まつなる的雑文~光輝く明日に向かえ

まつなる兄さんのよしなしごと、旅歩き、野球、寺社巡りを書きます。頼りなく豊かなこの国に、何を賭け、何を夢見よう?

神仏霊場巡拝の道~西国三十三所第18番・頂法寺六角堂(現代のいけばな、京都で新橋の味を)

2022年11月07日 | 神仏霊場巡拝の道

10月16日、神仏霊場めぐりは京都34番の行願寺にて終えたが、近くには西国三十三所第18番の頂法寺六角堂がある。神仏霊場と合わせて西国の4巡目も行っているので、この機会に回る。

神仏霊場めぐりは特別霊場の伊勢神宮内宮・外宮を含めて154ヶ所あるが、頂法寺くらい歴史のある寺ならそこに含まれていてもおかしくない(現に、京都市内の他の西国三十三所札所はすべて神仏霊場めぐりを兼ねている)。頂法寺側に話はあったのか、そのうえで辞退したとか、何か経緯があったのかな。

本能寺もある寺町通商店街を抜け、新京極から六角通を西に進む。ちょうど昼過ぎの時間帯とあって人出も多い。

六角堂に到着。外塀、そして境内には「聖徳太子千四百年大遠忌」の幟や幕が出ている。聖徳太子の没後1400年ということで、太子ゆかりの各地の寺院にて昨年から今年にかけて開かれている法要である。

ここ六角堂も聖徳太子により創建されたとされる寺院の一つである。太子が四天王寺建立のための材木を求めて山城に来て、この辺りの池で身を清めようと念持仏を木にかけておいた。するとその仏が動かなくなり、「この地にとどまって人々を救いたい」と言った。そこでお堂を建てたのが六角堂の始まりとされている。

後に、浄土真宗を起こす親鸞聖人が自ら進むべき道を見出したのも、ここ六角堂に籠った末のことだという。

後に聖徳太子は十七条憲法で和の精神を説いたが、仏前に花を供える作法に和の精神が入り込んで生まれたのが華道であり、六角堂から派生したのが現在につながる池坊である。

まずは六角堂にてのお勤めとする。

この日は、六角堂を囲むように数々のいけばな作品が展示されている。

「京都国際映画祭2022」と池坊とのコラボ企画とのことで、「華道文化の根底にある自然とそれを取り巻く自然環境に思いを寄せ、いけばな作品を通じて、自然の大切さや環境保全の重要性を発信します」とある。不要となった資材を再利用した作品が多く、いけばなというより現代アートに近い。

昨今はいけばなといっても花を剣山に突き刺せばいいというものではなく(昨今でなくとも、昔からそうだろうが)、さまざまな要素を取り入れる必要があるのかな。私にはとても無理。

一通り鑑賞した後で納経所に向かう。こちらでは西国三十三所の先達用納経軸への重ね印をいただく。その際、用紙の上部に日付を入れるのだが、係の人はなぜかそちらをじっと見て、「3年ぶりなんですね」と言う。

確かに、前回訪ねたのは2019年(令和元年)の10月のことで、ちょうど3年前のことだ。その時は午前中に梅田で行われた「先達研修会」に参加した後、そのまま阪急電車で京都まで来て、六角堂を参詣している。

この「先達研修会」、毎年1回、梅田の新阪急ホテルの会場にて数百人規模で行われていたが、コロナ禍の2020年からは集会形式は中止となり、YouTubeにて西国三十三所に関する知識や、札所住職による法話の動画を見るオンライン形式となっている。私も一応動画は見たのだが、まあ、そんなもんかという感想である。以前の集会形式での開催を望む声が出ているのかどうかはわからないが、もし来年度以降行うとしても人数を絞るとか、昼食の提供は取り止めとか、限定された形になるのかな(お年寄りも結構多いので・・)。西国4巡目はまだまだこれからだが、神仏霊場めぐりと合わせてぼちぼち進めていくつもりだ。

さて、例によって昼食を取る時間を惜しんでこの日の行程を終えた。もう少し時間がかかるかと思っていたがそれよりは早く終わったので、まずは地下鉄で京都駅まで戻り、帰りの京都からの新幹線の指定席を前倒し変更する。広島着の「のぞみ」ということで、当日でも空席は十分あった。逆に、その京都から「のぞみ」に乗るまでの時間で遅い昼食を兼ねて一献とする。もっともお目当ては京料理とかではなく、大衆酒場での昼飲みである。

地下街を北上して七条通まで出る。階段を上がったところで目についたのが「立呑処 新橋へそ」。「へそ」といえば、先ほど訪ねた六角堂には平安京の中心にあたるとされる「へそ石」があったなあ。もっともここは別にそれとは関係ないし、それどころか店じたい「新橋」という名前がつくだけあって、店のコンセプトは完全にそちら寄りである。広島から京都に来て新橋の風情を味わうのも面白いだろう。立ち飲み以外にも外のテラスも含めて座って飲むこともできる。

まずはジョッキで一人乾杯し、その後はホッピーに切り替える。

メニューには一品ものの他、串揚げ料理、珍味、韓国風などさまざまあり、初見だとあれこれ迷ってしまう。で、最初は様子見で冷奴や目刺しといった無難なものに落ち着く。

近くの肉屋提供のコロッケもなかなか食べ応えがある。

その中で見つけたのが、カニかまのカニ味噌和え。本物のカニではなくカニかまというのが大衆酒場らしい。カニかまにカニ味噌をまぶす、あるいはぐるぐる混ぜることで美味となる。これは帰宅後も気軽にできる一品で、いずれもコンビニで調達できて(カニ味噌の缶詰)、今回店でいただいた2回分楽しめる。

他には、コンビーフのマヨネーズ添え。クラッカー(リッツ)とキャベツの小片もついていて、この3者を組み合わせてさまざまな味が楽しめる。

それならば、と追加で単品を注文したのが韓国海苔の佃煮。本当はパリパリの韓国海苔のほうがよいのだが、ここに海苔の風味を加えるとさらに味わいが広がる。

十分に満足して京都駅に戻り、16時07分発の「のぞみ93号」に乗る。「のぞみ」はいくらでも走っているが、その中で広島行きを選ぶことで東海道~山陽新幹線直通でも座席の確保は楽である。

新幹線の主要駅に福山のアパレルメーカーの自重堂の看板が掲げられているのだが、これまでは作業服姿で腕組みする社長の出原群三氏が単独で登場していたところ、ファイターズの新庄監督(ここでの肩書は「BIGBOSS」で)とのツーショットになっていた。これまでも自重堂の次世代ブランド「Jawin(ジャウィン)」のイメージキャラクターに(就任前から)新庄監督を起用しており、福山駅では看板に登場していたのだが、この人をもって前面に出さないのはもったいないと思っていた。それがようやく実現した形である。来季新球場元年となるファイターズ、今のパ・リーグなら優勝争いに割って入ることも十分考えられ、自重堂のこの看板も知名度が上がることも期待される。

「のぞみ93号」は果たして指定席も十分余裕があり、当日変更の2人掛け窓側も余裕でそのまま順調に帰宅した。振り返ると、前夜はパ・リーグのクライマックスシリーズを観戦した後で、その興奮を受けての京都行き。そして、週末は日本シリーズを迎える。今季は週末がセ・リーグ本拠地の番なので神宮球場となり、さすがに東京は遠いので現地観戦の予定はないが、楽しみにしていた時期である。

そして激闘の日本シリーズを迎えるのであった・・・。

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