弁護士湯原伸一(大阪弁護士会)の右往左往日記

弁護士になって感じたことを綴っていきます(注意!!本ブログは弁護士湯原の個人的見解に過ぎません)

不当な記者会見は名誉棄損に該当する

2019年11月29日 | 法律情報
なかなか思い切った判断をする裁判例が現れたな…というのが正直な感想です。


 ◆「マタハラ」の訴え退ける 雇い止め女性が逆転敗訴






さて、ここ最近、私個人は非常に感じることが多かったのですが、一方的かつ誹謗中傷めいた記者会見


(なお、最近では当事者自らがネット上で会見もどき?を行ったりする場合もあります)


が増えているなぁ…と思うことがあります。


特に私的制裁を狙っているのでは、というようなものもあります。




ただ、記者会見だからといって、好き放題言ってよいというわけではなく、度が過ぎれば=違法性があれば


名誉棄損が成立するというのはある意味当然のことであり、理屈の上では裁判所の判断は違和感はありません。


(もっとも本件事案において、名誉棄損が成立するような言動があったのか、私自身は情報がなく判断しようがありませんが)






ちなみに、記者会見時の言動については、もともと日弁連も問題視していたようで、現在議論が進んでいる


弁護士職務基本規程(=弁護士業務に関するルールブックとでもいえばよいでしょうか)の改正協議でも、実は少し触れられています。



【以下引用開始】
提訴時の記者会見でも,その段階で相手方を一方的に糾弾することは,相手方の名誉やプライバシーに関する問題があり,一定の配慮が必要と解される。
なお,記者会見は,弁護士の職務に関連はするが,弁護士の職務そのものではないから,正当業務行為による違法性阻却はないものと解されている。
【以上引用終了】



今回の判決を問題視する向きもあるようですが、一方で上記のような考え方も存在するということは知っておいたほうが良いかと思います。







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ODR…果たして普及するのか!?

2019年11月26日 | 法律情報
裁判外紛争手続き(ADR)でさえ、あまり普及しているとは言い難い実情にあって、


果たしてこういった取り組みが功を奏するのか、非常に関心があります。


 ◆ネットで「離婚調停」などを完結へ、泣き寝入りを防ぐためのオンラインで紛争解決する団体設立



ちなみに、私はどうしても穿った見方をしてしまいますので、民間が「こういう制度を作りました」というものをみると


「プラットホーム型事業でも始めるのかな」


と思ったりもしてしまいます。


普及するためには、認知度向上もさることながら、利用者に対する信頼をどうやって確保するのかが課題になりそうです。





ところで、このニュースはおそらく世間では話題になっておらず、私のような法曹界でもODRそのものよりも


プレスリリースの際の理事の発言内容に批判が出ている(プチ炎上状態?)という点で実は話題になっていたりします。。。




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なんで学校を訴えなかったんだろう

2019年11月19日 | 法律情報
関西大学の発表に対して織田信成氏が反論するなど、何だか変な経過をたどっていた件につき、


訴訟提起するに至ったというニュースが配信されていました。




ところで、いわゆるハラスメント案件に関与したことがある方ならわかると思うのですが、


通常こういった件で訴訟提起となる場合は、使用者責任を主張して雇い主(本件でいえば関西大学を運営する学校法人)にも


訴訟を起こし、ハラスメント行為をしたと主張する本人と当該本人を雇っている雇用主の両方を被告にするのが通常です。


しかし、どうやら現時点では雇用主である学校法人は訴えられていないようです。




これは何か戦略的な意図があるんですかね…。

(学校法人を被告にしないことで、学校法人が某コーチ側に完全についてしまうことを防止するという意図があるのでしょうか!?

私の勝手な邪推ですが)



普段、労働事件特に使用者側でやっていると、理屈はともかく「一従業員の一挙手一投足まで監視することなんかできないのに、


なんで巻き込まれなあかんのや…」という恨み節を聞くことが多く、使用者(会社)が責任を免れるためには、どうしても


加害者と名指しされている側につかざるを得ないことが多いことから、ふと気になりました。





なお、慰謝料で1000万円というのは、相場感覚としてはかなり高額のような気がするのですが、これも何か作戦あっての


ことなんですかね。


なんだか色々と気になるニュースでした。






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たまには逆の立場で

2019年11月14日 | その他
弁護士業を始めて約19年、独立開業してから約11年も経過すると、取り扱う分野がある程度固定化されてきます。


たとえば、労働事件の場合、ほぼ使用者(会社)側で対応しているのですが、たまにご紹介等で労働者側をやるときもあったりします。



今回もそういったご紹介話がきているのですが、いつもとは真逆の立場で対応することになりそうなので、


ある意味ワクワクしています。




ところで、たとえば労働事件の場合、一昔前までは、どちらか一方の立場に固定して対応する弁護士が圧倒的多数だと


認識しています。


もちろん、どちらか一方側を専門的に対応することで得られる知見やノウハウはあるのは間違いないので、一方側専属で


やること自体は問題はないかと思います。



ただ、弁護士=依頼者を助ける仕事と定義づけた場合、使用者側・労働者側どちらかにこだわる必要性なんてないのでは…


というのが私の考えです。


たとえば、私の場合、普段使用者側でやっているからこそ、労働者側でやった場合は別の角度や視点から使用者側の


ウイークポイントを突けたりできるように思うのですが、こういった考え方はあまり業界的には受けが良くないかもしれませんね。







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あれ!?当然加入じゃなかったの?

2019年11月11日 | その他
違う観点からびっくりしたニュースです。


 ◆厚生年金の対象拡大 個人事務所で働く数万人



私は2008年に独立開業しましたが、事務員さん(労働者)については当然に厚生年金に加入しなければならないと思い込んでいて


今まで当然のように加入し続けていました。。。




加入義務がなかったなんて驚きです…(加入しなければもっと手元にお金が…考えるのは止めよう(笑))


まぁ、いずれにしても私の場合は強制加入になっても財務的な影響がないので、問題は一切ないのですけどね。







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結論ありきの企画なんだろうな…

2019年11月08日 | 経験談・感じたこと
某団体で、死刑制度に関する討論会を企画する案内文書が配布され、私の手元にも届きました。


ただ、もう結論は出ていて、反対意見を聞く機会は設けましたよ…という弁明を行うためだけに


執行部か企画したようにしか思えず、”今さら白々しい”という感想しか出てこない状態です。




まぁ、私は某団体とは距離を置いている身ですし、そんなことに時間を割くなら別のことをしたいと考えてしまうタイプですので


私は私というスタンスで弁護士としての職務を全うするだけですね。。。






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他社が用いている契約書が、自社にとって有効なものとは限らない

2019年11月06日 | 法律情報
とあるクライアントが、新規分野での事業を始めようとしており、それに関連する契約書のチェック依頼を受けました。




当該事業分野は契約自由の原則が通じず(つまり何でもかんでもクライアント有利の条項を定めることができない)、


広義での業法規制が入る分野であることから、規制に対応した記載を漏れなく記述する必要がありました。


が、どうやらクライアントが参照した(ネットから見つけてきた!?)契約書は、業法規制の準拠したものとはいえず


私の立場としてはNGとしか言いようがない状態で、このやり取りがしばらく続きました。




その後も業法規制について説明を行い修正の必要性を説いたのですが、どうも反応が鈍いため(業法規制に準拠しない


契約書案のチェック依頼に対し、NGであり修正提案を行うというやり取りが複数回続いていた)、


私の方から、「新規で契約書作成を行うのでそちらをベースにして検討してほしい」旨申入れを行いました。




クライアントの了解を得て、業法規制に対応した契約書を作成し提案したところ、クライアントより一部条項が削除された形で


リーガルチェック依頼が来ました。


その内容は、肝心の業法規制に対応した条項がそっくり削除されているものでした…




何だか緊張の糸が切れてしまい、もう手に負えないなぁと思っているのですが、果たして今後クライアントと


どのように向き合っていけばよいのか、頭を抱えています。。。

(脱力感が半端ないです…)






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名刺から反社を判断するサービス

2019年11月01日 | 法律情報
名刺をスキャンして、名刺管理を行うというのは結構前から行われているとは思うのですが、


WEB2.0や集合知という言葉やもてはやされた際、将来的には名刺から情報を読み取って、データベースと照合することにより、


様々な属性情報が自動検出できるような世の中になるのでは…と某会合で私は発言したことがあったのですが、


いよいよそのような世の中になってきたみたいです。



 ◆名刺管理サービス「Sansan」に反社チェック機能--企業法務の課題解決に




個人情報保護法やプライバシー権などの古典的な(?)属性判断さえる側の権利関係に関する論点も解決する必要がありますが、


某就職サービス会社が提供していた入社辞退予測サービスなどでは、診断情報を利用する側のモラル(?)が問われたりしました。




さて、どういった形で普及するのでしょうか…








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