弁護士湯原伸一(大阪弁護士会)の右往左往日記

弁護士になって感じたことを綴っていきます(注意!!本ブログは弁護士湯原の個人的見解に過ぎません)

任意聴取を拒絶した法学部教授が逮捕!

2007年02月28日 | その他
報道によると、某大学の教授が川に六法全書等を捨てたとして、廃棄物処理法違反の疑いで逮捕されたそうです。

まぁ、ここまでは別に珍しくも何ともないのですが、逮捕に至るまでの経緯として、警察が任意で事情聴取を行おうとしたところ、被疑者である某大学教授は、「令状がないなら帰る」と言って、任意での事情聴取を拒否し、逮捕されたとのことです。

法律上の手続きだけで言えば、確かに令状によって初めて強制力のある事情聴取ができるのですが、ほぼ犯罪を犯したことが客観的に明らかになっている状況下で、わざわざ令状逮捕を受けるのも、少々間抜けなような気がします。
それにしても、警察も任意での事情聴取の場合であれば、いったん解放するんですね。。。
たいてい、何だかんだ言って警察署に連行していくのが常套手段だと思っていたのですが。

ちなみに、某大学教授は、民事訴訟法を専攻していたとのことですが、別にその事が本件に影響あったわけではありませんよね…


関連するニュースへのリンク
http://www.nikkansports.com/general/f-gn-tp0-20070227-162912.html

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「プロバイダ責任制限法 発信者情報開示関係ガイドライン」が公表されています

2007年02月27日 | 法律情報
プロバイダ責任制限法に基づく発信者情報開示の問題については、個人情報・プライバシーの問題と名誉毀損の問題とが激しくぶつかり合い、関係各当事者はどの様に対処して良いのか頭を悩ます分野です。

この度、プロバイダ責任制限法ガイドライン等検討協議会がガイドラインを公表していますので、関係各当事者は目を通した方が良いかも知れません。


ガイドラインへのリンク先(社団法人テレコム協会内のサイト)
http://www.telesa.or.jp/consortium/provider/2007/20070226.htm

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刑事裁判の大改革?-「犯罪被害者参加制度」と「付帯私訴制度」が来秋ころより始まる

2007年02月27日 | 法律情報
報道によると、
・犯罪被害者が刑事裁判(公判)に出廷して、被告人に対して直接質問などができる「被害者参加制度」
・被害者が刑事裁判に併合して被告人に対して民事上の損害賠償請求ができる「付帯私訴制度」
が来年秋ころより実施されるとのことです。

刑事裁判の究極的な目的は、被告人の有罪・無罪を決めること、有罪の場合にどの様に処罰するのか決めることであり、どうしても被告人中心の制度です。
このため、刑事裁判の当事者は、被告人の処罰を求める検察官、被告人を弁護する弁護人、被告人に対して処断する裁判官であり、犯罪被害者が直接関与すると言うことはあまり想定されていませんでした。
しかし、近年は犯罪被害者をもっと保護すべきであるとの意識が強くなっているため、やはり何処かで犯罪被害者を関与させる刑事裁判制度が求められていたところ、今般、上記のような制度が導入されるとのことです。

弁護人の立場として関与する我々弁護士としては、正直、この制度の導入によって大きな負担となることは間違いないと思いますが、反対することは時代の流れに逆行すると思いますので、きちんと対応していく必要がありそうです。



関連するニュースへのリンク
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070227-00000011-mai-soci

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政府公認の「お見合い」サイト~ただし結婚サイトではありません…

2007年02月26日 | 経験談・感じたこと
ベンチャー企業の育成、中小企業の保護等、日本経済の活性化を図るためには、大企業だけではダメだ!ということはよく言われていることですが、法制度の整備だけでは、売上が伸びるわけではありません。

法制度も大事ですが、どうやって売上を上げるか?、つまり取引先を見つけるかが大きなポイントになってくるのですが、この度、経済産業省&財団法人全国中小企業取引振興協会は、ビジネスマッチングサイトを開設し、取引先開拓の支援に乗り出すことになったようです。
なお、実際に上記サイトが稼働するのは今年の4月予定だそうです。

この様な顧客発掘を手助けする政策自体は、大変歓迎すべき事とは言えるでしょう。
ただ、「マッチングサイト」に共通する悩みは、

・マッチングサイトに登録する企業に絞りをかけるべきか(絞りをかければ、真面目な企業が登録されることになるが、登録要件が厳しすぎると、そもそも参加企業が少なくなってしまいます。一方、自由登録とすると、やはり問題参加者が増えて、ビジネスとはかけ離れたサイトになってしまうことがあります。)

・実際にマッチングした後に紛争が生じた場合、マッチングサイト側に責任追及されるおそれがあること

という点があります。

私も個人的に、ビジネスマッチングサイトへの協力を行ったことがあるのですが、自由登録制にして、ネットワーク・ビジネスの人が参加してトラブルになったり、あるいは実際にマッチング率を上げるために、サイト運営者に多大な苦労が発生する等の問題を目の当たりにしたことがあります。

今回の経済産業省等の試みが、どこまでうまく行くのか、見守りたいですね。


関連するニュースへのリンク
http://www.nikkei.co.jp/news/keizai/20070226AT3S2101125022007.html

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裁判所に出廷しない弁護士…

2007年02月23日 | 経験談・感じたこと
民事訴訟法においては、当事者あるいはその代理人が裁判所に出廷して、弁論等を行うことが大前提になっています。
そして、訴訟提起されたにもかかわらず、被告が事前連絡もなく、第1回目の期日に出廷しなかった場合、欠席裁判と言うことで原告の請求が全て認められる判決が出されてしまいます。

ところで、第1回目の期日は一方的に裁判所が決めてしまう等の事情があるため、事前連絡を行い、予め定められた手続きさえ踏んでおけば、出廷しなくても欠席判決を出されることはありません。
また、簡易裁判所の場合、特例として第2回目以降も、一定の手続きさえ踏んでおけば裁判所に出廷しなくても良いことになっています。


とまぁ前置きが長くなってしまいましたが、先日、出廷しない弁護士に対して、裁判所が面白い反応を示したことがあったので、以下、記載します。

先日、私が原告側の代理人弁護士として訴訟活動を行っている裁判(簡易裁判所の事件です)の第2回期日が開催されました。
私は当然出廷して待っていたのですが、時間が経っても被告代理人が全く姿を見せません。
さすがに裁判所も待ちくたびれて、法廷内の電話を用いて、被告代理人の事務所に電話をしたところ、被告代理人は事務所で執務中だったようです。
裁判所の書記官が、「今日は期日だが…」と話をしたところ、被告代理人は、色々言い訳をしていたようですが、「事案の性質上、わざわざ出廷はしない。尋問手続きの場合のみ出廷する。」と当たり前のように言ってきました(出廷しないことについて事前連絡はありませんでした)。

この発言を受けて、裁判所の書記官は、ちょっと切れ気味なのが分かりましたし、一緒に居合わせた裁判官も、けしからん!という表情をしていましたので、私は黙ってやり取りを見ていました。

電話を切った後、裁判官は、ちょっと呆れていましたが、感情を押さえるようにして、「被告代理人は不熱心なようで…。今後、原告はどういった活動をされますか?」と尋ねてきました(あからさまな言い方です…)。
私からは、「もう別に本人の尋問を行っても結構ですが…」と言ったところ(実は、被告代理人が提出していた書面では、更なる主張を次回までに行うと記載してありましたが、あえて上記のように言ってみました)、裁判官は、「じゃ、次回は本人尋問ということで」ということで、被告の主張を無視(?)し、期日を終了させてしまいました。

被告側の都合を全く聞かずに決めてしまったことに、少々気が引けてしまいましたが、よくよ~く考えると、出廷せずに弁論権を放棄したのは相手である以上、リスクは負担して然るべきなんでしょうね。

それにしても、法的な手続きでは問題ないとはいえ、事前に裁判所に連絡もせずに突っ走ろうとした相手弁護士の対応には問題がありそうです。
他人の権利義務の処分を任されている以上、面倒くさいから(?)裁判所に出廷せずに裁判手続きを進めようとするのは、依頼者からすれば、心配なのではないでしょうか?


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企業の9割は弁護士の採用予定無し…

2007年02月22日 | その他
弁護士資格の「保有者」が大幅に増加することが予想される中、弁護士資格「保有者」の就職先は、あまり増加していないようです。

日弁連の調査によると、企業における弁護士の採用計画について、
・募集中と募集していないが採用予定はある=合計3%
・採用予定はないが検討中=4%
・関心はあるが検討していない=44%
・採用は消極的=49%
だそうです。

日弁連は、「コンプライアンス強化に弁護士活用の意義は大きい」として、宣伝・広報活動を行っているようですが、単純に、「企業法務部でも対応できるのでは?」「外部顧問弁護士にお願いしても十分対応できるのでは?」等の疑問には十分に答えていないでしょうね。
また、どうしても、1人を従業員として採用し抱え込むのと、外部顧問弁護士に委託するのとでは、どちらが費用が安くて済むのか経済的合理性も問題になるでしょう。
(東京の大手事務所ならいざ知らず、大部分の弁護士であれば、顧問弁護士として外部委託した方が、費用的には安く済むと思います…)

司法試験合格への門戸を大きく開いたことには意義があったのもかも知れませんが、その先行きの展望を考えていなかったのでしょうか?
必死で頑張っている日弁連執行部の方々には申し訳ないのですが、今頃になってかけ声かけても、他の一般(?)弁護士や企業等がなびくとは思えないのですが…

今年10月以降に、司法修習生がどの様な待遇になるのか、追って調べてみたいと思います。


関連するニュースへのリンク
http://www.nikkei.co.jp/news/shakai/20070221AT1G2102F21022007.html

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「あるある」問題で、関西テレビが制作会社に対して損害賠償請求を行う!?

2007年02月21日 | 法律情報
報道によると、関西テレビは制作会社に対し、「発掘!あるある大事典2」の捏造問題について、損害賠償請求を行うことを検討している旨公表したそうです。

まぁ、法律の理屈だけからすれば、損害賠償請求を行うことは可能と思われます。
ただ、もし法理論として検討するのであれば、
・制作会社が全責任を負うとするのが公平か?(発注者である関西テレビ側の指導・監督責任について問題があったとして過失相殺が問題なるのでは?)
・具体的な損害額をどうやって立証するのか(風評被害が損害であるとするのであれば、具体的な損害額の立証は不可能に近いと思います)
というのが大きな問題になるでしょうね。

ただ、法律の理屈はともかく、あまり原因解明が進んでおらず、必ずしも国民一般の納得が得られていない中、「被った損害については賠償してもらう!」と今のタイミングで言うことが果たして適切なのか、少々疑問です。
というより、「原因解明もしないで自分たちさえ救われればいいのか!」等の批判もでるでしょうし、むしろ、かえって反感を買ってしまうのは…と思ってしまいます。

私個人は、発掘あるある大辞典という番組を見たことがないのでよく分かりませんが、結構ファンは多かったと聞いています。
まずは、損害賠償等の問題ではなく、真摯な態度を視聴者に示すことが先決ではないでしょうか。


関連するニュースへのリンク
http://www.nikkei.co.jp/news/shakai/20070221AT1G2100G21022007.html

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法律家は全ての法律に精通しているわけではない…検察官が民法772条を見落として不当起訴!

2007年02月19日 | 経験談・感じたこと
最近、民法772条の規定が不合理ではないかと言われており、政府も実態の調査と民法規定の改正を検討しているようです。

ところで、民法772条は、次のように規定されています。

【第1項】
妻が婚姻中に懐胎した子は、夫の子と推定する。
【第2項】
婚姻の成立の日から200日を経過した後又は婚姻の解消若しくは取消しの日から300日以内に生まれた子は、婚姻中に懐胎したものと推定する。

最近、問題視されているのは民法772条第2項についてです。
要は、離婚直前の段階で、前夫との間で子作りなんかしない方が一般的であって、離婚後300日以内に、別の男性との間で作った子供を産んでしまったら、前の夫の子供と推定されるなんて、不合理だ!
あるいは、当該規定があることで、事実上、再婚期間を女性だけ制限している!というものです。
まぁ、民法772条第2項の問題については、昔から言われてきていますので、今さらの問題ではないのですが、最近になってようやく日の目を浴びてきたという感じでしょうか。


さて、今回は、検察官が、300日以内に産まれたので前の夫の子供として戸籍届けを出した女性を、虚偽の届けを行ったとして起訴したというものです。
検察官は、基本的に刑事事件を取り扱うので、長年検察官をやっていると確かに民法なんて扱わないのは事実でしょうね。
でも、他の細かな特別法であればともかく、民法という基本法(司法試験の対象範囲です)を忘れてしまっていたというのは頂けません。
(ちなみに、検察官が退官し弁護士登録した方については、弁護士同士の間ではあまり評判が良くありません。民事系の法律について知識が不足していると陰口をたたかれています…)


なお、我々弁護士も、普段仕事をしていると、どうしても案件が偏ってしまうため、得意分野と不得意分野とが出てしまいます。
日本弁護士連合会は、「専門分野」という表記を行うことを禁止しているようですが、今後は、自分の得意分野等の表記を自己申告でも行わせることで、依頼者とのミスマッチを防ぐように努める必要がありそうです。



関連するニュースへのリンク
http://www.mainichi-
msn.co.jp/shakai/wadai/news/20070217ddm041040168000c.html

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とうとう最高裁判所までが情報漏洩の加害者に…

2007年02月16日 | その他
ITの発達により、情報漏洩に関する話題・事件が多くなってきています。
つい先日も、大手美容関係の情報漏洩に関する判決が出され、1人当たり3万5000円(内訳は慰謝料3万円+弁護士費用5000円のようです)という、この手のものでは過去最高額(!)の認定がなされています。

とまぁ、普通は裁判所は、情報漏洩に対する責任を裁く側にあるのですが、今回は、裁判所自身が、ホームページで企業秘密に関する情報をホームページ上で漏洩してしまったと報道されています。

最高裁判所のホームページでは、主要な判決の全文が閲覧できるようになっています。
この中で、とある企業が関わった裁判の判決文が閲覧できるようになっていたところ、とある企業は、企業秘密に関するものがあるので、当該箇所については公にしないように裁判所に要請していたそうです。
この要請を受け、裁判所も当該箇所を、技術的に黒塗りの手法を施していたようですが、どうやらその技術が甘かったらしく、ちょっとした方法をとることで、黒塗り部分が閲覧可能な状態になっていたとのことです。

結局、技術に精通していない人が対処したため、この様なことが起こってしまったのでしょうが、裁判所等の公の機関は、情報公開が強く求められていますので、この手の事故の可能性があるから、やはり公開するのは止めた…なんて事は言わないで欲しいですね(本末転倒です)。

ちなみに、企業秘密を暴露されてしまった某企業が、仮に国家賠償等を求めた場合、やはり情報漏洩として損害賠償責任が認められるのでしょうか?
裁判は公開で行われているから、そもそも企業秘密は裁判になったという点で公になっている以上、漏洩ではない!という抗弁が出てきたら、裁判所はどの様に判断するのか、ちょっと興味があります。


関連するニュースへのリンク
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070215-00000417-yom-soci

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裁判手続きを経ずして、振込詐欺の被害金がある口座より返還可能な制度を創設へ

2007年02月15日 | 法律情報
報道によると、犯罪に悪用された口座を預金保険機構などが公告して、一定期間内に異議が出なければ名義人などの権利を消滅させることができる制度を創設する方向で政府が動いているようです。
この制度が実現した場合、銀行に対して裁判を行わずに、被害金が訴訟外で返金可能になるとのことです。

制度が実現すれば、被害者に(少しでも)でも損害填補がなされ救済されるわけですので、制度自体に異論はないでしょう。

ただ、実際に犯罪被害者であることをどうやって証明するのか?という点が気になります。
報道によると、「被害者は振り込みを証明する資料を添えて金融機関に返還を申請し、金融機関が審査の上で返還を決定する仕組み」とのことですが、例えば、振込詐欺の場合、電話等でやり取りがあるわけですから、正しく犯罪行為が行われたことに関する証拠資料など無いのが通常のはずです。
単純に、凍結された口座に振り込んだ履歴さえ残っていれば、犯罪被害者であることの証明となるのでしょうか?
銀行等の運用によっては、結局、口座は凍結されたが、被害者への返還はなされていない…なんて事にもなりかねないような気がします。

できれば、運用方法まで議論して、公表して欲しいですね。


関連するニュースへのリンクhttp://www.yomiuri.co.jp/atmoney/news/20070215it01.htm?from=top

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