まつなる的雑文~光輝く明日に向かえ

まつなる兄さんのよしなしごと、旅歩き、野球、寺社巡りを書きます。頼りなく豊かなこの国に、何を賭け、何を夢見よう?

芸備線の超閑散(混雑)区間を行く・・

2021年09月14日 | 旅行記F・中国

行列のできるローカル線めぐりの続き、姫新線の次は芸備線・新見~備後落合間である。13時02分発。備後落合まで行くのは1日3本のみで、他の2本は早朝の5時18分発の快速と、18時25分発の鈍行である。ただし、18時25分発の鈍行で備後落合に着いてもその先には進むことはできない(暗闇の中、かろうじて新見には戻れるが)。途中の東城からは広島行きの高速バスがあるのだが、この列車が着く時間にはすでに運行を終えている。

逆に、5時18分発の快速に乗ろうと思えば新見のホテルに泊まるのが必須である。駅近くにホテルが2件あるし、宿泊サイトの書き込みを見るとその列車に乗るために泊まった客のコメントも見かける。わざわざ前泊して訪ねたくなる路線といってもいい。

とはいうものの、新見から日中の時間帯で芸備線に乗るための旅をするなら、自ずと13時02分発に乗ることになる。行列ができるのも仕方がない。

早くから並んだ甲斐があってか?、進行後ろ側のドアから入り、うまい具合に進行方向向きのボックス席を確保することができた。一方、進行前側のドアからも乗客が次々入り、座席はあっという間に埋まり、立ち客も出る。

新見からまずは伯備線を行き、布原に停車。伯備線の駅だが、停まる列車は芸備線の気動車のみという変わった駅だ。もともと信号場として設置され、一時は「仮乗降場」の扱いだったが、JR発足時に駅に格上げされた歴史がある。そんな駅だが、芸備線の列車も含めて撮影しようという人が何人もいる。もし芸備線のこの区間が廃止になったら、布原駅はどうなるのかな。そのまま伯備線の駅として残すか、元の信号場に戻してしまうか・・。

備中神代で伯備線と分かれ、芸備線に入る。神代川に沿って集落が続き、ここでも中国自動車道が出てくる。同じ新見市の旧神郷町、旧哲西町のエリアだ。

芸備線の利用促進に向けて、JRと沿線自治体の会議も持たれているが、沿線の人口も少ない地域でもあることから、コミュニティバスの利便性向上といっても効果は限定的なものだろう。また、観光スポットになりそうなところもなかなか見当たらない。とりあえず通学生とローカル線目当ての人たちが利用客の主力といったところだろう。

県境のトンネルを過ぎて、広島県に入る。ここからは平成の大合併で1市6町が合わさり、西日本で最も面積が広い市となった庄原市である。芸備線の存続をもっとも懸念している、また影響を受ける市といっていいだろう。その中で東城に到着。新見から東城までは1日6往復のところ、ここからいよいよ3往復の区間に入る。

岡山県から広島県へはそれほど車窓の変化を感じなかったが、むしろ広島県に入ってから厳しい地形を行くように感じる。成羽川沿いの緑の景色はよいのだが、またも時速25キロゾーンが続く。芸備線の中でも運休になることが多い区間で、最近では2020年3月には線路上に流れ込んだ土砂に列車が乗り上げ、横転する事故も起こっている(もっとも、この列車は新見5時台発の快速で、当時の記事によると「乗客は乗っておらず」とあった。それも悲しい話だが・・)。

先日8月の大雨でも線路損傷で東城~備後落合が不通になり、しばらく代行バスが運転されていた。ひょっとしたら中国山地ローカル線めぐりを計画していた9月4日、5日まで長引いていたかもしれない。その代行バスだが、東城を出て備後八幡、内名に停まる便と、小奴可、道後山に停まる便の2つが運行されるとあった。地図を見ると、後者はまだ国道314号線に近いルートにあるが、前者は駅に行く道もかなり狭そうだ。まあ、そうした代行バスに乗るのも貴重な経験かと思ったが、その前に線路のほうが復旧してくれた。保線の方も大変だっただろう。

途中に、芸備線内の秘境駅として知られる内名がある。あえてここで下車する人もいる。1日3往復の区間ではあるが、この便は終点の備後落合からほどなく新見へと折り返す。内名の場合、1時間あまり滞在することができる。駅周辺の観察にはちょうどよい時間だろう。

道後山から次の備後落合へは、三角形の2辺を通るルートである。直線距離だと近いが、標高差が150メートルほどあり、これをクリアするのが難しく、迂回せざるを得なかったという。途中に中国地方一の高さ30メートルを持つ第一小鳥原(ひととばら)橋梁があり、谷間を見下ろすことができる。並走する国道からこの国道を見上げたことがあるが、立派なものである。この橋梁をなくすのももったいない話だ。

14時25分、備後落合に到着。ご存知の方もいらっしゃるとおり、この時間帯は芸備線の新見から14時25分、三次からはちょっと前の14時21分、そして木次線の宍道からは14時33分と、相次いで列車が「落ち合う」。1日でもっとも人が集まる時間である。

そして備後落合からは14時38分発の新見行き、14時41分発の宍道行き、そして14時43分発の三次行きとそれぞれ順次発車する。その間、わずか20分ほどだが、かつての陰陽連絡のジャンクションだった頃のかすかな名残を感じさせる一時である。

以前にも触れたが、備後落合では元国鉄の機関士がボランティアとして乗客へのガイドや駅の清掃などを行っている。この時も木次線の列車を待つ客にホームで備後落合駅の案内をしていたし、それぞれの列車が出る時も手を振って見送るのも名物である。私が乗った三次行きにも、宍道行きが出たばかりの木次線ホームから手を振ってくれた。

ここからは芸備線の後半戦・・・。

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