まつなる的雑文~光輝く明日に向かえ

まつなる兄さんのよしなしごと、旅歩き、野球、寺社巡りを書きます。頼りなく豊かなこの国に、何を賭け、何を夢見よう?

津軽鉄道ストーブ列車

2012年01月15日 | 旅行記B・東北

Dscn2589五所川原の駅でストーブ列車のきっぷを購入。前に一人おり、窓口の係員からは「車内でも買えますからどうぞ先に乗ってください」と言われる。ただ、売りさばいているのが今となっては珍しい硬券の乗車券ということで「それ(硬券)で欲しいので」ということで売ってもらう。ついでに売店で酒とスルメを買っての乗車。

Dscn2518ストーブ列車には以前に一度、同じように五能線と合わせて乗車したことがある。その時は乗車券だけでよかったはずだが、最近では「ストーブ券」ということで別途300円が必要とのこと。ストーブ列車の維持(そりゃ、あれだけのものを動かすのは結構コストがかかるだろうな)のためということで、ただでさえ経営が苦しい地方のローカル鉄道、これまで追加料金なしで乗れていたのが奇跡的だったのかもしれない。

Dscn2514機関車が1両に、旧国鉄で使用されていた客車が2両、そして別料金なしで乗れる気動車が1両連結されている。団体客も多く、そういうところはあらかじめ仕切りをしておいて、残りの席に座ることになる。ほぼ満席となって出発。

Dscn2521客車1両の中に2ヶ所ストーブがある。さっそくにストーブの上の網でスルメを焼く光景も。そうそう、これが楽しみで先ほど買い込んだものだ。

Dscn2523私もスルメを袋から出して順番を待とうとすると「よかったら焼きましょう」という女性の声。制服に身を包んだアテンダントさん。そういえば、津軽鉄道にもアテンダントが採用されたという話を聞いたことがある。お願いしますと差し出すと、「他にスルメ持っている方はお知らせくださいね」と声をかける。

するとそこへ「酒っこ、ビール、スルメっこ」と言いながらワゴンがやってくる。何だか楽しいイベント列車になってきた。300円のストーブ券はこうしたスタッフの費用にもなるのかなと思いながら、わざわざ遠くからやってきた人にとってはイベントとして旅の思い出となることであるからいいだろう。

Dscn2526「お客さんスルメ焼けましたよ」と、先のアテンダントがわざわざ胴と足を食べやすいようにちぎって、私が時刻表を敷紙にしたその上へ盛り付けてくれる。客車列車、スルメ、酒・・・・何ともまあ贅沢な昼食となりそうだ。それを噛みながら、雪一面の車窓を見る。

Dscn2531アテンダント1両ずつ2人乗務しており、もちろんスルメを焼くだけではなくピンマイクを使って観光案内や津軽鉄道のPRも行う。案内といっても通り一片の原稿を読むのではなく、津軽弁丸出しでアドリブも聞かせながら、乗客とやり取りしながら進む中、車内でも笑い声が起こる。この日は変わりやすい天候ではあるが、それでも寒さを吹き飛ばそうと元気である。前日訪れた外ヶ浜とは異なり、厳しい気候の中にも、平野部にはどこか豊かさ、余裕のようなものがあるのだろうか。太宰治も金木の名家の出、最近なら吉幾三とか羽柴誠三秀吉とか「名士(?)」もいるわけで・・・・。

スルメをかじり、酒を飲み、アテンダントのトークを聞きながらそんなことを思ううち、金木に到着。ここで団体客を含め、8割方の客が下車した。アテンダントも一人がここで下車。車内はいっぺんに空席が目立ち、残ったのはやはり「その筋」の人たち。

Dscn2536ということで席をストーブの前に移す。やはりその熱は強く、ストーブのすぐ前の席だと熱く感じる。でもまあ、屋内ではこのくらい暖めておかないと外に出た時に寒さが堪えるというものだろう。アテンダントやワゴン売りのおじさんらが車内の片づけやら炭の補充を行うのを見る。アテンダントが紙を見ながら手すりに仕切りのチェーンをひっかけている。恐らく復路もいくつかの団体が乗ってくるのだろう。

Dscn2547終点の津軽中里に到着。機関車の折り返し作業を見た後で、20分後に出る折り返しの列車に乗ることにする。どうやら年始でも金木の観光施設や開いているようなので途中下車してもよかったのだが、前にも訪れたこともあるし、特に太宰ファンというわけでもないのでもういいかということで、五所川原まで買い求める。今度はこちらからの復路に乗ろうという団体もいて、小さな駅舎の中は混雑している。

Dscn2550「日本最北の民鉄」というのが津軽鉄道。ああそうだったかと改めて思い出す。札幌の地下鉄や函館の路面電車は市営だから。

Dscn2559帰りもほぼ満席となって発車。ここに来て日差しも出てきて、白い雪面からの照り返しがきつい。帰りもアテンダントにワゴン販売で賑やかな車内。ここでもう一本酒を購入「お客さん、飲み鉄ね」と。周りでも同じように買っていた人もおり、「飲み鉄、上等やな」という声も。

Dscn2565金木に到着。ここで、先ほど下車した一人のアテンダントも乗り込んできた。「あらー、いっばいのおぎゃぐさんで、えがったねぇ」と(すんません、津軽言葉を活字にするだけの力がなく)と、より一層車内がにぎやかなことに。結局このままのテンションで五所川原に戻ってきた。

Dscn2558冬の津軽・・・と聞くとわびしいイメージがあるものだが、こういう正月らしい賑やかさというのもいいものだと思う。現在は1日3往復ということだが、時間帯がいいのかもっとも利用客が多いようである。「もっとひっそりとしたストーブ列車を静かに味わいたい」という向きは、午後からの3便あたりがいいのかな。

Dscn2578Dscn2540当初は津軽鉄道沿線の途中下車でもいいかなと思ったが、予定より早く五所川原に戻ってきた。

結局この後は青森に戻るのだが五能線の便は2時間以上待つことに。一方で駅前のバス乗り場を見ると、青森行きの路線バスが30分に一本の割合で出ている。少し早いが青森に戻ることにしてバスに乗車。駅から離れた郊外は国道沿いのどこにでもある眺めで、ショッピングモールや大手のチェーン店が並ぶ光景。別に「五所川原にこういうものがあってはならない」とは思わないし、それをファスト的光景であるとか地方の風情が薄れるというのも一方的な意見かなと。そりゃ、こちらの人だって大型のショッピングセンターくらい行きたいだろうし。

1時間あまりで青森の中心街へと入り、駅に到着。この日の夜は寝台特急「日本海」で帰阪することになる。それまで残り少なくなった時間、青森の最後の夜を楽しむことに・・・。

コメント