弁護士湯原伸一(大阪弁護士会)の右往左往日記

弁護士になって感じたことを綴っていきます(注意!!本ブログは弁護士湯原の個人的見解に過ぎません)

債権回収の難しさ…

2006年11月30日 | 経験談・感じたこと
弁護士であれば誰しもが経験したことがある業務の一つとして、債権回収業務というものがあります。

債権回収業務は、内容証明郵便を作成して送付したり、裁判を提起したりすることは比較的簡単なことですが、一番難しいのは、相手方から如何にして実際に回収を図るかです。

私の場合、「とにかく相手方と(できれば直接会って)話をしないことにはどうしようもない」と考えて債権回収業務を行っていますので、電話連絡するにせよ、内容証明郵便を送るにせよ、訴訟提起するにせよ、あくまでも相手方をこちらの土俵に引っ張り出す手段の一つとして利用しています。
そして、以上のようなやり方で、全額は無理にせよ、いくらかでも回収を図ることができていました。

が、今回は内容証明郵便を送付しても受領拒否、訴訟提起をしても欠席裁判、携帯電話は着信拒否、動産執行で執行官と立ち会っても空振りばっかり…と考え得る手段を色々と使いましたが、全て失敗となり、一銭も回収できていない状態です。

う~ん。。。お手上げ!と言ったところですが、何となく悔しい!!
でも、これ以上費用をかけて債権回収業務を行っても費用倒れになる可能性は極めて高いので、そろそろ依頼者を説得する時期かなぁ…と思っています。

果たして、依頼者は納得してくれるのか?
若干不安です。

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本日、NHKが受信料不払い者に対して支払督促の申立て!

2006年11月29日 | その他
報道によると、本日29日、NHKは東京簡易裁判所に支払督促の申立をおこなうとのことです。

まぁ、法律論だけで言えば、NHKの請求が認められることはほぼ確実だと思われますので、支払督促を受けた不払い者側が、異議申立てなど、どこまで徹底抗戦するのかが注目されます。

ちなみに、支払督促制度は、簡易裁判所に対して申立てを行い、相手方より異議がない限り、書面審理のみで、判決とは似て非なる「支払督促」が裁判所より出されます。
支払督促が出された後、申立人は、仮執行宣言の申立を行い、仮執行宣言が付されることで強制執行を行い、回収を図るという手続きをとることになります。

なお、異議を出した場合、普通の訴訟に移行し、双方が主張・立証を裁判所で戦わせることになります。
法律論以外の戦い方を行った場合に、裁判所が何処まで法律論以外の主張にお付き合いしてくれるのか、ちょっと興味があります。


関連するニュースへのリンク
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20061128-00000214-yom-ent

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大学への入学金・前払い授業料の返還について、最高裁判所が統一判断!

2006年11月28日 | 法律情報
貸金業者に対する利息制限法を越える利息の返還請求、家主に対する敷金返還請求と並んで、消費者側の大きな集団訴訟(?)について、最高裁が統一判断を示しました。

報道文だけから見る限り、

1 消費者契約法施行前(平成13年3月31日まで)
・入学金→入学金は返還されない
・前払い授業料→前払い授業料は返還されない

2.消費者契約法施行後(平成13年4月1日以降)
・入学金→不返還特約は有効(入学金は入学しうる地位の対価であり、入学の有無にかかわらず履行済みのため)
・前払い授業料→不返還特約は無効!!(新年度が始まる4月1日より前に入学辞退を申し出れば前払い授業料は返還)

とまとめることができるようです。

今回の判決は、大学に関するものですが、専門学校などの返還請求についても大きな影響を与えうるのではないでしょうか。

大学・専門学校側としては、受講生が支払う金員の対価内容を明確に示すこと、対価内容が履行されていること、で対応するしかないようです。


関連するニュースへのリンクhttp://news.goo.ne.jp/article/asahi/nation/K2006112702680.html

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新司法試験合格者の司法修習が今日からスタートしたそうです

2006年11月27日 | その他
新司法試験に基づき合格した司法修習生が今日から研修にはいるそうです。

おそらく新司法試験の場合も私が受けた研修と同じ内容だと思うのですが、
・前期の集合研修(埼玉県和光市)
・実務修習(民事裁判、刑事裁判、検察、弁護の4種類をローテーションで研修。指定された各地方裁判所所在地にでの現地研修)
・後記の集合研修(埼玉県和光市)
・いわゆる2回試験
の研修を受けることになります。

ところで、当初より言われていたことですが、集合研修はともかく、実務修習については受け入れ態勢が整っておらず、どうも居場所のない修習生が発生するかも…と言われています。
例えば、私のような弁護士になる人は、なかなか裁判官・検察官とふれあい、あるいは裁判所・検察庁の施設等に入ることはできませんので、この修習期間中に色々なことに触れて体験して欲しいと思うのですが、人が増えすぎてこういった体験が十分できないとなると、何だか研修の意味が無くなるなぁと思ってしまいます。

また、弁護士は他の士業と違って、いきなり独立して業務を開始する人は稀で、一般的には何処かの事務所に就職して就業することが通常です(要は司法修習のみでは1人前の弁護士にはなりきれない)。
しかし、来年は旧司法試験組と新司法試験組との就職が重なるため、弁護士を希望する人の一部は就職できないのではないか?と言われています。
この様な噂が飛び交っているため、新司法試験組の中には、早くも就職活動を行っているようであり、落ち着いて研修をやっている暇なんてないようです。

さて、法曹界は今後どうなることやら…


関連するニュースへのリンク
http://www.asahi.com/national/update/1126/TKY200611260272.html

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家主には朗報!?-入居希望者が暴力団員か否か警察庁が情報提供します!

2006年11月25日 | その他
個人情報だプライバシーだと言われている中、警察庁が思い切った作戦を採るようです。
報道によると、警察庁は賃貸マンションを管理する都市再生機構より賃借希望者の属性について問い合わせがあった場合、暴力団員か一般人かの情報提供を行う方針であるとされています。
暴力団追放の公益性を重視した結果と警察庁は説明しているようです。

まぁ、個人情報・プライバシーも重要なのですが、何でもかんでも個人情報・プライバシーが勝るとなると社会秩序が保てませんので、公益性があるのであれば、ある程度の情報開示はやむを得ないと思います。
が、暴力団員か否かの情報とは、また思い切った方針だなぁと思います。
暴力団対策法の時のように、人権を重視するグループから大きな反発を呼ぶのではないでしょうか?

なお、残念ながら、報道文だけを見る限り、警察庁が情報開示するのは都市再生機構のみであって、一般の民間家主さんに情報開示されるわけではないようです。
従って、家主さんは今まで通り、賃借人の属性を見極める必要がありそうです。


関連するニュースへのリンク
http://news.goo.ne.jp/article/asahi/nation/K2006112403940.html

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住友信託銀行と旧UFJ銀行との経営統合破談に関する訴訟が和解で決着!

2006年11月21日 | 法律情報
大手銀行同士の経営統合交渉が破談になったとして、大きな注目を集めた住友信託銀行と旧UFJ銀行との訴訟ですが、今年の2月に東京地裁で、住友信託銀行側が全面敗訴したのは記憶に新しいところです。

ところで、住友信託銀行側は控訴を行い、東京高裁で審理が行われていたところ、本日、和解が成立し、旧UFJ側が25億円支払うことになったと報じられています。

まぁ、住友信託銀行側としても何とかメンツを保てたと言うところでしょうか。

それにしても、原審(東京地裁)では、住友信託銀行側の請求原因に無理があるのではと言われていたのですが(いわゆる逸失利益の主張のため、難しいと言われています)、東京高裁ではどの様な主張に変わったのでしょうか?
非常に興味があったのですが、あまり明らかにはされていません。
そのため、今回の25億円という対価が果たして妥当な額なのか全く分かりませんが、世間相場からすると、すごいお金が動いていることには間違いないようです。

相変わらず大小の規模の差はあれ、M&Aブームは続いているようです。
M&Aの手法の中には、事前交渉に重きが置かれることが多いと思われますので、交渉を進めるにせよ決裂させるにせよ、うまく対処しないと行けないと言う典型的な事例のように思います。

でも、個人的には東京高裁がどの様に判断するのか見たかったような気が…


関連するニュースへのリンクhttp://www.nikkei.co.jp/news/keizai/20061121AT1G2100N21112006.html

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「法務省」がいじめ相談カードを全国配布へ

2006年11月20日 | 経験談・感じたこと
いじめ問題が大きく取り上げられる中、文部科学省ではなく、法務省が、「いじめ相談カード」なるものを全国に小学6年生から中学3年生まで学校を通じて配布すると報じられています。

法務省の場合、「人権問題」としていじめ問題を捉え、今回のような対応を取っているようです。
まぁ、国などの行政機関が積極的に動くこと自体は良いことだと思いますが、文部科学省との間で、どちらが主担当であるか等の典型的な縦割り行政の弊害が出ないことを祈るばかりです。

なお、文部科学省に連日、いじめ自殺する旨の予告手紙が届いていますが、今回の法務省の対応策の中には、切手を貼らなくても相談内容を書いた書面を法務局に送付することができるよう配慮を施しているとのことです。
もちろん、今回の法務省の対応だけでいじめ問題が解決するとは到底思えませんし、そもそもいじめ自殺する人は、どうも周りに相談する人もおらず孤立して自殺に至っているようです。
従って、今回の法務省の措置につき、広く知られるよう積極的に告知して欲しいと思います。


関連するニュースへのリンク
http://www3.nhk.or.jp/news/2006/11/20/d20061120000035.html

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テレビ番組でお馴染みの住田弁護士が小学館を訴える!

2006年11月16日 | その他
昨日は橋下弁護士に関する記事を書きましたが、今度は、住田弁護士が侮辱(名誉毀損?)に基づく損害賠償請求と謝罪文の掲載を求める訴訟を提起したと報じられています。

報道によると、住田弁護士が行ったダイエット方法について、偽りのある記事を掲載され、それが「原告の生き方を否定するも同然の侮辱行為」であると主張しているとのことです。

ただ、私が見た報道文では、

『番組でも紹介された住田弁護士のダイエットについて、「炭水化物を取らず岩盤浴などで2カ月で10キロ激やせした」などと報じた。訴状によると、岩盤浴などの事実はなく「原告の生き方を否定するも同然の侮辱行為」と主張している。』

とだけ記載されており、この文だけを見ても、何でそんなに怒っているのか、よく分かりません(ダイエット方法に関する記事に間違いがあったとするだけなら、訴訟にまで至らないと思うのですが…)。
もう少し裏の事情がありそうですね。

それにしても、昨日の橋下弁護士の記事と言い、今回の住田弁護士の記事と言い、報道文を見ただけでは、「なんで?」と首を傾げるようなものです。
もう少し詳しい事実が知りたいですね。


関連するニュースへのリンク
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20061116-00000014-maip-soci

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橋下弁護士の発言を巡って、滋賀県彦根市長と揉めているようです…

2006年11月15日 | その他
報道によると、テレビ出演中だった橋下弁護士の発言を巡って、滋賀県の彦根市長が、テレビ会社宛に謝罪要求や公開質問状を出したと報じられています。

報道内容を見る限り、酒気帯び運転の法定刑について橋下弁護士が誤った(?)発言したことのみ取り上げられていますが、どうやら、彦根市長の「飲酒運転や事故の報告義務付けは憲法違反だ」という発言に対して、橋下弁護士が辛口の(!?)の論評を行ったことにつき、彦根市長が腹を立てていることが発端のようです。

弁護士という職業柄、法律に関する問題・相談について間違えたことを言ってはいけないのは当然ですが、報道文だけを見てしまうと、あたかも法定刑の上限を間違えたて公開質問を行ったようにも見えてしまいます。

何があったか知りたいですね。

なお、上記で弁護士という職業柄、法律に関する問題・相談については間違えたことを言ってはいけないと書きましたが、実際の実務をやっていると、内心では大丈夫かなぁ…と確信を持てないまま、相談に答えていたりする等あります。
私はなるべく分からないことについては、「ちょっと曖昧な部分があるので調べる時間を下さい」と正直に言うようにしていますが、TPOでその様なお願いをすることが許されない場面もあります。
精神的にはあまり良くない職業かも知れません。


関連するニュースへのリンク
http://hochi.yomiuri.co.jp/topics/news/20061114-OHT1T00167.htm

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少年法の改正案が国会で審議入りしたそうです…

2006年11月14日 | 法律情報
報道によると、

・14歳未満は刑事責任を問えない
・14歳以上しか少年院送致ができない

等となっている現行の少年法を改正し、

・14歳未満であっても警察による捜査を可能とする
・少年院送致の年齢制限を撤廃する

とする改正少年法案が国会で審議入りしたと報じられています。

恥ずかしながら、少年法の改正案自体が話題になっていることを私は知りませんでした…。
改正少年法が成立した場合、少年事件に関する弁護は相当影響が出るはずなのですが、珍しく?弁護士間のメーリングリスト等では話題になっていません。
子供を取り巻く問題(最近ではいじめ問題や自殺問題等がトピックです)が多すぎて、忘れ去られているのかも!?

ちなみに、私は家庭裁判所で偶々見た少年事件における少年の態度等があまりにもひどいにもかかわらず、これを無理に弁護しようとする弁護士を見てしまい、少年事件に対する抵抗感がかなり大きいです。
このため、まだ少年事件をまともにやったことがありません(ちょっとトラウマになっています)。

改正少年法が成立した場合、少年事件の弁護に大きな影響が出るはずなのですが、実務がどう変わるのか、イメージがわかない弁護士になってしまっています。。。


関連するニュースへのリンク
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20061114-00000405-yom-pol

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