まつなる的雑文~光輝く明日に向かえ

まつなる兄さんのよしなしごと、旅歩き、野球、寺社巡りを書きます。頼りなく豊かなこの国に、何を賭け、何を夢見よう?

奥出雲の小さな駅・・・亀嵩

2013年05月23日 | 旅行記F・中国

松本清張の名作の一つである『砂の器』。これまで何度も映画やドラマ化された作品であるが、その舞台として大きな役割を果たすのが出雲地方。それも木次線は亀嵩駅である。

Dscn1040出雲弁と東北弁が似ているということを発見し、犯人特定のきっかけになったのがこの亀嵩であるが、よく考えれば、亀嵩という地名を出すためだけに刑事をわざわざ秋田の亀田まで引っ張りだしたことであり、スケールが大きいなと思う一方で、もうちょっと何とかならんかったんかいなという突っ込みどころのある話である。

Dscn1039いやそれでも、いろんな形でリメークされても楽しめる作品。中居正広版のドラマも、最初は???という感じだったが、改めて見返すとよく21世紀版にアレンジされたなという思いと、日本各地のロケ地、そして松雪泰子さんが綺麗だったなあ・・・とか、まあ勝手に思うのであった。

Dscn1036さてその亀嵩であるが、『砂の器』の舞台というよりも最近は「駅舎の中にあるそば屋」としても有名である。駅の中に店があるというのは現在の駅ナカとなんら変わるものではないが、この手のローカル駅舎というのは、かつて駅長室や執務室、出札口だったスペースを改装して店舗にしてしまうというのが特徴。亀嵩はその走りといった存在である。手打ちそばの「扇屋」がこの駅で旅人を出迎えてくれる。

ちょうど食事時ということでテーブルもほどよく埋まる。出雲そばの特徴である割子そばのついた定食をいただく。店内には有名人のサインがずらりと並ぶ。こんな小さな駅であるが、注目度は高い。亀嵩駅はいわゆる秘境駅には該当しないが、旅好きから見れば素朴な風情が味わえる駅としてポイントは高い。

Dscn1035そばを待つ間、ちょうど備後落合方面の列車がやってきた。座敷越しに眺める気動車。そばと気動車が出会うタイミングもそうあるものではなく、目の前を走り去る気動車のエンジン音の余韻を楽しむ。

Dscn1033そうするうちにやってきた割子そばの定食。素朴な味わいのそばに、地元仁多産のコシヒカリ、そして地元の野菜などが盛り込まれたもので、結構いける。ちらりと横を見れば出札口。そういうところで、何だか人の家に上がらせてもらったような感覚での食事となった。

Dscn1046亀嵩駅といっても、亀嵩の集落までは結構離れている。この後で通ってみたところでは赤い石州瓦の屋根の家々が並ぶ昔ながらの集落である。その集落を抜けたところにあるのが湯野神社。亀嵩の由緒ある神社で、参道のヒノキに大杉が雨水を含んで緑鮮やかに見える。

Dscn1041この脇にあるのが松本清張の『砂の器』を記念した石碑。先に書いたドラマでもこの湯野神社がロケ地に使われていたともいう。

Dscn1045また一方で、かつての横綱・陣幕久五郎ゆかりの神社ということで、ここを舞台に雲伯出世相撲という興行も行われたとか。境内には土俵が残り、陣幕ということで縁がある元・千代の富士の九重親方もこの神社を訪れて相撲教室というか、地元の子どもたち相手のイベントを開いたこともあるそうである。

Dscn1037木次線の走る奥出雲は、線内の風情ある駅たちもそうだが、現代に受け継がれる独特の技能を有する土地でもある。その代表的なものがたたら製鉄である。今度はそのたたら製鉄にまつわることを書いてみようと思う・・・・。

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