まつなる的雑文~光輝く明日に向かえ

まつなる兄さんのよしなしごと、旅歩き、野球、寺社巡りを書きます。頼りなく豊かなこの国に、何を賭け、何を夢見よう?

鶴見線に降りたアートたち展・1

2008年11月02日 | まち歩き

芸術の秋ということで、あちらこちらで芸術文化に関するイベントが行われている。その中で「駅2008 鶴見線に降りたアートたち展」というのが電車の中吊り広告にあった。鶴見線の鶴見、国道、浅野、海芝浦、扇町の5つの駅に、現代美術家の手によるオブジェが展示されているというのである。

Pb024040「鶴見線の持つ雰囲気を大事にしながら、路線全体を美術館と捉え、鉄道に乗りながらアートを楽しみ、併せて、鶴見線の各駅が持つ懐かしい昭和の情景や陽光きらめく海の光景などを楽しんでいただこう」(開催主旨より)というもの。なるほど、休日の鶴見線は独特の雰囲気があり、首都圏から気軽に訪れることができる路線として人気が高い。他の路線で同じことをやっても「ふーん」で済まされるところだろうが、鶴見線ならば路線そのものがテーマパークみたいなものだから・・・。ということで、久しぶりの鶴見線乗車を兼ねて出かける。

Pb024036ご案内のとおり、鶴見線には3つの終着駅がある。鶴見線の本線筋(ややこしいな)にあたる扇町、終着駅としてあまりにも有名な海芝浦、そして武蔵白石駅の手前から分かれてたどりつく大川。前の2つはオブジェの展示場所であるので訪れることになるが、どうせなら大川への支線にも乗っておきたい。ただこの大川行きというのが曲者で、休日ともなればこの駅に向かう列車は朝2本、夕方1本の3本しかなく、となればここに向かう列車の時刻に合わせて、まず大川に向かうことにした。

京浜東北線で鶴見駅に降り立ち、鶴見線との中間改札をくぐる。もともと別の鉄道だったからという事情もあるが、鶴見線内はいずれも無人駅のためにここで出入りをチェックしようというもの。コの字型のホームというのはJRでは珍しい。

Pb024042この鶴見線のホームで、まず最初のオブジェに出会う。木村幸恵氏の手によるもので、ホームの天井から何か透明なものがいくつもぶらさがっている。何でも「鶴見線は日本の近代化と戦後の高度成長期を支えた象徴的な路線であり、このホームを 利用した人々は現在の日本を築いた個人として鶴見駅ホームに「記憶」として存在し続けている。この「記憶」を透明な人形(ひとがた)で、ホームを行き交った群集として表現します」とある。この人の過去の作品に、こうした透明なものを「幽霊」として(人を怖がらせるというのではなく、スピリットとでもいうのかな)表現しているのがあり、このオブジェもそのつながりなのだろう。

ただ、こうしたことが解説で分からなければ、ただ照明か何かがぶら下がっているだけか、ハエ取り紙の親分かのように見える。本当、鑑賞眼がないなあ・・・。

大川行きに乗車。休日のこととて若干の通勤客と、「その筋」の人たちが半々くらいの割合。進路を左にとって東海道線その他の線路をまたぎ、鶴見線に入っていく。弁天橋までは普通の住宅地も広がるが、浅野、安善からはがらりと風景を変え、いよいよ工場の引込み線に入った感覚となる。さびついた側線や、貨車が並ぶ光景が見られれが、これを見てうなるか、殺風景なものと感じるかは人それぞれ。

Pb024049武蔵白石の手前で右へ折れ、1キロばかり走って終点の大川着。周りは大型の工場ばかりで、ここまでやってきた通勤客はさっさと勤務先に向かい、残った人たちは駅や車両に向けてカメラを構える。通勤の足として利用している人たちから見て、我々のような人種はどのように映っているのだろうか。

昔はそれこそ専用線だったのだろうが、今は貨物列車の設定もなくなったようでさびついた線路が痛々しい。

10分ほどのインタバルの後、折り返しの列車に乗る。次は海芝浦に向かうべく、浅野で再び列車を降りる・・・。

Pb024051 Pb024050

コメント