弁護士湯原伸一(大阪弁護士会)の右往左往日記

弁護士になって感じたことを綴っていきます(注意!!本ブログは弁護士湯原の個人的見解に過ぎません)

【コラム】送金システムの停止と補償されない被害

2023年11月27日 | 経験談・感じたこと

10 月 10 日~12 日頃まで、全銀ネットのシステムが不具合を起こし、三菱 UFJ 銀行など 10 行で決済処理ができないという事態となったこと、まだ覚えておられる方も多いかと思います。

私は、三菱 UFJ 銀行をメインバンクにしているため、色々と困ったことが起こったのですが、皆様はいかがだったでしょうか?


さて、送金システムの停止を法的に考えた場合、決済処理ができなかったことで利用者が被った損害を金融機関に損害賠償できるというのが理論上の帰結です(なお、銀行約款等で色々と制約がありますが、ここでは一旦無視します)。

では、その「損害」は何かというと、約定日に決済できなかったことにより生じた遅延損害金となります。この遅延損害金ですが、特約が無い限り法律上は年5%です。例えば、10 万円の支払いを 2 日間遅れた場合、548 円の損害が発生したと法律上は算出することになります。

 

おそらく皆様は「低い!」と思われるのではないでしょうか!?

私もその通りだと思います。しかし、法律上はそう結論付けるほかありません。

ところで、本件問題の本質的な被害は、期日通りの決済ができなかったことで、

・金融機関が保有する信用スコアが低下した

・取引先からの信頼を失った

・従業員の会社に対する忠誠心が低下した

等々の“信用”に関するものだと思います。しかし、上記で記載した通り、法律上はこの「信用」に対しては一切の補償がありません。

「そんな殺生な…」という声が聞こえてきそうですが、これが“現実と法のギャップ”なのかもしれません…。

 

 

 

 

 
 
 
 

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

弁護士 湯原伸一

 

「リーガルブレスD法律事務所」の代表弁護士。IT法務、フランチャイズ法務、労働法務、広告など販促法務、債権回収などの企業法務、顧問弁護士業務を得意とする。 1999年、同志社大学大学院法学研究科私法学専攻課に在学中に司法試験に合格し、2001年大阪弁護士会に登録し、弁護士活動を開始する。中小企業の現状に対し、「法の恩恵(=Legal Bless)を直接届けたい(=Direct delivery)」という思いから、2012年リーガルブレスD法律事務所を開設した。現在では、100社以上の顧問契約実績を持ち、日々中小企業向けの法務サービスを展開している。

 
 
 
 
 

 

 


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【経営法務】資金繰り改善のための弁護士活用法10選(資金調達5選、経費削減5選)!

2023年11月20日 | 法律情報

資金繰り改善コンサルといえば、資金繰表や事業計画書の作成支援を行い、社内のキャッシュフローを見直しつつも、金融機関からの融資を引っ張ってくる…とイメージされる方が多いと思います。

たしかに、上記イメージは間違っています。そして、上記イメージの業務に従事する弁護士は正直稀だと思います。

 

では、タイトルにある「弁護士による資金繰り改善とは何か?」と疑問を持たれるかもしれません。

ここでいう「弁護士による資金繰り改善」とは、例えば、売掛金等の債権を現実に現金化する作業のお手伝いを行ったり、経費削減のための手続きを代行する、といった資金繰り計画を実現するための現場実行部隊としての役割を弁護士が担うということを意味します。

 

当事務所でのこれまでの経験例を踏まえ、資金繰り改善に効果的と思われる弁護士の活用法を、本記事では10選取り上げてみました。

本記事をお読みいただくことで、資金繰り改善のために練った計画を、弁護士が実行部隊として動くことで実現できるということがお分かりいただけるかと思います。

なお、当事務所では、企業経営者からの直接のご依頼はもちろん、既に資金繰り改善業務を実施されている税理士・中小企業診断士・コンサルタントの方々からのご相談も受け付けておりますので、ご遠慮なくお声掛けください。

 

 

資金繰り改善のための弁護士活用法10選(資金調達5選、経費削減5選)!

 

 

 

 

 

 
 
 
 

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

弁護士 湯原伸一

 

「リーガルブレスD法律事務所」の代表弁護士。IT法務、フランチャイズ法務、労働法務、広告など販促法務、債権回収などの企業法務、顧問弁護士業務を得意とする。 1999年、同志社大学大学院法学研究科私法学専攻課に在学中に司法試験に合格し、2001年大阪弁護士会に登録し、弁護士活動を開始する。中小企業の現状に対し、「法の恩恵(=Legal Bless)を直接届けたい(=Direct delivery)」という思いから、2012年リーガルブレスD法律事務所を開設した。現在では、100社以上の顧問契約実績を持ち、日々中小企業向けの法務サービスを展開している。

 
 
 
 
 

 

 


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【IT法務】検収完了後にシステム不具合が発覚した場合のベンダの責任、ユーザの対処法について

2023年11月13日 | 法律情報

契約書のリーガルチェックを行っていると、「検収」という用語をよく見かけるのではないかと思います。

しかし、「検収」は法令用語ではありません。

あくまでも契約実務で使われる用語に過ぎず、実際のところは、契約書において「検収」をどのように位置づけているのかを確認する必要があります。

 

本記事では、まず検収の意義と効果を整理した上で、契約不適合責任の内容、及び契約不適合の具体例と判断基準に関するポイントをまとめていきます。

本記事を読むことで、システム開発における検収の重要性、検収後の責任追及の在り方についてご理解いただけるかと思います。
なお、本記事では、システム開発契約の法的性質につき、請負契約を前提にしていること予めご承知おきください。

 

 

 

検収完了後にシステム不具合が発覚した場合のベンダの責任、ユーザの対処法について

 

 

 

 
 
 
 

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

弁護士 湯原伸一

 

「リーガルブレスD法律事務所」の代表弁護士。IT法務、フランチャイズ法務、労働法務、広告など販促法務、債権回収などの企業法務、顧問弁護士業務を得意とする。 1999年、同志社大学大学院法学研究科私法学専攻課に在学中に司法試験に合格し、2001年大阪弁護士会に登録し、弁護士活動を開始する。中小企業の現状に対し、「法の恩恵(=Legal Bless)を直接届けたい(=Direct delivery)」という思いから、2012年リーガルブレスD法律事務所を開設した。現在では、100社以上の顧問契約実績を持ち、日々中小企業向けの法務サービスを展開している。

 
 
 
 
 

 

 


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【契約法務】利用規約・約款に免責規定・免責条項を定める場合の注意点

2023年11月06日 | 法律情報

利用規約・約款を作成する場合、作成する側としては、できる限り自らの責任負担を軽減したいと考えます。

その考え方が現れたものが免責規定・免責条項です。

 

ところで、この免責規定・免責条項ですが、利用者より同意を取得さえすれば、常に有効となるのかについてはやや専門的な知識が必要です。

特に、2020年4月1日より施行された改正民法の定型約款ルール(民法第548条の2第2項)は、まだまだ周知されているとは言い難い状況と思われます。

 

本記事では、法律の解説のみならず、いくつかの裁判例を取り上げて裁判所はどういった視点で判断しているのかを指摘します。

そして、具体的な条項例を参照しつつ、有効or無効の判断と検討するべきポイントに触れていきます。

本記事をご参照いただくことで、法的有効性を担保しやすい免責規定・免責条項を作成することが可能になるかと思います。

 

 

 

利用規約・約款に免責規定・免責条項を定める場合の注意点

 

 

 

 

 

 
 
 
 

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

弁護士 湯原伸一

 

「リーガルブレスD法律事務所」の代表弁護士。IT法務、フランチャイズ法務、労働法務、広告など販促法務、債権回収などの企業法務、顧問弁護士業務を得意とする。 1999年、同志社大学大学院法学研究科私法学専攻課に在学中に司法試験に合格し、2001年大阪弁護士会に登録し、弁護士活動を開始する。中小企業の現状に対し、「法の恩恵(=Legal Bless)を直接届けたい(=Direct delivery)」という思いから、2012年リーガルブレスD法律事務所を開設した。現在では、100社以上の顧問契約実績を持ち、日々中小企業向けの法務サービスを展開している。

 
 
 
 
 

 

 


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする