弁護士湯原伸一(大阪弁護士会)の右往左往日記

弁護士になって感じたことを綴っていきます(注意!!本ブログは弁護士湯原の個人的見解に過ぎません)

楽天・ヤフーなどの電子商店街について、独占禁止法違反の恐れが有る旨公正取引委員会が指摘!

2006年12月29日 | 法律情報
法律は時代の流れの後追いになるため、取引の電子化になかなか対応していないのが実情ですが、以前より、多々の問題点が指摘されていた「電子商店街」について、ようやく(!?)公正取引委員会が独占禁止法違反のおそれ有りとして、レポートを提出しました。

私は比較的電子商取引に関する相談を受けることが多いのですが、対消費者との間で消費者契約法違反の約款等がたくさんあるなぁと感じていましたし、一方で、事業者に対しての拘束があまりにも厳しいのではないか?と思っていました。
そして、実際に独占禁止法違反の問題有りとして、色々と指摘したり、あるいは交渉を行ったりもした経験があります。

また、電子商店街でのカード決済についても、あまりにもカード会社に一方的な事項を規定しすぎていて、独占禁止法違反であるとして色々と戦ったりもしています。

今後この分野については、公正取引委員会のみならず、色々と法的な問題が浮かび上がってくるのは必至だと思います。
来年から適正化への動きが始まれば良いのですが。。。



公正取引委員会のレポート(H18.12.27付「電子商店街等の消費者向けeコマースにおける取引実態に関する調査報告書」)へのリンク
http://www.jftc.go.jp/pressrelease/18index.html

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相変わらず法曹界の不祥事が…

2006年12月28日 | その他
年末だというのに、相変わらず法曹界の不祥事がニュースになっています。。。

まず1つ目は、大阪地方裁判所の書記官が、貸金返還請求訴訟を提起された被告に対し、訴状・期日呼び出し状等を送付しなかったため、被告が出頭しなかったところ、欠席による被告全面敗訴の判決が言い渡されていることが明らかとなりました。

まぁ、被告からすれば非常に迷惑な話ですね。
ちなみに、大阪高裁で原判決の取消がなされているようです。

私も原告として訴訟提起をしたところ、被告欠席による全面勝訴判決を何度か取ったことがありますが、一応、口頭弁論中に裁判官に対して、被告への送達が適法になされているのか尋ねるようにしています。
やっぱり念には念を押した方がよさそうです。


関連するニュースへのリンク
http://www.asahi.com/kansai/news/OSK200612270114.html



次に、仙台高裁で刑事弁護人に選任された弁護士が、自身の骨折入院等で忙しかったため、控訴趣意書を出し忘れ、被告人の控訴が棄却されたことにつき、仙台弁護士会は業務停止命令を出したと報じられています。

骨折入院等で忙しいのは分かるのですが、一方で被告人の権利を失念するのは頂けません。
懲戒処分として、業務停止命令が出るのはやむを得ないのではないでしょうか。


関連するニュースへのリンク
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20061228-00000110-mailo-l04



今日で仕事納めと言うところも多いと思います。
皆様、良いお年をお迎え下さい。

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ネット上の不当な書込みへの対抗策に朗報!?-発信者情報の開示へガイドラインを作成!

2006年12月27日 | 法律情報
プロバイダ責任制限法が出来たとはいえ、同法の要件が曖昧なため、発信者情報を任意に開示しても良いのか?(逆に発信者からプライバシー侵害と言われかねないのではないか)という問題点がありました。
このため、プロバイダとしても、なかなか裁判外で発信者情報を開示してくれないと言う状況があり、場合によっては、裁判をしてもらわない限り、発信者情報を開示できないと言い切るプロバイダもある状態です。

ですが、この度、情報を書き込んだ発信者の同意がなくても、被害者に発信者の氏名や住所などを開示するためのガイドラインを作成し、来春までに導入する方針が報道されています。

報道によると、
○ 他人の氏名や住所、電話番号など個人を特定する情報を掲示板などに勝手に書き込む行為(個人を名指しして病歴や前科を公開することも含まれる)は、発信者の同意なくして発信者条を開示する。
○ 名誉毀損については、これまで通り、名誉毀損の要件を充足するか否かを検討して各自判断
とするガイドライン案が有力なようです。

個人的には、プロバイダ側、発信者情報開示を請求する側のどちらについても対応したことがあるのですが、プロバイダ責任制限法の解釈のみでは、プロバイダ側もなかなか対応しづらいのが分かります。
また、発信者情報開示を請求する側の場合、一応、プロバイダに言うだけ言ってみるのと平行して裁判提起の準備を行うという状況でした。

今回報道されているガイドラインが運用されるのであれば、名誉毀損については相変わらずですが、個人名記載の場合には、だいぶ被害者救済を行いやすくなりそうです。

最終的なガイドラインがどの様になるのか注目です。


関連するニュースへのリンク
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20061226-00000010-mai-soci

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年の瀬なのに、色々と判決が…

2006年12月26日 | 法律情報
何故、年末にしかも話題性のある判決が多く出されるのか?
昔から疑問なのですが、今日はちょっと見ただけでも色々出ています。


①姉歯被告人、懲役5年の実刑判決!
世間を震撼させた「耐震偽装問題」ですが、主犯格の姉歯元建築士に対して、求刑通り懲役5年、罰金180万円の実刑判決がなされたようです。
建築基準法違反等の犯罪について取り扱ったことがありませんので、何とも言えませんが、おそらく姉歯被告人は初犯では?
とすると、感覚的には重い判決と言うことになるのではないでしょうか。
もちろん、懲役5年程度では、被害者の方の感情を満たすかどうかは別問題ですが。。。

関連するニュースへのリンク
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20061226-00000006-yom-soci


②腎移植に絡む臓器売買について、懲役1年、執行猶予3年の有罪判決!
日本国内で臓器売買が公然と行われていた事実を世間に知らしめた事件ですが、執行猶予判決となったようです。
刑事事件のインパクトよりも、臓器移植の適正化をどの様にして図るべきかという問題を社会に突きつけた事例といえます。


関連するニュースへのリンク
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20061226-00000004-yom-soci


③奈良の騒音おばさん、高裁でさらに重い判決が!
加害状況を実際にテレビで放映されたりしたので、大きなインパクトがありましたが、大阪高裁は、原審の奈良地裁より更に重い判決である、懲役1年8月の実刑判決を言い渡したようです。
反省どころか、むしろ敵対心をむき出しにしている自己中心的な考え方が、裁判所の心証を悪化させたようです。

関連するニュースへのリンク
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20061226-00000102-yom-soci


④名張毒ぶどう酒事件の再審決定を名古屋高裁が破棄!
私は、どの様な事件があまり知らないのですが、死刑執行待ちとなっている元被告人らが、無罪を主張して再審請求を何度も繰り返し行っている事件のようです。
名古屋地裁は第7次再審請求を認め、再審決定を行っていたようですが、名古屋高裁は原判決を破棄したとのことです。
冤罪事件だとしたら、大変なことになりますが…

関連するニュースへのリンク
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20061226-00000003-yom-soci

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法テラス、新人弁護士を1年で即戦力に鍛え上げる!?

2006年12月25日 | 経験談・感じたこと
法テラスについて、相談数が減少傾向にある、無料法律相談所と誤解している国民が多数いる、一部弁護士が非協力的である等、制度発足後3ヶ月を経て、色々と問題点が出てきています(このブログでも何度か話題にしました)。

上記問題点の他に、法テラスに就職する弁護士がそもそも確保できていない!という問題があるのですが、この問題の解決策として、法テラス側は、司法研修を終えたばかりの新人弁護士を積極採用する方針を固め、1年間で即戦力となる弁護士を育て上げるという、ビッグプロジェクトを公表しました。

1年間で即戦力となる弁護士を養成することが果たして可能なのか?、個人的にはかなり疑問なのですが、本当に養成することができるのであれば、素晴らしい養成制度と言えます(私は弁護士6年目ですが、ボス弁護士が、私を「即戦力」と思っているかは正直疑問ですね…)。

ところで、そもそもある程度の実務経験を有する弁護士が、わざわざ法テラスに就職しないのは、「メリットが無い!」の一言につきると思います。
例えば、採用期間は最長10年(?)で更新無しとなると身分は不安定と言わざるを得ませんし、いわゆる田舎と呼ばれる地域に派遣されることになるので、地縁もなければ土地勘もない中で、いわば一人で弁護士業を行う必要がある、(おそらくは)受任する案件に相当偏りが生じる(債務整理と刑事弁護が主?)、等々です(あと収入面でも減少する可能性もある)。

何度も言いますが、弁護士も一民間事業者に過ぎません。
従って、メリットがない以上、自分を犠牲にしてまで協力する人は、なかなか現れないでしょう。
制度に対する不信感を解消しないまま、弁護士が集まらないから新人弁護士を採用して、何とか数合わせをしようという発想だとするのであれば、問題有りと言わざるを得ません。

正直、右も左も分からない新人弁護士を採用したところで、法テラス側が言う国民ニーズに応えられるのでしょうか?


関連するニュースへのリンク
http://www.asahi.com/job/news/TKY200612230286.html

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堀江被告人に対し、求刑4年

2006年12月22日 | 法律情報
つい最近まで、とうとう始まったなぁ、ちょっと前まで幹部との法廷対決だ!と騒がれていた、堀江被告人の証券取引法違反の罪に関する刑事裁判ですが、早くもクライマックスを迎えているようです。

報道によると、検察側は求刑懲役4年を求めたとのこと。
証券取引法違反の罪の相場はあまりよく分かりませんが、初犯で懲役4年の求刑となると、かなり重い求刑だなぁと思います。
また、求刑4年ということは、検察側は執行猶予ではなく実刑判決を求めているのではと暗に思ったりもします。
(執行猶予がでる事案では、たいてい求刑3年以内です。)

年明け早々にも弁護側の弁論を行って結審、3月には判決かと言われていますが、恐ろしく早い刑事裁判の進行のように思います。
担当検事はもちろん、弁護人もこの案件以外には、ほとんど手を付けることができない状態では?と思います。

まぁ、来年には東京地裁の判決が出るようですので、(結論はほぼ見えていますが…)どの様な結果になるか楽しみです。

ちなみに、株主による民事の損害賠償請求は、現状どの様な進行になっているのでしょうか?
やはり刑事裁判の進行待ちで、実際には動いていないのでしょうか?
民事については特段報道されないので、あまり情報がありませんね。



関連するニュースへのリンク
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20061222-00000005-yom-soci

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またもや弁護士の不祥事が…

2006年12月21日 | その他
報道によると、大阪弁護士会に所属する弁護士が、顧客より預かっていたお金を横領したとして、逮捕されたとのことです。
本人の供述によると、被害総額は数億円に膨れあがるそうです。

まぁ、やったこと自体は言語道断であり、別にコメントする事も無いのですが、何だか最近、顧客のお金を着服する弁護士に関する報道が目立っているような気がします。

犯行動機は分かりませんが、もし事務所運営にかかる費用が捻出できなかった等の理由だとすると、弁護士業界も、「食える弁護士」と「食えない弁護士」との格差が生まれてきているんだなぁ…と思ってしまいます。

それにしても、大阪弁護士会の会長が一緒に付き添って特捜部に出頭したとのことですが、ちょっと複雑な気持ちです。


関連するニュースへのリンク
http://news.goo.ne.jp/article/asahi/nation/K2006122000801.html

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近未来通信が破産決定!

2006年12月20日 | その他
一時期、各メディアに大きく取り上げられていた近未来通信に関する問題ですが、ようやく(!?)破産決定が本日出たようです。

債権者が破産を申し立てるタイプですので、申立を行おうとする債権者側が、申立費用を負担する必要があります。
この費用だけでもバカになりませんし、そもそも戻ってくるかどうか分からない破産申立費用を負担したわけですから、とりあえず破産決定が出て、一安心と言ったところでしょうか。
もちろん、破産決定が出ただけですので、まだ被害者救済は図られていません。
これから被害者救済のために、破産管財人に就任した弁護士は、かなり大変な活動をすることになるのでしょうね。

ところで、下記URLに記載してある申立代理人弁護士は、「近未来通信の事業に実態がなかったことが裁判所にも認められた。当然の結果だ」とコメントしたと報じられています。
が、上記コメントは、私の勉強不足のためかちょっと「?」な点があります。
そもそも、法人の破産申立の要件は債務超過であることです。
このため、事業の実態の有無と破産決定との間に当然の関連性は無いように思うのですが、どんなものなでしょうか?
(事業の実態のない詐欺商法であり、被害者は損害賠償請求権を有するところ、当該損害賠償額の総計と近未来通信の資産額とを比較した場合、債務超過になるという法的構成を取ったためでしょうか?そうであれば、何となく納得します。)

第1回の債権者集会は5月に指定されたとのことです。
被害者の方はまだまだ長い戦いが続きそうです。
なお、社長は見つかったのでしょうか?


関連するニュースへのリンク
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20061220-00000204-yom-soci

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年末だから…

2006年12月19日 | 経験談・感じたこと
交渉案件で、お互いの見解の乖離が激しく、協議による解決が難しいなぁ…と思う案件が複数あるのですが、この時期になると、突如として、依頼者or相手方より「年内中に解決したいので、何とかして欲しい」と要望を受けることがあります。

弁護士をやっていると、年末だろうがお盆前だろうが関係なく、交渉・裁判を淡々と遂行していくことになりますので、年末という時期について、特段意識することはありません(私個人は、年末は忙しいなぁ…早く年末年始休暇来ないかなぁ…と意識することはあります)。

しかし、一般の方になると、年を持ち越して弁護士と話をすることが相当嫌らしく、結構譲歩してきて、一気に示談解決になることが多々あります。
(この時期になると、「じゃ、早期解決を図るためにも、お互い譲歩して、この辺りでどうですか?」と提案することが非常に多い。)

今年も長い間、デッドロック状態になっていたものが、急に動き出していて、年末に解決が図れる見込みが出てきています。

年末と言うことで、最後の一踏ん張りと言ったところでしょうか。

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法テラスへの相談、予想より下回る傾向が…

2006年12月18日 | その他
今年の10月から鳴り物入りで導入された「日本司法支援センター(通称:法テラス)」ですが、サービス開始から3ヶ月経過し、色々と問題点がでているようです。

やはり1番大きいのが、法テラスに関するサービス内容の告知不足。
もともと法テラスは、無料法律相談を行う所ではなく、相談内容に応じて、何処に相談をすればよいのか道案内を行う所です。
しかし、予想通り、法テラス=無料法律相談と考えている一般市民が多いようであり、「アドバイスをもらえると期待していたのに、電話番号を教えられただけだった」等の不満・クレームが多数発生しているようです。

また、法テラスへの期待が大きすぎたための反動か(無料法律相談所ではないことが浸透してきたため?)、早くも予想より電話件数が減少しているとのことで、需要をどうやって掘り起こすのか、今後の課題になっているようです。


個人的には、法テラス制度が発表された当初より、「他の電話番号を案内するのが原則の法テラスは、結局何の意味があるのか?」と思っていましたが、やっぱり、今頃になってその存在意義が問われているようです。
ちなみに、ゼロワン地域の解消等の目的も法テラスにはあるようですが、わざわざこれほどの税金を投入して大きなハコモノを作る必要があったのか、もっとゼロワン地域の解消のみで行う方策もあったのではないかと思われます。

法テラスについては、少なくとも私の周りの弁護士の間では、あまり良い評判は聞きません(誤解に基づくものもあるかと思われますが…)。
というより、積極的に関わらない!と宣言している人までいます。

司法書士・行政書士等では、法テラスは業務拡大のチャンスと捉えているようですが、果たして弁護士にとってはメリットある制度なのでしょうか?
もう一つはっきりしません。


関連するニュースへのリンク
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20061217-00000019-maip-soci

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