弁護士湯原伸一(大阪弁護士会)の右往左往日記

弁護士になって感じたことを綴っていきます(注意!!本ブログは弁護士湯原の個人的見解に過ぎません)

無茶をいう依頼者…

2006年08月31日 | 経験談・感じたこと
『弁護士は「依頼者の利益」のために最大限遂行しなければならない…』これは弁護士法・弁護士倫理等に規定されており、どの弁護士も遵守しているはずです。

ただ、どう考えても依頼者の主張していることが「無理筋」の場合があります。
まぁ、依頼を受けて業務遂行する以上、依頼者の気持ちはなるべく代弁しようとするのですが、偶に、「どう考えてもおかしいじゃん!」という難題にぶち当たることがあります。

受任するか否かの選択権が私自身に与えられていれば、上記のような場合、「お断り」すれば足りるのですが、上から降ってきた場合、否応なく対処せざるを得ません(そういう事件に限って独りで担当することになる)。

弁護士をやっていて、この様な案件はストレスが一番大きいですね。
なるべく言葉を選んで、一般論からすると必ずしも認められるとは限らない旨を依頼者にお伝えするのですが、不機嫌になったり怒り出したりする依頼者もいて大変です。
また、相手方(特に弁護士など)からは、「本気で言っているの!?」とバカにされたり、裁判所からは冷たくあしらわれたり…三方塞がりのような状態になってしまうと、こっちまで軽く鬱になります。
(弁護士報酬は、ある意味、弁護士に対する慰謝料では?なんて思ったりするときもあります)

弁護士も、精神的にタフでないとやってられない…とつくづく思います。

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へぇ~。刑務所の受刑者監視業務まで民間委託されるんですね。

2006年08月30日 | その他
今年の6月から違反駐車の取締業務が民間委託されて、かなり色々と話題になりましたが、報道によると、

(引用)
『新設する二つの刑務所で、受刑者の監視や警備、職業訓練、手紙の検査の補助など233人分の仕事について、民間委託する』

ことになったようです。


違反駐車の取締業務やら受刑者の監視業務やら、バックに国家権力が無いことにはできない業務について、民間に委託する方向で動いているようですが、受刑者に関する監視業務を民間解放して大丈夫なの?と正直思います。

ちなみに、刑務所の運営に関わる業務の内、約3割分について民間委託するとのことですが、最近では、国会公務員である刑務官でさえ特定の受刑者に便宜を図ったと言うことで大問題となっています。
民間業者に委託した場合、便宜を図って欲しい等の裏取引はますます巧妙化しそうな気がしてなりません(まぁ、民間だろうが公務員だろうが、不正行為を行う可能性は変わらないかも知れませんが…)。

とりあえず、当面は新規に建設される刑務所についてのみ、民間委託するとのことですので、どの様な運用・実態となるのか検証したいと思います。


関連するニュースへのリンク
http://www.asahi.com/national/update/0830/TKY200608290387.html

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雇い主は従業員の不始末にどこまで責任を負うのか-福岡市と京都市の報道を見て

2006年08月29日 | 経験談・感じたこと
福岡市の職員が職務外で飲酒運転を行い、追突事故を発生させ、被追突車両が海に転落、3人死亡という痛ましい事件が大きく報じられています。
この件につき、福岡市は市長が遺族と面会したり葬儀に参列したり、全職員で黙祷する等、かなり積極的に動いているようです。

一方、市職員の不祥事が相次ぐ京都市は、京都市長が市議会で、「国民全体の犯罪発生率と比較すると、それほど大きな数値ではない」という内容の発言を行い、大クレームを受けていると報じられています。

当職が知る限りでは、上記2件とも、市職員の職務外での犯罪行為であり、雇い主である地方公共団体(市)が法律上の責任を負う訳ではありません。
従って、形式的な法律論だけからすれば、市長を始めとした幹部クラスの人達が対応する必要性は無いということになります。

ただ、弁護士をやっていて特に感じることですが、一般的な傾向として法律的な責任を負担することで全て責任を尽くしたとは考えられておらず、何らかの形で「道義的な責任」を負って然るべき、という風潮があります。
特に、コンプライアンスが言われて久しい今日では、この傾向がますます強くなっているようです。

その意味で、福岡市の対応は比較的早く対応していたので、もっと評価されても良いのではとも思いますが、ただ、道義的な責任ばかりを追及してしまうと、責任が無限大に広がってしまい収集が付かなくなります。

この辺のバランスが、今後検討すべき事項になるのでしょうね。

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ビラ配布目的のマンション立ち入りは、住居侵入罪に該当しない!-東京地裁が判断

2006年08月28日 | 法律情報
報道によると、マンション内の個々のドアポストに政治的なビラを投函するため、マンション敷地内に立ち入る行為につき、住居侵入罪で起訴されていた被告人に対し、東京地裁は無罪判決を行ったようです。

ただ、報道の限りですが、判決理由として「立ち入り拒否の張り紙は商業ビラの投かん禁止とも読み取れ、マンション側が政治目的のビラ配布を禁じていたとしても、その意思表示が来訪者に伝わる表示となっていない」と事実認定しているところからすると、一般論として、政治的ビラを配布するためにマンション敷地内に立ち入ることを認めた判決と解釈することは早計のようです。

色々な政治的背景も感じられ、ちょっと事情がややこしそうな気がしますが、仮に、政治的意見を表明したビラを配布する目的で、集合玄関上のポストではなく、個別のドアポストまで立ち入りOKと認められるべきであるとするのであれば、
若干違和感があります。
一方で、そもそも検察官もこの様な微罪事件で、いちいち起訴する必要性があったのか疑問が残ります。

おそらくは、検察官も控訴することは確実でしょうから、東京高裁がどの様に判断するのか見守りたいと思います。


関連するニュースへのリンク
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060828-00000014-mai-soci

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何故!?-リースに関するトラブルばっかり相談に…

2006年08月25日 | 経験談・感じたこと
当職は、大阪市が運営する「あきないえーど」と呼ばれる団体の法律相談員をやっています。
基本的には、新規事業の立上げ者あるいは中小企業経営者向けの法的なアドバイス等を行っているのですが、毎回必ず相談があるのが「リース解約に関するトラブル」です。

今話題の(!?)の電話リーストラブルもあれば、後から不必要なリースと分かったので解約したいなど、理由はともあれリース代金を支払いたくない!という相談が押し寄せるのですが、毎回思うのが「なぜリース契約する際に必要かどうか考えないのか?」という疑問です。

たいていの相談者は、売買業者とリース業者とは法的には別当事者であるという特殊性を知らないようです。
この特殊性が大きな問題です。
つまり、原則として売買業者がどの様に勧誘しようと、リース業者は売買業者の言動等に何ら拘束されないこと、従って、売買業者が約束違反を行っていたとしても、リース業者に対しては約束違反と主張することができないという点を十分に理解されていないのです(偶にクーリングオフができないのかと相談される方もいらっしゃいますが、商取引の場合、クーリングオフはできません)。

このため、相談を受けても、気持ちは分かるけど、リース業者に対して支払う必要がないと法的にアドバイスすることができない状態です。
そして、当職も判を押したようなアドバイスしかできず、「ちょっとなぁ…」と思ってしまいます。

ビジネスを行う以上、ある程度のリスクは付きものですが、「本当に必要か」という自問自答は、必ず行い、うまく事業をやって欲しいと思います。

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裏金による寄付はいりません!-ユニセフが岐阜県の裏金による寄付金を全額返還へ

2006年08月23日 | その他
報道によると、岐阜県の裏金の一部が、ユニセフに寄付金として提供されていたらしく、ユニセフ側が寄付金を全額返還する旨を公表したとのことです。

法律的にはユニセフに返還義務があるとは言えませんから、やはり、「汚い金」は使えないと言うことなのかもしれません。

ちなみに、私も又聞きになっているので正確な情報かどうか分かりませんが、ユニセフは寄付金の原資が犯罪絡みの場合、受領しないし返還するという方針をとっているようです。

弁護士間でのメーリングリストで知った情報ですが、とある刑事被告人が反省の態度を示す意味で、自己の財産(もしかしたら犯罪によって収得した収益金かも知れません)をユニセフに寄付しようとしたところ、ユニセフ側から断られたとのことです。

まぁ、ユニセフに寄付したくらいで量刑に大きな変動があるとは思えませんが、ユニセフの態度も徹底していますね。


ところで、岐阜県は本当にお金を燃やして処分してしまったのでしょうか?
なぞの行動と言わざるを得ません。



関連するニュースへのリンクhttp://news.www.infoseek.co.jp/topics/society/gifu/story/23yomiuri20060823i301/

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どう見る!?-消費者金融大手が金利引き下げの場合の融資可能数を公表

2006年08月22日 | 経験談・感じたこと
利息制限法に定める上限金利まで引き下げる方向で議論が進んでいる、貸出金利の上限問題ですが、報道によると、消費者金融大手7社が行った調査によると、上限金利が18%に引き下げられた場合、融資実行の可能性が75%減になるとの結果を公表したようです。

上限金利が引き下げられることで、融資を受けられない人が出てくるのは、ある意味分かっていたことなので、今回の調査結果については、まぁ予想通りといったところでしょうか。
ただ、少々うがった見方をすれば、今回の調査報告は、上限金利が利息制限法の枠内で抑えられようとしている議論の流れに対して、消費者金融会社側の必至の抵抗とも思われます。

実際には、新規融資75%減となると、消費者金融会社としても現状経営ができなくなるでしょうから、実際には新規融資が、本当に調査結果のように減少するとは思えないのですが、いかがなものでしょうか?

高金利で利益を出すというビジネスモデル自体の転換が迫られているのかも知れません。


関連するニュースへのリンク
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060822-00000401-yom-bus_all

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紙媒体での情報公開は時代錯誤!?-電子データをCD-ROMで開示する事を求めて訴訟提起!

2006年08月21日 | 法律情報
報道によると、とある地図会社が、地図の製作に際し市役所へ道路情報の開示(公文書)を求めたところ、市側は、電子データなので印刷して開示する旨通知したそうです。
そうしたところ、地図会社が、わざわざ紙媒体で印刷することは無駄であるとして、CD-ROM等で開示するよう求めて訴訟提起したとのことです。

まぁ、確かに、電子データをわざわざ印刷して書面で渡すことは、資源の無駄ですし、手間暇かかって仕方がないような気がします(報道によると、紙媒体による印刷の場合、費用は約8万円あるのに対し、CD-ROM等であれば数千円程度で済むそうです)。

ただ、電子データは、紙媒体と比べて、どうしても偽造・変造が行いやすいという技術的な問題もあり、必ずしも電子データが万能であるとは言い切れないような気もします(特に公文書ですので、偽造・変造などが行われた大変なことになります)。


ちなみに、弁護士の中でも、刑事弁護について、検察から提出された証拠書類につき、裁判所でデジタルカメラで撮影しようとしたところ(謄写費用は結構かかるし、基本的には弁護人持ちです)、ダメと言われたそうです。

この訴訟の結果如何によっては、情報公開の方法が大きく変わるかも知れませんね。


関連するニュースへのリンク
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060821-00000007-mai-soci

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やっぱり…司法支援センターへ就職する弁護士が圧倒的不足状態に!

2006年08月17日 | その他
今年の10月から開始される司法支援センター(愛称法テラス)業務につき、当該業務に携わる弁護士が約3割程度しか確保できていないと報じられています。

ちなみに、司法支援センターとは、一般市民が何か法律問題で困ったら、とりあえず相談に乗ってもらうことができる施設のことで、一般公募による弁護士等がその業務の中核を担うとされています。

しかし、我々弁護士が十分理解する暇もなく、司法改革の名の下で「いつの間にか」決まった制度ですので、いくら政府等が旗振りを行っても、弁護士は付いていかないだろうなぁ…というのはある意味予測できたことです。

なお、私個人が司法支援センターに登録しようと思った場合、就労条件の低下は避けられませんし、何よりも、全く縁もゆかりもない地域に派遣されて弁護士業務を行い、最長9年経てば登録解除されてしまうという条件では、あまりにもリスクが大きすぎて、登録しようと言う気にはなれません。

弁護士職務の公的性格を強調するのも結構ですが、弁護士も一民間人として、生活していることへの配慮をしない限り、いくら弁護士の募集を行っても集まらないような気がします。
特に、ある程度経験を積んだ人であればあるほど、見向きもしないのではないでしょうか。


関連するニュースへのリンク
http://www.asahi.com/national/update/0815/TKY200608140271.html

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弁護士法72条問題は続く-弁理士業務の拡大を特許庁が検討

2006年08月11日 | その他
報道によると、特許庁は、知的財産権に関する営業妨害の訴訟代理、特許侵害品の輸入を税関で差し止めることの代理業務を、弁理士が行えるよう、弁理士法の改正作業に入ったとのことです。

個人的には、特許訴訟等は、能力的に弁護士が担いうる問題とは思えませんので(私も特許訴訟をやったことがありますが、依頼者あるいは相手方の主張を弁理士の先生にかみ砕いてもらって、その上で書面作成を行う…という手間・時間がかかる訴訟だったと記憶しています)、弁理士の方に訴訟代理してもらうことは特段抵抗はないのですが、やはり訴訟代理には弁護士であり、弁護士業務が一部取られる!と考えると、一部弁護士からは抵抗が出るものと思われます。

弁護士法72条の問題も絡みますが、弁護士の独占業務とされていたものは、今後も他の士業に解放されていくことは間違いないでしょうね。
いよいよ弁護士も本格的に営業活動を行って、自らが何ができるのか売り込んで行かなければならない時代に突入することとなりそうです。


関連するニュースへのリンクhttp://www.nikkei.co.jp/news/keizai/20060811AT2C1001E10082006.html

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