弁護士湯原伸一(大阪弁護士会)の右往左往日記

弁護士になって感じたことを綴っていきます(注意!!本ブログは弁護士湯原の個人的見解に過ぎません)

愛犬が噛み殺されたことに対する慰謝料が認められる!-名古屋地裁

2006年03月21日 | 法律情報
これまでも愛犬等のペットが事故等で死んだ場合、慰謝料が認められるケースというのは一部あったのですが、せいぜい5万円迄というのが実務でした。

というのも、ペットは法律的には動産、要は「物」に過ぎず、物が傷ついた場合の慰謝料というのは原則的に認めないと言うのが裁判所の考え方だったからです。
(よく交通事故損害賠償で、愛着のあった車が事故により損壊したのだから慰謝料を払え等の請求を行う被害者がいますが、まぁ、まず95%以上の確立で慰謝料請求が認められることはありません)。

今回の裁判では、どうやら数十万円程度の、今までと比較して高額の慰謝料が認められたようです(報道では67万円となっていますが、犬の火葬代、弁護士費用等が含まれて67万円のようですので、慰謝料金額だけを取り出したらもう少し下がるはずです)。

まぁ、ペットに人権を!ということを主張する人にとっては、慰謝料請求を認めるのは当然という結論になるとは思われますが(ただ、そもそも人権は人間に与えられる権利であって、人間以外のものに人権を与えるという論法自体が矛盾していると思いますが…)、近時の流れとしてペットに対する愛着・精神的安らぎ等について、法的に保護を与えようとする傾向があります。
従って、慰謝料の金額が高額化してくるのは当然の流れだと思われます。
ただ、どの程度まで高額化するかは、今後判例の流れを見ていく必要があると思います。
ちなみに、私の勝手な予想では、人間が傷害を負った場合の慰謝料ほどにはならないと思われます(半分もいかないのでは?)


関連リンク
http://www.tokyo-np.co.jp/00/sya/20060318/eve_____sya_____004.shtml

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