弁護士湯原伸一(大阪弁護士会)の右往左往日記

弁護士になって感じたことを綴っていきます(注意!!本ブログは弁護士湯原の個人的見解に過ぎません)

予想外!?-ソフトバンクの「予想外割」の広告について、公正取引委員会が調査!

2006年10月31日 | 法律情報
予想外割を発表して、消費者に大きなインパクトを与えたにもかかわらず、受付業務が行えなかったとして、結果的にはつまずいてしまった感のあるソフトバンク社ですが、今度は、予想外割の広告について、公正取引委員会が調査に入ったと報じられています。

調査対象となっているのは、景品表示法に規定されている表示規制に違反しないかという点です。

意外と知られていないのですが、広告を取り締まる法規としての代表例が景品表示法です。
景品表示法は、景品(要はおまけ)の提供についても規制する法律ですが、実は広告内容・方法についても規制を行っている法律です。
ちなみに景品表示法のうち、景品に関する話題としては、ちょうど去年の今頃、ペプシコーラが行った「おまけ(=ガンダム模型)」が景品表示法に違反するのではないかと公正取引委員会から指摘を受けたと報じられています(このブログでも2005/10/26で取り上げています)。

今回は、要は、「0円」と書いてあるけど、色々と条件があり、その条件があまり消費者に伝わる方法で行われていないのはいかがなものか、割引価格が本来の価格であって基本料金を定価の70%引きと記載するのは不当な二重価格表示ではないか、という点が主な調査対象のようです。

まぁ、消費者からすれば、価格が安くなる分にはウェルカムなのでしょうが、後からあれやこれや条件があると言われて、結局、広告通りの利益を得られなかったとなると、何だか騙された!?と思ってしまうかも知れませんね。
それを防止するために、公正取引委員会が動き出したという事のようです。

私も当該広告を見ましたが、個人的には、公正取引委員会から注意程度はあるかもなぁ…と思っていますが、どうなんでしょうか?



関連するニュースへのリンク
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20061031-00000010-mai-bus_all

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自主退職者は失業給付が制限される!?

2006年10月30日 | 法律情報
厚生労働省は、雇用保険に基づく失業給付手当について、自主退職の場合は給付を制限する方向で法改正を行う方向で検討しているようです。

改正の目的は、短期間だけ働いて、すぐに退職して、失業給付をもらった方が得られる収入額が多いという「法の抜け穴」に対処するためとのことです。

上記状況については、正直私もよく知らないところがあるのですが、労働事件を扱っている弁護士としては少々違和感を感じます。
と言うのも、本当に身勝手で自己都合退職した人に対しては、失業給付を削減することで労働意欲を高めるという効果を狙えるのかも知れませんが、結構、解雇に近い事例であっても、「自己都合退職」扱いになっている例が見受けられるからです(まぁ、弁護士だからその様な事例ばかり出くわす率が高いのですが…)。

労働者側での交渉はもちろん、使用者側での交渉でも、失業給付の関係で、たいていは「会社都合退職」として扱う旨合意書に記載することが多いのですが、ますます、弁護士はこの点を意識して交渉する必要がありそうですね。


関連するニュースへのリンク
http://www.nikkei.co.jp/news/keizai/20061030AT3S2800A29102006.html

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死刑判決確定から執行までは、平均で7年5ヶ月かかるそうです

2006年10月28日 | その他
報道によると、死刑判決が確定してから死刑執行まで、平均で7年5ヶ月かかっていることが明らかにされたそうです。

大阪池田小学校の事件の被告人は異例の早さで執行されたと言われていますが、実態としては、しばらくの間、待たされるのが実情のようです。
ちなみに、刑事訴訟法475条では、6ヶ月以内に原則執行しなければならない旨規定されていますので、法の建前からすると、7年5ヶ月というのは時間がかかり過ぎていると言わざるを得ないでしょうね。



関連するニュースへのリンク
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20061026-00000094-jij-pol

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女性検事がひったくりの被害に遭い、検察バッジを紛失。。。

2006年10月27日 | その他
報道によると、京都地方検察庁に所属する女性検事が、バックのひったくり被害にあったそうです。
その際に、バックの中に入れていた検察バッジも盗まれたそうです。
後日ひったくられたバックは見つかったそうですが、検察バッジは「行方不明」になっているとのことです。

我々法曹界では、それぞれの職業に応じたバッジが支給されているのですが(弁護士バッジは「ひまわり」を意味するというのは比較的有名ですよね!?)、弁護士の場合、弁護士バッジを紛失したと言うだけで、懲戒対象になります。
検察官の場合、検察バッジを紛失したら懲戒対象になるのかどうか、詳しいことは知りませんが、バックのひったくり被害にあって懲戒対象となると少々気の毒なようにも思います。

ただ、理由はともあれ、特別なバッジですから事故責任で保管は厳重にしておかなければならないのは間違いないでしょう。
従って、業務外で(報道によると帰宅途中だったようです)検察バッジを持ち歩くこと自体が問題有りと言われてしまうのかも知れませんね。

ちなみに、私は普段あまり弁護士バッジを付けないで仕事をしていますので(紛失しないよう保管しています。そのためいちいち取り出して付けるのが面倒くさい…というのが本音です)、今回の報道のような被害には遭いづらいとは思いますが、何が起こるか分からない現状では、自分自身によるリスクマネジメントが必要になっているのでしょうね。


関連するニュースへのリンク
http://www.zakzak.co.jp/top/2006_10/t2006102621.html

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法務省が「裁判員の辞退事由」についてパブリックコメントを募集しています!

2006年10月25日 | 法律情報
いよいよ目前に迫ってきた裁判員制度ですが、相変わらず巷のアンケート結果等を見ると、あまり積極的に参加したいと考えている国民は少数派のようです。

ところで、裁判員に選任されても一定の事由があると拒否することが出来る法律上明記されています。

法律上は次の通りです(裁判員法16条)。

・年齢70歳以上の人
・地方公共団体の議会の議員(会期中のみ)
・学生又は生徒
・過去5年以内に裁判員・補充裁判員・検察審査員・補充員をしたことのある人
や過去1年以内に裁判員候補者として裁判所に出頭したことがある人
・イからニのいずれかのやむを得ない事由があり,裁判員の職権を行うこと等が
困難な人
イ)重い疾病又は傷害により裁判所に出頭することが困難であること。
ロ)介護又は養育が行われなければ日常生活を営むのに支障がある同居の親族の
介護又は養育を行う必要があること。
ハ)その従事する事業における重要な用務であって自らがこれを処理しなければ
当該事業に著しい損害が生るおそれがあるものがあること。
ニ)父母の葬式への出席その他の社会生活上の重要な用務であって他の期日に行
うことができないものがあること。

これ以外の事由については政令で定めるとされているため、今回、どの様に定めるか参考にするべくパブリックコメント募集とされているようです。

裁判員制度に関わりたくない!と言っている人は、必ずしも採用されるわけではありませんが、せっかくの機会ですので、この場を利用して、言うだけ言ってみたらどうでしょうか!?


パブリックコメント募集へのリンク
http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?
CLASSNAME=Pcm1010&BID=300090007&OBJCD=&GROUP

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「いじめ」の件数、文部科学省と法務省とでは全く逆の統計結果が…

2006年10月23日 | その他
最近、生徒同士のいじめだけではなく、学校の先生が積極的にいじめに加担していた事実が発覚する等、学校への信頼が根本的に揺らぐ事態が生じてきています。

そして、学校を管轄する文部科学省の統計では、いじめの件数は年々減少傾向にあるとの報告がなされていますが、法務省が発表した統計によれば、むしろいじめの件数は増加傾向にある旨の報告がなされています。

同じ国の機関が行っているにもかかわらず、「何故、正反対になるの?」と首を傾げたくなりますが、文部科学省と法務省とでは調査方法が異なるため、結果が違うようです。

まぁ、一部のいじめ事件だけを取り上げて、総数としての「いじめ件数」が増加していると結論づけるのは、いかがなものかと思いますが、国の機関による調査結果が全くの正反対になるのもいかがなものか…と思ってしまいます。

子を持つ親としては、いつ被害者になるか分からないし、また加害者になるか分からないという意識を十分に持ち、学校でのことだから学校に任せておけば良い…という発想は捨てた方がよいでしょうね。



関連するニュースへのリンク
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20061023-00000011-mai-soci

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入学前に辞退した場合であっても入学金の返還義務なし!-最高裁が判断!!

2006年10月21日 | 法律情報
学生側による、入学を辞退した大学に対する入学金・前納授業料の返還を求める一連の裁判につき、最高裁がついに判断を行いました。

全文を読んだわけではないので、正確かどうか分かりませんが、どうやら

・入学金は返還義務なし(おそらく、入学金は当該大学へ入学することが出来る地位取得のための対価であり、実際の入学の有無を問わないと言う理由付けではないでしょうか?)

・前納授業料は原則返還義務有り(おそらく、授業という役務を受ける前に入学を辞退した場合、授業という役務について大学は提供する必要が無くなるのであるから、その対価分については返還するべきという理由付けではないでしょうか?)

という結論に落ち着いたようです。
まぁ、ある程度予想通りと言ったところでしょうか。

今後、大学以外の専門学校等における事例でも、今回の最高裁の判断は活かされるように思います。


関連するニュースへのリンク
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20061020-00000012-yom-soci

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どこまで早くなる?-即決裁判

2006年10月20日 | 法律情報
10月から刑事裁判迅速化の1つとして始まった「即決裁判」制度ですが、最近ニュースを見ていると、まるで公判が早く終わること自体を競っているかの如く、「何分で終了した」と報じられています。

そして、今日は見つけたのは、何と開廷後16分で判決まで至った事例が報じられています。

まぁ、確かに即決裁判制度は、色々ある犯罪の中で比較的大したことはない(と言っても犯罪であることは間違いありません)犯罪を犯した被告人について、出来るだけ迅速に公判を進め、被告人等の負担を少なくしようとする制度です。
従って、被告人を弁護する弁護士からは、非常に喜ばしい制度だとは基本的に思うのですが、若干の違和感もあります。

と言うのも、法律的なものではなく事実上のことですが、私個人としては、刑事裁判を受けることで、少しでも被告人自らが犯罪を反省し、今後二度と犯罪を犯さないよう検討させる機会が提供されているような気がしているからです。
まぁ、もちろん弁護人が幾ら頑張ったところで自己弁護の終始する被告人はいますし、弁護人は所詮業務として弁護を行っているだけに過ぎませんので上記のような私個人の感覚は過度に強調する必要はないと思います。
ただ、公判開始から約15分程度で判決が出て、後はさようなら~では、何だか一種の儀式を通過しただけであり、「裁かれた」という感覚を本当に持つのかなぁ?と思ってしまうのです。
まぁ、私は犯罪論などの刑事制作の専門家ではないので、単なる感覚に過ぎませんが…


ちなみに、弁護士の営業的に言うと、即決裁判は短時間で終了するため、国選での弁護士費用はかなり低額に抑えられています。
しかも、即決裁判を同一の日に複数受任すると、何故か1件当たりの弁護士費用がディスカウントされて、やればやるほど1件当たりの単価が減る仕組みになっています。
弁護士の収入面からすると、あまり喜べないかも。。。



関連するニュースへのリンク
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20061020-00000066-mailo-l22

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訴訟は弁護士等に頼まなくてもできるんです…。じゃ、弁護士の存在価値は?

2006年10月19日 | 経験談・感じたこと
貸し金業者側に厳しい最高裁判決が立て続けに出され、いわゆるグレーゾーン金利に関する法律解釈の問題ですが、弁護士等の法律の専門家には周知の事実ですが、まだまだグレーゾーン金利で苦しんでいる多重債務者がたくさんいるようです。

その中で、弁護士等に依頼せず、本人が必死で勉強し、貸金業者に裁判を挑んで過払い金返還の勝訴判決を取っている方の話が報道で取り上げられています。

リンク先
http://www.asahi.com/kansai/news/OSK200610170080.html

この中で、「裁判は弁護士等に依頼しなくても一人で出来るんです」という趣旨の文言があるのですが、この事実は意外と一般国民の中では浸透していないように思います。
というのも、市役所等の法律相談に行っても、裁判は必ず弁護士に依頼する必要があると考えている人に出会うからです
(口ではその様に言っているだけで、分からない・面倒くさいという本当の理由があるのかも知れませんが…)

ちなみに、この方は図書館等を利用して自分で勉強して訴訟を遂行していったようですが、IT社会の発達により、今後はインターネットで検索を行えば、ある程度のことは分かってしまうので、本人で訴訟を行うという人が増えていくことが予想されます。
とすると、裁判を専門で扱う弁護士は、ますますパイの奪い合いが生じてしまうのでしょうね。

弁護士の世界では、「営業」という言葉がある意味タブー視されている風潮がまだありますが、私のような若手弁護士は、本人では到底裁判できない分野を得意分野にするとか、本人で訴訟できるけれども何かしらの付加価値を施すことで受注を増やす等の、積極的な営業活動を行う必要がありそうです。

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もう国民は飽きた!?-ライブドア堀江氏の刑事裁判の傍聴が抽選なしで可能に…

2006年10月17日 | その他
つい最近まで、色々なメディアに取り上げられていた、ライブドアの元社長である堀江氏ですが、現在、証券取引法違反の罪で刑事裁判が進行していることは周知の事実だと思います。

そして、刑事裁判が始まったときは、どこのメディアも堀江氏の刑事裁判について特集番組を組む等して大きく報道し、傍聴を求めて長蛇の列が出きていたのですが、最近では滅多に話題として取り上げられなくなりました。
そして、メディアに取り上げられる機会が減るに比例するかのように、連日のように開かれている堀江氏の刑事裁判を傍聴する人も減少していき、ついには、抽選なしで傍聴できる状態(要は裁判所に行けば誰でも傍聴できる状態)にまでなったと報道されています。

まぁ、裁判関係の報道は、たとえ注目を浴びている事件であっても、最初は大きく報道されてその後はほとんど取り上げられず、判決が出てから少し報道されるというパターンがあるようです。
今回も同じパターンをたどっていると言うことでしょうかね。
(判決が出て、「ああそういえば、そんな事件もあったけ…」というのが大多数の国民の感想ではないでしょうか?。それだけ裁判に時間がかかっているという事実も示していることにもなりますが…)

ちなみに私自身は、ライブドア事件がどの様に進行していくか、検察官・弁護人の訴訟戦略はどうなのか等、個人的に興味がありますので、色々報道してもらった方がありがたいのですが、やはり国民一般が興味がないと報道もされず情報もほとんど入手できない状況です。

やはり熱しやすく冷めやすいのでしょうか・・・?


関連するニュースへのリンク
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20061017-00000076-sph-soci

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