まつなる的雑文~光輝く明日に向かえ

まつなる兄さんのよしなしごと、旅歩き、野球、寺社巡りを書きます。頼りなく豊かなこの国に、何を賭け、何を夢見よう?

SL津和野稲成号と懐かしい日本の原風景

2013年01月20日 | 旅行記F・中国

 

太陽がちょうど南側に回ったところで再び太鼓谷稲成神社の鳥居のところにたどり着く。先の記事に書いた、これから迎える「アレ」というのは、正月の元日~3日に限定で運転されるSL「津和野稲成号」である。

Dscn8400津和野からの折り返し便の指定席は確保していたが、街中にいるのだから新山口からやって来る便をどこかで見ることができればなと思ったのである。神社の境内だと雪景色の中、煙を吐いてやって来る全景を見ることができるのだが、もう少し近くで絵になりそうなところで見てみたい。そう思い、津和野川の土手に立つ。鉄橋を渡るところを撮ってみようというのである。<o:p></o:p>

 

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Dscn8411遠くで汽笛の音がし、煙が上がるのを見る。頃合を見計らって、蒸気が鉄橋に差し掛かったところでシャッターを押す。するとどうだろう、先頭のC56に続いて、赤いディーゼル機関車・DD51が続くではないか。そしてレトロ風の客車が3両。初詣客も列車に向けてカメラや携帯を向けるが、通ってしまえばあっという間のことである。このディーゼル機関車自体は私の好きな車種なのでいいのだが、SL列車としての見た目としてはどうだろうか。<o:p></o:p>

 

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Dscn8424津和野駅に出ると、到着後しばらくは記念撮影タイムということでホームに停まっていた。ここで先に青春18きっぷに日付を入れてもらい跨線橋からホームに向かう。C56は「ポニー」の愛称で親しまれた、どちらかと言えば小ぶりな部類に入る車体であるが、この山口線だけでなく、琵琶湖などあちこちのイベント運転に顔を出している。さすがにこれ1機では山口線の山越えが難しいということか、ディーゼル機関車の後押しによる運転である。<o:p></o:p>

 

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何人かの人と一緒に跨線橋の上で窓を開けてしばらく撮影していると汽笛が響き、ガタリと動き出した。気づいた時には既に遅く、窓から蒸気が容赦なく入ってきた。一瞬視界が全く利かなくなり、年明けからいたずらをされたようなものだ。<o:p></o:p>

 

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Dscn8442C56は折り返しの発車までは駅奥の側線で休憩するということで、転車台に差し掛かる。その様子を見に行こうと大勢の人たちが向かう。観光客もいれば「その筋」の人も。三脚や脚立を持って「今年もよろしくお願いします」と挨拶しあう光景も見られる。撮影を好む人たちも「初撮りはどこに出撃?」みたいな感じの交流があるのだろう。方角としては逆光となり結構眩しいのだが、先ほどまで煙を出して走っていた、暖かい状態のSLが転車台を回る光景はそう見ることができるものではない。<o:p></o:p>

 

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Dscn8463駅に戻り、津和野最後の立ち寄りスポットとして駅前の安野光雅美術館に向かう。年末が休館で元日から開館という施設。津和野出身の氏の多くの作品が収められている。この時は「絵のある自伝」や「風景と出会い」など、自身の津和野での思い出や風物を絵に託した作品の数々が展示されており、ちょっとユーモアを利かせたコメントも面白い。色調は淡いのだが、細部までしっかりと描かれた作品は思わずその世界に入ってしまいそうな気がする。<o:p></o:p>

 

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展示棟の他には昔の木造校舎をイメージした学習棟がある。ここでは氏のこれまでの作品を読むことができる。エッシャーのだまし絵のような「ふしぎなえ」(ひょっとしたら子どもの頃に読んだかもしれない)や「平家物語」、そして氏のライフワークとも言える「旅の絵本」のシリーズ。特に「旅の絵本」は、よく博物館で見るジオラマの絵本版とでも言おうか、行ったことはないのその国の街の賑わいが伝わって来るし、自分がその中に入って疑似体験をしているようにも思える。<o:p></o:p>

 

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旅から戻った後、NHKのEテレ「日曜美術館」で、現在取り組んでいる「旅の絵本」の日本編の制作を紹介しているのを見た。そこでイメージする日本の懐かしい風景というのが、氏の故郷である津和野である。番組ではこの美術館に設けられたアトリエでの制作風景や、津和野の風物に思いを馳せる氏のインタビューが紹介されていたが、何だか「おそらくこれが自分の最後の大きな仕事」と言っているかのように聞こえた。「旅の絵本」に描かれた「旅人」が最後は自分の原点である津和野、日本の風景に戻る。それを氏の集大成にしようというのかな。いや、こう勝手なことを言ってはまだまだご健在の氏には申し訳ないのだが・・・。<o:p></o:p>

 

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この日の雪景色を含め、四季折々に豊かな表情を見せる素朴な町。訪れる多くの観光客もその豊かさと懐かしさに引かれるのだと思う。SL「やまぐち号」や「津和野稲成号」が長年人気を保って津和野の町を走り続けるのも、それがよく似合うからだろう。また来たいと思うし、「旅の絵本」が出来上がるのも楽しみである。<o:p></o:p>

 

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そうこうするうちにSLの出発時刻が近づいてきた。駅に戻りロッカーからバッグを取り出した時には、小ぶりな待合スペースに人があふれていた・・・・。<o:p></o:p>

 

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