弁護士湯原伸一(大阪弁護士会)の右往左往日記

弁護士になって感じたことを綴っていきます(注意!!本ブログは弁護士湯原の個人的見解に過ぎません)

個人破産の依頼と弁護士受任

2005年10月31日 | 経験談・感じたこと
最近では、だいぶ案件数が減りましたが、まだまだ個人(消費者)の方が、首が回らなくなったので破産したい、という相談はよくあります。

弁護士からすれば、最初だけちょっと忙しいけど、あとは大体流れ作業で処理・対応することができますので、難易度で言えば比較的楽な案件といえます。
そのため、(我々の業界内でという意味ですが…)比較的安い金額で、しかも分割払いで応じることが多いのですが、やはり一般の方からすれば高額な費用です。

いつも思うのですが、お金がない!といって破産相談をしているにもかかわらず、何十万もの費用を請求することは、大変心苦しいところはあります。
ただ、私も無償ボランティアで弁護し業務を行っているわけではない以上、全くのタダ働きをするわけにはいかない。。。
また、分割払いに応じたが、費用を支払ってくれない依頼者に対し、やはりお金がない人なのに支払ってくれ!と請求するのも何となく気が引ける。。。

弁護士業務もビジネスである以上、こんな悩みを持っていること自体ナンセンスなのかもしれませんが、いつまで経っても回答が出ない問題です。

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判決文が短すぎると人事評価上不利になる!?

2005年10月31日 | その他
報道によると、某裁判官の上司が「判決文が短すぎる」と指摘したにもかかわらず、改善されていないとして、人事評価上マイナス評価をしたとのことです。

我々弁護士なんかでは、あまり裁判と関係がないのになぁ…と内心では思いつつも、依頼者の意向もあるので、結構割り切って「あまり関係のない」主張を書面に記載することはままあります。

裁判の場合、要は白黒の結論を明確に導き出せば良いのであって、明らかに関係のない主張に対してまでいちいち判断する必要がないという理屈はたしかにその通りだと思います。
ただ、我々弁護士でもそうですが、特に素人の場合、自分の主張が裁判所においてどの様に判断されているのか理由を知りたいと思うのは当然のことであって、その要請にはある程度応えるべきではないでしょうか。

裁判官の頭の中で関係がないと整理・判断し、妥当な結論を導き出すことはもちろん行ってもらわなければならないことですが、その判断過程が判決書上明らかにならない限り、当事者に対する説得性は欠くことになるでしょう。

今回問題となっている裁判官は、ちょうど再任時期(要は契約更新です)に該当するようですので、再任不適切と判断するのは行き過ぎだとは思いますが、ある程度主張する側の意識にも気を配って頂ければと思います。

関連リンク
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20051031-00000101-yom-soci

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隣家に対し、目隠しを設置するよう命じる判決がだされました

2005年10月30日 | 法律情報
我々の業界では、「相隣関係問題」なんて言うのですが、要は隣近所とのいざこざのことを指します。

今回は、隣の家から家の様子が丸見えなので、目隠しを設置せよ!という裁判を起こして勝訴判決を勝ち取ったようです。
法律上の根拠は、今回は、民法235条(境界線から1メートル未満に窓などを儲ける場合は目隠しを設置せよ)を根拠に認められたようですが、一般的にはプライバシー権の侵害で請求することの方が多いようです(私の経験上、マンション建築によって上層階から丸見えになるという事例を何件か扱ったことがあります)。

まぁ、法律上の根拠はともかく、権利意識の高まり(隣近所での地域コミュニティーが無くなってきた?)で、このような紛争は多数生じていくのでしょうね。

ちなみに、私が小さい頃は、玄関に鍵などかけていませんでしたし、隣近所の人がよく家に出入りしていた環境で育ったので、相隣問題を意識したのは、弁護士になってからですね(田舎出身なもので)。。。


関連リンク
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20051029-00000022-san-soci

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「行列のできる法律相談所」に出演する弁護士募集の広告(笑)

2005年10月28日 | その他
某局のテレビ番組「行列のできる法律相談所」に出演する若手弁護士の募集を行っているようです。

一応、私は出演条件に合致はしますが、出演まではちょっと…と考え込んでしまいますね。。。

ちなみに、私の友人は出演していましたが、ほとんど放映されていませんでした。
また、事務所に出演に関する電話があったようです。
結構、若手弁護士を発掘するのに苦労しているんですかね!?


岡口裁判官のホームページに詳細が出ています!
http://okaguchi.at.infoseek.co.jp/top.htm

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パワーハラスメントで労災認定されて思うこと

2005年10月28日 | 法律情報
そもそも「パワーハラスメント(通称パワハラ)」自体が最近の用語ですが、要は、上司がその地位・権限(パワー)を濫用して、部下の人格等を侵害することを指します。

上司が部下に対して、業務遂行上のミス等に注意し叱責すること自体、何ら違法な問題ではありません。
そして、人間誰しも叱責を受ければ、心理的圧迫を受けるのは当然のことです。

このため、どこまでが許される叱責であり、どの線を越えたらパワハラと認定されるのか、画一的な基準が無く、相当微妙な判断となります。

パワハラと似て非なる「セクハラ」の場合も、結局は、その人の考え方・思いなどの主観的な問題となる傾向があるため、ある人にとってはセクハラであり、別の人であってはセクハラではないということがあり得ます。
パワハラについても、セクハラと同じようなことが生じるのではないでしょうか。

今回は、パワハラを原因とした労災と認定されましたが、このような判断傾向が続くとは思えません。

パワハラの問題を生じさせないためにも、部下のみならず上司にこそメンタルヘルスケア教育が必要な気がします。


関連リンク
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20051027-00000417-yom-soci

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会社はどこまで従業員の行動を把握できるのか?

2005年10月27日 | 経験談・感じたこと
とある方から、
「このところ、テロやら暴動やらで何が起こるか分からない世の中になっている。プライベートな長期旅行であっても、できる限り従業員の所在を確認したい。そこで、長期旅行の場合、従業員に行き先と緊急連絡先を書いた書面を提出させようと考えている。大丈夫だろうか?」
と相談を受けました。

たしかに、会社側からすれば、何か事情があって連絡を取りたい!あるいは報道等によって初めて従業員の所在が分かった!という場合、適切な初動対応ができないのも事実です。
しかし、業務中であればともかく、プライベートなことにまで会社が口を挟むこと自体はあまり望ましいことではありませんし、そもそも書面提出を行わなかったからといって、会社業務に直ちに悪影響を与えるわけではないでしょう。

したがって、あまり会社側にとって都合の良い返事はできないという結論に至りました。
上記件については、制度自体を設計するのはOKだが、義務化し、書面提出を拒否した場合に懲戒処分を行う、あるいは時季変更権を行使するという運用は違法と判断される可能性が高いと結論づけ、相談者に回答を行いました(要は、提出するか否かは従業員の任意の判断に委ねられるので、会社側の目的を達成することは難しい)。

とまぁ、ここまでは一応の弁護士らしき回答な訳ですが、大変心苦しい!
弁護士たる者、依頼者の利益を最大限追求する必要があるわけですが、実際には、依頼者から嫌われたくない!と思うこともあり、今回の場合は、自分でも今ひとつだなぁと思うわけです。

弁護士って冷たい!ビジネスを分かっていない!とよくお叱りを受けますが、色々と悩んでいることは分かって欲しいですね。

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敵対的買収防衛策を株主総会で開示せよ!-新会社法の法務省令に挿入予定

2005年10月27日 | 法律情報
来年5月からの施行が噂されている「会社法」ですが、条文を読むと結構政令に委ねるとなっており、具体的な中身は未だ未確定となっています。

そのような中、今年になって相次いだ敵対的買収での混乱に鑑み、法務省令において敵対的買収防衛策を導入する場合、株主総会で事業報告を行うことと規定される方向で協議が詰められていることが判明しました。

そういえば、ライブドアの問題の時ほど、楽天vsTBS問題は騒がれていませんが、どうような結末を迎えるのでしょうか。
やはり、取得したTBS株を高く買い戻すことで決着が付くのでしょうか。
見物です。


関連リンク
http://www.nikkei.co.jp/news/keizai/20051027AT1F2601A26102005.html

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弁護士が詐欺破産の嫌疑で逮捕!

2005年10月26日 | その他
法律を使って仕事をしている以上、法律に従って自分自身のことも処理する必要があるのに、どうして…という感じです。
まだ、逮捕された弁護士は容疑を否認しているようですので、本当に詐欺破産があったのか分かりませんが、少なくとも疑われないように

ちなみに、弁護士は破産をしてしまうと、弁護士業を行うことができません(破産するような弁護士に、金銭が絡んでくる法律相談などを依頼するのは抵抗がありますよね)。
昔は弁護士の破産など考えられなかったようですが、今後、弁護士の人数も増加の一途をたどる以上、弁護士という事業に失敗、破産という事例は増えていくのではないでしょうか。

先日も司法修習生(司法試験合格後に行われる研修期間中の人達のこと)と話をする機会があったのですが、実際問題として、弁護士事務所の就職先がみつからず、やむを得ず経験無しで独立開業する人も出てきているようです(司法試験に合格しても、どこかの事務所で勤務し経験を積みたいと思うのであれば、激しい就職活動が待っています)。
色々な意味で弁護士業界も競争激化ですね。。。


関連リンクhttp://www.nikkei.co.jp/news/shakai/20051026AT1G2601D26102005.html

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ペプシコーラのおまけ(景品類)と法律規制

2005年10月26日 | 法律情報
ペプシコーラにおまけとして付いている、ガンダムの模型キャンペーンについて、公正取引委員会が注意を行ったようです。

景品表示法という聞き慣れない法律名かも知れませんが、正式名称は「不当景品及び不当表示防止法」と言い、企業などが営業・広告活動を行うに際しては、必ず知っておかなければならない法律です。

この景品表示法では、大きく分けて
①景品類(=イメージとしては「おまけ」です)の価額、種類、提供方法等の規制
②広告などの表示規制(例:他社との比較広告に関する規制、一般消費者を誤認させる広告の規制)
の2種類について定めてあります。

今回の件は、上記①に該当するとして、公正取引委員会が注意したというものです。
ちなみに、報道によると「懸賞品」に該当するから、景品表示法違反の問題が生じるかのようにされていますが、「おまけ」が付いていれば、基本的には景品表示法の規制にひっかかります。
おそらくは、景品表示法が規定する「景品の提供方法の制限」のうち、本件は「一般懸賞」(=抽選やくじで景品が提供されるか否か判断する方法)に該当するという意味だと思われます(なお、景品表示法では、景品の提供方法として4種類規定されています)。

いずれにせよ、おまけキャンペーンのやり過ぎには注意する必要があるということですね。


関連リンク
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20051026-00000501-yom-soci

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全く正反対の判決が東京地裁で…ハンセン病訴訟

2005年10月25日 | その他
韓国及び台湾に住む人が、ハンセン病補償法に基づく補償を求めた訴訟について、本日、東京地裁で全く正反対の判決が出ました。

報道によると、争点はほぼ同一だったということなので、何故、判断が分かれたのか不可思議であり困惑する所もありますが、悩ましい問題です(どうやら、各訴訟を担当した弁護士の力量の問題を越えて、各々の裁判官の「ものの見方」が大きく異なるようです)。

なお、担当裁判官によって、何故ここまで大きく結論が分かれるかというと、日本国憲法76条3項では、個々の裁判官は独立して判断しなさい(=他から影響を受けてはならない)と規定されているからです。
このため、今回の裁判であれば、同一内容の裁判について、他の裁判官がどの様に考えているのか気にすることなく、自らの信念を貫いて判決を出した結果、正反対になってしまったということになります。

おそらくは控訴必至の事件になると思われますが、憲法上の建前には配慮しつつも、高裁では統一的な判断が出るように願うばかりです。


関連リンク
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20051025-00000029-mai-soci

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