弁護士湯原伸一(大阪弁護士会)の右往左往日記

弁護士になって感じたことを綴っていきます(注意!!本ブログは弁護士湯原の個人的見解に過ぎません)

オウム事件の影響-松本被告の子供またもや入学拒否

2006年03月03日 | 経験談・感じたこと
以前、松本被告の三女が、入学を拒否されて精神的苦痛を被ったとして、和光大学に対し慰謝料請求を行ったところ、東京地裁は30万円の支社料を支払うよう命じる判決を出しました。

今度は、松本被告の二男が私立中学の入試を合格したにもかかわらず、入学拒否されていることが判明したようです。

子供には罪がないのだから、入学を認めないのはけしからん!という議論は正論だと思いますが、一方で、学校側としても嫌がるのは心情として分かるような気がします。

ただ、上記で述べたような訴訟で思うのですが、後で安い損害賠償を支払いさえすれば、法律上の制裁を加えることができない、つまり、やったもの勝ち!?のような傾向がある点が何となく気がかりです
(特に名誉毀損の裁判なんかでは、名誉を毀損するような記事を出版し、それによって出版社が多額の利益を得ているにもかかわらず、名誉を毀損された側が行った慰謝料請求は、その利益の数パーセントにすぎないと言われています。そのため、経済的な観点だけからすれば、売り抜けた方が得だ!という判断がなさらる場合があるのも事実です)。

従って、30万円支払いさえすれば、入学拒否することができてしまう、だったら損害賠償を支払った方が「マシ」という判断が実はあり得るのではないか!?と多少危惧してしまいます。

今回の二男の入学拒否についても、訴訟提起の動きがあるようです。
しかし、もしかしたら学校側としては、さっさと損害賠償を支払って済ませた方が良い!?と思っているかも知れません(私の勝手な想像ですが…)。

まさしく、法律による救済の限界事例と言えるかも知れません。



関連リンク
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060302-00000070-jij-soci

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