弁護士湯原伸一(大阪弁護士会)の右往左往日記

弁護士になって感じたことを綴っていきます(注意!!本ブログは弁護士湯原の個人的見解に過ぎません)

社内での飲み会も業務か?-労災認定を巡って

2007年03月29日 | 法律情報
労働災害とは、労働(業務)中に発生した災害のこと及び通勤途中に生じた災害のことをいいます。
勤務時間中及び勤務終了後まっすぐ家に帰る際に、不幸にして災害にあった場合には、労働災害であるとして、労災認定が出るのですが、勤務時間外あるいは勤務終了後まっすぐ家に帰らずに何処か寄り道して帰ったとなると、労働災害と言えるのか、結構難しい問題が出てきます。

今回報道されているのは、勤務時間外の時間帯に、社内で行われていた会合に出席していたところ、その帰宅途中に転倒し死亡したのは労働災害か争われた事例です。
結果的には、原審の東京地裁は労災ではない、控訴後の東京高裁は労災であると判断が分かれたようです。

よく会社の従業員で行った飲み会での怪我は労災か、会社が主催するスポーツ大会等で怪我をした場合には労災か、など相談を受けることが多いのですが、基本的な考え方としては、会社が出席を(事実上)強制化していた等の事情があり、業務に準じる者であったといえるのであれば、労災として認められやすいと言う傾向があります。

今回報道されている事例は、会社内で開催していたというのが大きなポイントのようであり、結論として、「業務を円滑に進める目的で開かれており、業務上の成果も出ている飲酒は忌憚(きたん)のない意見交換をするため」と認定されたようです。

最近の裁判例を見ていると、労災の概念はかなり広がってきているように思います。


関連するニュースへのアドレス
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070329-00000024-san-soci

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女性の再婚禁止期間が「100日」に短縮へ!-民法の改正案が国会に提出されそうです

2007年03月28日 | 法律情報
最近、民法772条の嫡出推定の規定が話題になったり、代理出産に関する最高裁判所の判例が出されたり、民法の家族法を巡る話題が多いのですが、長年の懸案事項だったはずの(?)、女性の再婚期間を300日と規定する民法733条1項が改正される可能性が強くなってきました。

報道によると、与党・野党共に再婚禁止期間を短縮することで合意が得られているようなので、議員立法で国会提出される可能性が高いとのことです。

再婚禁止期間の問題は、どうしても「子」の問題と絡んできます(民法733条1項の趣旨は前夫の子供か否か混同が生じないようにするためと説明される場合があります)。
近時の「子」を巡る法律の態度に配慮したためか、再婚禁止期間の問題については、意外と早く決着が付いたような所もありますが、嫡出推定の問題等、家族法については色々と検討すべき多いようです(代理出産に関する最高裁は、立法による手当が必要であると指摘しています)。

つまらないことで政争するよりも、国会議員は、きとんと立法府として機能して欲しいですね。


関連するニュースへのアドレス
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070328-00000015-mai-pol

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風邪…

2007年03月27日 | その他
最近、暖かくなってきたなぁ…と思って油断していたら、久しぶりに風邪を引いてしまったようです。

明らかに鼻声のためか、電話で話す人、話す人から「先生、風邪ですか?」「お大事にしてください」と言われてしまいます(示談折衝の相手方からも言われてしまいました…)。

頭は働いていると思うのですが、凡ミスするのも怖いので、あまり無理せず今日は早く帰ろうと思います。。。

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ライブドア事件に色々動きが出てきましたね。

2007年03月23日 | その他
堀江元社長と宮内元取締役への実刑判決に続き、ライブドアの監査を担当していた会計士に対しても実刑判決が出たようです。

関連するニュースへのアドレス
http://www.nikkei.co.jp/news/shakai/20070323AT1G2300S23032007.html


これでライブドア事件の主要関係者の刑事裁判の第1審が終わったような気がしますが、民事関係では、いよいよフジテレビが約345億円の損害賠償を求めて、週明けにも、ライブドアに対して損害賠償請求を行う予定である旨報じられています。

関連するニュースへのアドレス
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070323-00000101-yom-bus_all


なお、ライブドア社も旧経営陣である堀江元社長などに損害賠償請求を行うものと予想されますので、ライブドア関係の裁判は刑事も民事もまだまだ続きそうです。

ちなみに、民事裁判は刑事のように短期間で集中審理されるのでしょうか?
通常の裁判パターンで行くと、何年かかることやら。。。

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何だか警察の不祥事が多いですね…

2007年03月22日 | その他
警察を巡る不祥事については、最近色々と報道されていますが、またまた呆れたことが報じられています。

1つは典型的な身内の庇い合いの例
「私服の警察官が携帯電話販売店を訪れ、電話機の無償交換を求めた際、店員をどなるなどして約8時間にわたり居座った上、通報で駆けつけた同僚も、顔見知りの警察官の身元を隠そうとしていた」
とのことです。

8時間も居座ったこと自体、暇な警察官だなぁと思いますが、警察が被疑者(不退去罪?威力業務妨害罪?)を被疑者として扱っていないことは言語道断です。
ちなみに、北海道警察は「調査中」とのことで、氏名も公表していないとのことです(やはり身内を庇っている?)。警察じゃなかったら、確実に氏名は公表されていると思いますが…

関連するニュースへのアドレス
http://news.goo.ne.jp/article/yomiuri/nation/20070321i313-yol.html?fr=rk



2つ目は情けない(?)上司警察官の話
後輩の業務中の態度が気に入らないということで、後輩を困らせるべく、後輩の捜査資料が入ったUSBメモリーを盗み、新聞社に送りつけたとのことです。

別に嫌がらせを推進するつもりはありませんが、わざわざ警察の機密資料を盗んで外部公表するなんて、個人に対する嫌がらせの問題だけでは済まないことを分かっていなかったのでしょうか?

関連するニュースへのアドレスhttp://news.goo.ne.jp/article/asahi/nation/K2007032201600.html

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2ちゃんねる管理人の西村氏の発言について

2007年03月20日 | 経験談・感じたこと
報道によると、2ちゃんねる管理人でお馴染みの西村氏が、

「支払わなければ死刑になるのなら支払うが、支払わなくてもどうということはないので支払わない」
「踏み倒そうとしたら支払わなくても済む。そんな国の変なルールに基づいて支払うのは、ばかばかしい」

と発言したとのことです。

もし本当だとしたら、法律を無視する態度として大きな非難を受けるべき発言と言えますが、しかし一面で、今の民事訴訟&民事執行の限界を端的に示す言葉と言えるかもしれません。

私も仕事柄、債権(と言っても貸金ではなく、交通事故等の不法行為損害賠償請求ですが…)回収案件をよく扱いますが、相手方が開き直ったときほど回収が困難になっていくというのが実情と感じます。
特に、判決だけ取っても相手方が無視していれば、事実上、債権者は手も足も出ない状態となり、結局泣き寝入り…なんてこともあります。

まぁ、西村氏の場合、直接自らが不当な記載をして不法行為を犯したわけではなく、掲示板の管理人としての責任を問われていますので、「何で自分が…」と思うところはあるかもしれません。
しかし、裁判で損害賠償責任を負う旨の判決が出てしまった以上は、それに従うのが当然のことです。
あえて、挑発的な発言をしなくても良いのに…と思ってしまいます。


関連するニュースへのリンク
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070320-00000301-yom-soci

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離婚後300日以内に産まれた子供について、新たな制度創設へ

2007年03月16日 | 法律情報
民法772条2項の「離婚後300日以内に生まれた子供は婚姻中の(前)夫の子と推定する」という規定については、以前からその不合理生が言われていました。

そして最近になって、報道等で大きく取り上げられた結果、ようやく政府は、『離婚後の懐妊が証明できる場合などは、再婚した夫の子や非嫡出子としての戸籍上の届け出を認める新制度を創設する』検討を行う旨公表しました。

報道文だけを見ると、新制度を創設するとのことですので、民法772条2項は改正等されないようですが、どうなるんでしょうか?
ちなみに、民法772条2項は、あくまでも「推定する」としているだけ、理論上は推定を覆しさえすれば前の夫の子供とはならないはずです。ただ、戸籍実務の運用上、誰がどうやってどの程度まで証明すれば「推定が覆った」と言えるのか分からないので、実際には裁判で証明された以外には「推定が覆った」として扱っていなかったようです。

まぁ、いずれにせよ新制度がどの様なものなのか、しっかり確認する必要がありそうです。


関連するニュースのアドレス
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070316-00000001-yom-pol

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法律事務所の事務員さんの災難

2007年03月14日 | その他
報道によると、神戸市内の法律事務所に男が押し入り、応対した事務員さんに対して金づちで殴りつける等して大けがを負わせて逃走中とのことです。

弁護士は、どうしても一方当事者の代理人として活動するため、相手方より恨み等を買いやすい職業です。そして、弁護士は自ら案件を担当するため、相手方の属性等を把握し、自分の身の危険があるか否かある程度は認識できると思います。

しかし、法律事務所で事務員さんは、直接は事件を担当するわけではない以上、抽象的に案件名等は把握しているものの、具体的な交渉状況、相手方の属性等は分からないことが多く、実は結構ヤバメの案件を弁護士が担当していることなど知らないと思います。
このため、まさか身の危険があるなんて考えてもいないと思います。

何ら関係のない事務員さんに大けがを負わせた、この様な犯罪は決して許すことができませんが、弁護士としては、少々ヤバメの案件があった場合には、事前に事務員さんに伝えておく等の対応策をとった方がよそそうです。
(以前、ヤクザ?が絡んだ案件を処理した際に、事前に事務員さんにはちょっと危険な案件であることは伝えたことがあります)

最近パラリーガル講座等まで開催されて、法律事務所の事務員という職業に社会的地位(?)が付与しようとする動きがあるようですが、この様な事件が頻発すると、なり手がいなくなってしまいますよね。。。


関連するニュースへのリンク
http://news.goo.ne.jp/article/asahi/nation/K2007031400441.html

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消費者金融も貸し渋り?

2007年03月12日 | 経験談・感じたこと
利息制限法の改正等、消費者金融業界を巡る風当たりが強い中、各消費者金融会社は、有人店舗の削減等、大幅な経費削減を実施している旨報道されています。
そして、予想通り、消費者金融会社による顧客(借り主)の選別も行われているとの報道もされています。

ちなみに報道によると、
(以下引用)
『アイフル、アコム、武富士、プロミスの大手4社の1月の新規融資申込者は計13万6000人。このうち審査を通過して実際に融資を受けた人の比率を示す「成約率」を見ると、4社の平均は前年同期比19.4ポイント低い44.1%に落ち込んだ。76000人が門前払いされた計算だ。特にアイフルの成約率は36.0%と同34.1ポイントも低下。』
(引用終わり)
とのことです。

単純には、半分以上が貸し出しを受けられない状態になっているようです。

消費者金融からでさえ借りられない方々は、本当にお金が必要となった場合、どの様にして入手するのか、今後大きな問題になりそうな気がします。
ヤミ金等には絶対に手を出してはダメなのですが、何となくヤミ金が横行しそうな気がします…


関連するニュースへのリンク
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070312-00000067-jij-bus_all

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【労働基準法の改正案】残業代の割増率の引き上げが…

2007年03月09日 | 法律情報
ホワイトカラーエクゼンプションについては、今のところ立ち消えになっていますが、残業代の割増については、どうやら今国会で決まりそうです。

報道によると、「月80時間を超える残業に50%以上の割増率」と明文化する方向で厚生労働省は動くようです。
企業側からすれば、かなり大きな負担になりそうです。

ますます、雇用(労働)契約を避けるべく、個人との業務委託or請負契約が増えそうな気がするのですが、大丈夫なのでしょうか?
ちなみに、厚生労働省は、最近になって偽装請負については全国キャンペーンをはり、ある程度の規模の事業所へ立ち入り検査を行っているようですので、今後は、個人との業務委託契約等についても注意を払う必要がありそうです。

ところで、弁護士事務所には調査は入らないのでしょうか?
勤務弁護士(アソシエイト弁護士、イソ弁)の労働者性については、色々言われていますが、労働基準監督署等はどの様に判断するのか、見てみたい気がするのですが…


関連するニュースへのリンク
http://www.nikkei.co.jp/news/keizai/20070309AT3S0800H08032007.html

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