線乗車と廃線跡の訪問というものである。北条鉄道に乗るとなると、第3セクター転換組でも現在廃止となった三木鉄道の跡がどうなっているかが気になる。また、第3セクターにもなれずいきなり廃止となった鍛冶屋線も跡地を残している。どんなものか行ってみたい。これに加えて、粟生には神戸方面から神鉄粟生線が延びているが、粟生線も存続に向けて揺れ動いていることだから乗っておきたい。

・・・ということで、ローカル線ながら阪神淡路大震災の時には代替路線として価値を見直され、その後電化を達成し、現在も地域のメイン路線になっている加古川線と、そこから分岐する(していた)路線をいろいろ見ることで、普段なかなか訪れることがない播磨中部を回ることにする。ただ列車やバスの乗り継ぎだけでは、ロスタイムが大きく夕方までにこなすのは無理。そこで「徒歩」を組み込むことに。まあ、それも巡礼らしくていいか。

日曜朝の6時半、阪神梅田から姫路行きの直通特急に乗る。山陽の車両だ。ヘッドマークには「ひめじの官兵衛」とある。今年の大河ドラマ「軍師官兵衛」が姫路ゆかりとあって、姫路市そして山陽電車は結構力を入れていた。岡田准一のラッピング車両もあったし、山陽電車への「経済効果」はどのくらいあっただろうか。

夜明けの阪神線を快走し、新開地で神鉄に乗り継ぐ。乗るのは粟生まで直通の普通。地下区間から地上に顔を出し、車体をキイキイ言わせながら急勾配を上る。途中、日陰に霜柱が下りているのも見えて、冬の訪れを感じる。

鈴蘭台から粟生線に入るが、鈴蘭台から乗客が増えて座席はほぼ埋まる。日曜の朝ということを考えれば乗車率は良いようで、途中駅で下車はあるものの、思ったより多くの人が結構長く乗っている。この程度の乗車率は、都市中心部を少し離れた路線ではごくごくあり得る光景と言える。

ただやはり、粟生線は深刻な状況なのだろうな。車内広告では粟生線活性化に向けたシンポジウムの案内とか、「乗らないと残りません」という、半ば脅しのような広告も見られる。沿線人口の減少に加えて、三宮直通バスの存在、高速道路の整備という厳しい条件はわかるし、徹底的な合理化を図っているのはわかるが、それでも年間10億の赤字が10年以上続くというのはなぜだろうか。時間が合えば、三木市で行われるそのシンポジウムで話を聴いてみたいところである。

さて粟生行はその三木で乗客の入れ替えがあった後、小野で大半が下車して、さすがにローカル線然としてきた。三木、小野といえば播磨中部の中心的なところで、そこから粟生線をひっぺ返すのはどうかなと思う。確かに時間はかかるが、一応神戸市街まで直通で行けるのだし・・・。

粟生に到着。JR、神鉄、北条鉄道の3社が改札の中で出会う。JRは窓口駅員と自動券売機はあるが、改札はしない。ICOCAも対応していない。神鉄は自動券売機とPiTaPa対応の自動改札機はあるが無人。北条鉄道は全て車内精算。三者三様である。

今回は神鉄~北条鉄道への乗り継ぎ。1両の気動車には数人の乗客。車内は中吊り広告もなくシンプルだ。発車間際に運転士が運転台からホームに出たが、若い女性である。北条鉄道として、若い人も雇用してこの先も鉄道としてやっていこうという意気込みかな。

終点北条町まで行けず法華口で降りるが、途中の田原、網引という小駅も地元の人たちの善意でほのぼのとした風情が出ている。

さて法華口。木造駅舎と時代がかった駅名票はあるが、ホームではサンタクロースがお出迎え。

法華口で下車するのは初めてだが、最近、駅舎を改装してパン屋が入っているという。駅のパン屋という話題だけでなく、パンそのものもよろしいとか。下車した時はオープン前で、スタッフの会話は聞こえるがカーテンが下りていた。一乗寺からの帰りには昼食代わりに帰るかな。

駅前に出ると、新しい感じの三重塔が出迎えてくれる。一乗寺の三重塔ら国宝なのだが、それにあやかってか。

これから目指すはその一乗寺だが、結局は往路で5キロを歩き、復路にバスに乗ることにした。計算では帰りのバスまで一乗寺に1時間余り滞在することになる。ちょうどよい頃かな。

ということで、法華口駅から始まる法華山一乗寺参詣・・・・。
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