結論から言うと「逃げ切れる場合あり」です。
弁護士がアウトローなことを語ってよいのかという点はさておき、現状の法制度からすると、残念ながら上記のような結論を示さないと嘘をつくことになります。
なぜ、このような事態が生じてしまうのか?
これは訴訟という制度は、あくまでも債権者が主張する債権があるか無いかを判断するだけに留まるからです。
つまり、勝訴とは、国が「あながた主張している債権はたしかに存在します」と認めるだけに過ぎません。その債権を回収できるか否かは、訴訟制度では考慮されていないという訳です。これが「判決は紙切れにすぎない」という表現に繋がります。
では、回収手続きについて、国は何もしてくれないのか?
たしかに、判決書だけを持っているだけでは国は何もしてくれません。しかし、判決書を元に、国が用意した強制執行手続きを利用した場合は、国は一定の範囲で回収手続きに力を貸してくれます。この典型例が、銀行預金や給料を差し押さえる、不動産を強制競売するといったものが該当します。
ただ、強制執行の弱点は、差押えや競売の対象となる財産を債権者自らが探し出す必要があるという点です。その点について国は何も協力してくれません。つまり、債権者が対象となる財産を見つけ出すことができなかった場合、強制執行を行うことができません。
非常に悪い例え方ですが、“(日本国内に)財産が無い人は無敵である”と言わざるを得ません。ただ、国内に預金口座1つも持たないで国内生活することは至難の業です。
結局のところ、財産を見つける術を持っていれば、最初の結論を覆すことができるということになります。
弁護士 湯原伸一
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「リーガルブレスD法律事務所」の代表弁護士。IT法務、フランチャイズ法務、労働法務、広告など販促法務、債権回収などの企業法務、顧問弁護士業務を得意とする。 1999年、同志社大学大学院法学研究科私法学専攻課に在学中に司法試験に合格し、2001年大阪弁護士会に登録し、弁護士活動を開始する。中小企業の現状に対し、「法の恩恵(=Legal Bless)を直接届けたい(=Direct delivery)」という思いから、2012年リーガルブレスD法律事務所を開設した。現在では、100社以上の顧問契約実績を持ち、日々中小企業向けの法務サービスを展開している。
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