弁護士湯原伸一(大阪弁護士会)の右往左往日記

弁護士になって感じたことを綴っていきます(注意!!本ブログは弁護士湯原の個人的見解に過ぎません)

【法改正情報】令和5年改正不正競争防止法のポイントを解説

2023年09月25日 | 法律情報

令和5年6月に不正競争防止法の改正が正式に決定しました。
改正概要ですが、経済産業省のWEB上で次のように記載されています。

①デジタル空間における模倣行為の防止
商品形態の模倣行為について、デジタル空間における他人の商品形態を模倣した商品の提供行為も不正競争行為の対象とし、差止請求権等を行使できるようにします。

②営業秘密・限定提供データの保護の強化
不正競争防止法について、ビッグデータを他者に共有するサービスにおいて、データを秘密管理している場合も含め限定提供データとして保護し、侵害行為の差止め請求等を可能とします。また、損害賠償請求訴訟で被侵害者の生産能力等を超える損害分も使用許諾料相当額として増額請求を可能とするなど、営業秘密等の保護を強化します。

③外国公務員贈賄に対する罰則の強化・拡充
OECD外国公務員贈賄防止条約をより高い水準で的確に実施するため、自然人及び法人に対する法定刑を引き上げるとともに、日本企業の外国人従業員による海外での単独贈賄行為も処罰対象とします。

④国際的な営業秘密侵害事案における手続の明確化
不正競争防止法について、国外において日本企業の営業秘密の侵害が発生した場合にも日本の裁判所に訴訟を提起でき、日本の不正競争防止法を適用することとします。
 

本記事では、現場実務では特に重要になると思われる①と②を中心に解説を行います。
なお、令和5年改正不正競争防止法の施行日ですが、本記事執筆時点では不明であるものの、遅くとも令和6年(2024年)6月14日までには施行される予定です。

 

 

 

令和5年改正不正競争防止法のポイントを解説

 

 

 

 

 

 
 
 
 

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

弁護士 湯原伸一

 

「リーガルブレスD法律事務所」の代表弁護士。IT法務、フランチャイズ法務、労働法務、広告など販促法務、債権回収などの企業法務、顧問弁護士業務を得意とする。 1999年、同志社大学大学院法学研究科私法学専攻課に在学中に司法試験に合格し、2001年大阪弁護士会に登録し、弁護士活動を開始する。中小企業の現状に対し、「法の恩恵(=Legal Bless)を直接届けたい(=Direct delivery)」という思いから、2012年リーガルブレスD法律事務所を開設した。現在では、100社以上の顧問契約実績を持ち、日々中小企業向けの法務サービスを展開している。

 
 
 
 
 

 


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【コラム】美談(?)で済ませていいのか…

2023年09月19日 | 経験談・感じたこと

某パチンコ店の駐車場で大規模な火災が発生し、約 150 台の車両に被害が発生したというニュースは耳にしたことがあるかと思います(8 月 20 日のニュースです)。

 

この被害車両の中には、いわゆる営業車(社有車)が含まれていたところ、どうやら運転手は業務時間中であるにもかかわらず、仕事をさぼってパチンコに興じていたそうです。
観念した運転手は勤務先の社長に対して報告を行ったところ、社長は「営業車 1 台失ったけれども、会社の宣伝が出来るなら広告費だと思って今回の件は目を瞑る」、「もし宣伝ができなければ弁償するように」と回答したそうです。
この内容は旧 Twitter(現X)を通じて瞬く間に拡散したところ、この会社には現在取引依頼が殺到しているそうです。

 

こんなことがあるのか!というくらいの美談です。狙っていたのかはともかく社長の対応には感服するというほかありません。

 

ただ、実際に自社でこんな事例が発生した場合、この社長のような対応はできるでしょうか。私ならできません。間違いなく叱りつけますし、何らかの懲戒処分や弁償を求めると思います。そして法的に考えた場合、弁償についてはやや疑義があるのですが、職務専念義務違反・服務規律違反に基づき懲戒処分を科すこと自体は何ら問題ないと考えられます。

 


経営者の皆様においては、上記のような社長の対応が唯一の正解とは考え、自らの首を絞めないようにしてください。
また、従業員の皆様においては、上記社長の対応は特殊例外であり、自社の社長に同様の対応は求めることは法的にも道徳的にも誤りであることを認識してください。
こういった美談(?)が出ると、変な空気が生まれ経営環境の悪化を招きかねないことから、コメントしてみました。

 

 

 

 

 
 
 
 

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

弁護士 湯原伸一

 

「リーガルブレスD法律事務所」の代表弁護士。IT法務、フランチャイズ法務、労働法務、広告など販促法務、債権回収などの企業法務、顧問弁護士業務を得意とする。 1999年、同志社大学大学院法学研究科私法学専攻課に在学中に司法試験に合格し、2001年大阪弁護士会に登録し、弁護士活動を開始する。中小企業の現状に対し、「法の恩恵(=Legal Bless)を直接届けたい(=Direct delivery)」という思いから、2012年リーガルブレスD法律事務所を開設した。現在では、100社以上の顧問契約実績を持ち、日々中小企業向けの法務サービスを展開している。

 
 
 
 
 

 

 


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【IT法務】オープンソースソフトウェア(OSS)利用時に注意すべき事項について(法務視点)

2023年09月11日 | 法律情報

近時は、制作会社がゼロからプログラムを書き起こしてソフトウエア等を制作するという手法は用いられず、オープンソースソフトウェア(OSS)を取り入れることが多いとされています。

 

費用や労力を抑えるためには非常に有用な方法と言えるのですが、一方でオープンソースソフトウェア(OSS)には厳しいライセンス条件が定められています。
万一、ライセンス条件に違反した場合、ベンダが制作した製品は今後提供することができなくなり、また既に提供済みであればユーザが今後使用できなくなる等の重大な問題に直面します。

 

オープンソースソフトウェア(OSS)を用いるのであれば、それ相応の覚悟が必要であることを十分ご理解いただきつつ、その注意点につき解説を行います。

 

 

 

オープンソースソフトウェア(OSS)利用時に注意すべき事項について(法務視点)

 

 

 

 

 

 

 
 
 
 

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

弁護士 湯原伸一

 

「リーガルブレスD法律事務所」の代表弁護士。IT法務、フランチャイズ法務、労働法務、広告など販促法務、債権回収などの企業法務、顧問弁護士業務を得意とする。 1999年、同志社大学大学院法学研究科私法学専攻課に在学中に司法試験に合格し、2001年大阪弁護士会に登録し、弁護士活動を開始する。中小企業の現状に対し、「法の恩恵(=Legal Bless)を直接届けたい(=Direct delivery)」という思いから、2012年リーガルブレスD法律事務所を開設した。現在では、100社以上の顧問契約実績を持ち、日々中小企業向けの法務サービスを展開している。

 
 
 
 
 

 


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【法務】個人情報が漏洩した場合に、事業者が負担する損害賠償その他責任について解説

2023年09月04日 | 法律情報

個人情報の漏洩というと、ハッカー等の悪意ある第三者が不正アクセスを行い、個人情報を盗取していく…というイメージが強いかもしれません。

しかし、自社の不注意で個人情報の漏洩事故が発生したり、委託先等の第三者による不注意等で個人情報の漏洩事故が発生するパターンがむしろ通常です。

したがって、企業規模や属性を問わず、いつどこで起こってもおかしくないというのが実情です。
そこで、いつ発生するか分からない個人情報の漏洩事故に備えて、どのような責任を負うことになるのか、また誰に対してどのような責任追及をすることができるのか、事前に正しく理解しておくことが有益です。

 

本記事では、個人情報の漏洩事故が発生した場合に負担することとなる民事上の損害賠償責任を中心に解説しつつ、個人情報保護法上の義務や行政機関に対して負担する責任について適宜触れていきます。また、個人情報の漏洩事故を発生させた第三者に対して責任追及する場合の注意点についても、簡単にポイント解説していきます。

 

 

 

個人情報が漏洩した場合に、事業者が負担する損害賠償その他責任について解説

 

 

 

 

 

 

 
 
 
 

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

弁護士 湯原伸一

 

「リーガルブレスD法律事務所」の代表弁護士。IT法務、フランチャイズ法務、労働法務、広告など販促法務、債権回収などの企業法務、顧問弁護士業務を得意とする。 1999年、同志社大学大学院法学研究科私法学専攻課に在学中に司法試験に合格し、2001年大阪弁護士会に登録し、弁護士活動を開始する。中小企業の現状に対し、「法の恩恵(=Legal Bless)を直接届けたい(=Direct delivery)」という思いから、2012年リーガルブレスD法律事務所を開設した。現在では、100社以上の顧問契約実績を持ち、日々中小企業向けの法務サービスを展開している。

 
 
 
 
 

 


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする