弁護士湯原伸一(大阪弁護士会)の右往左往日記

弁護士になって感じたことを綴っていきます(注意!!本ブログは弁護士湯原の個人的見解に過ぎません)

犯罪被害者保護へ-犯罪被害者が刑事裁判で被告人に直接尋問を行う方向で法改正が…

2006年07月31日 | 法律情報
報道によると、刑事裁判において、これまで当事者席にさえ座れたなかった犯罪被害者が、検察官と同じ席に座ること、そして加害者(被告人)に対して尋問する機会を付与することを認める方向で、検討されていることが報じられています。

これまでの刑事裁判は、検察官と被告人及び弁護人が当事者席に座り、犯罪被害者は傍聴席で裁判の行方を見守るだけという構造になっていました。

しかし最近、検察官が犯罪被害者の意向を酌んでくれないと不満を口にする人が多くなったこと、刑事裁判において、犯罪費が者の関与があまりにも無さ過ぎること等の意見が多くなってきており、「犯罪被害者の保護」という観点から、いかにして犯罪被害者を刑事裁判に参加させるべきかという事が議論されてきました。

刑事裁判の目的が、あくまでも被告人(加害者)の行った犯罪に対して、国家(裁判所)がどの様に裁くのかを決めることにある以上、犯罪被害者を当事者化することは難しいとは思われます。
しかし、犯罪被害者を全く関与させないとなると、国家は本当に犯罪被害者のために刑罰権を行使してくれているのか?という疑問符が付く場合もあるように思います。

そういえば、以前このブログでも紹介しましたが、刑事裁判の中で、民事の損害賠償まで決めてしまうと言う制度も検討されているようです。

刑事被告人の権利も守られる必要があることは当然ですが、犯罪被害者の権利もどうやって保護するのか、微妙なバランスに関する議論が続きそうです。


関連するニュースへのリンク
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060731-00000007-mai-soci

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国選弁護人を選任できるのは預貯金50万円未満の被疑者・被告人になる?

2006年07月28日 | 法律情報
報道によると、被疑者・被告人を問わず国選弁護制度が創設されることに伴い、法務省は、国選弁護人を選任するのは資力が乏しい人に限られるという建前をとるべく、預貯金50万円以上を保有する被疑者・被告人は、まずは私選弁護人を選任するように運用する旨の方針を公表したようです。

弁護士が得られる報酬という観点だけからすると、私選弁護人の方が収入が多くなる傾向があるので(私選である以上、被疑者・被告人と弁護士との協議により弁護士報酬が定められます)、弁護士としては、良い話なのかも知れません。

しかし、そもそも私選で受任する弁護士がいるのかどうか不明ですし(結構、私選弁護はやっていないと言う人は多いです)、法律で必ず弁護人を付けなければならないと定められているがために、被疑者・被告人にとっては、本音は不要な(!?)弁護士の選任及び費用負担が必要となる…とすると、果たしていかがなものかとも思ってしまいます。

いわゆる法テラス(法務省が監督機関)に刑事弁護業務が移行されることに伴い、10月以降、色々と手続きが変わりそうですが、本来の目的である、国民が利用しやすい司法が実現させる!という観点で話が進んでいけばと思います。


関連するニュースへのリンク
http://www.asahi.com/national/update/0728/TKY200607270747.html

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特許発明の対価は?-東芝フラッシュメモリー訴訟が和解

2006年07月27日 | 法律情報
報道によると、フラッシュメモリーの開発者が東芝に対して、約11億円の特許発明対価を求めていた訴訟について、東芝が約8700万円を支払うことで和解が成立したとのことです。

一昨年から昨年くらいまでは、いわゆる中村教授vs日亜化学の訴訟の影響で、特許の発明に対する対価の話題は、我々法律家のみならず、日常的にも報じられていましたが、最近はほとんど聞かなくなりました。

私個人としては、何となく「そういえば、そんな訴訟もあったよね…」という認識なのですが、報道等で公にされていないだけで、実はまだまだ「あつい」分野なのかも知れません(よくよく考えたら、上記訴訟の影響を受けて、特許法の改正もありましたね)。

それにしても、8700万円という金額が高いのか安いのか分かりませんが、大企業であればあるほど、この様な訴訟リスクは、いつまで経っても消えないのかも知れません。


関連するニュースへのリンク
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060727-00000004-yom-soci

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来春新卒の就職活動は「超売り手市場」?

2006年07月26日 | 経験談・感じたこと
最近、不景気を脱して、企業の新卒採用活動も活発化していると報じられていますが、報道によると、来春卒業予定の就職活動については、学生側有利の超売り手市場だそうです。
しかも、バブルの時のような勢いだそうです。

私の就職活動時代と言えば、いわゆる超氷河期と言われた時代で、女子学生に対しては、求人案内さえ送られてこないという状態でした(私宛に来ていた求人案内を配ったりもしていました)。
その様な就職活動にも嫌気がさして、司法試験を受けたということもあったのですが、10年も経つと時代が変わるんだなぁ…と改めて思ったりもします。

ちなみに、バブルの頃は、いつ合格できるか分からない司法試験で人生を棒に振るよりも、企業に就職した方が楽しい!ということで、司法試験受験生がかなり減ったという傾向もあるようです。

今回の売り手市場は、司法試験受験数も影響を与えるのでしょうか?


関連するニュースへのリンク
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060726-00000002-fsi-bus_all

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あまり匿名記事にはなっていないような…関西の元大物弁護士の孫の暴行事件の報道について

2006年07月25日 | その他
たまたまインターネットで見つけたのですが、「関西元大物弁護士の孫が母親に暴行」という記事がありました。

その記事へのリンクはこちら
http://www.zakzak.co.jp/top/2006_07/t2006072422.html

私が大阪で弁護士をやっているせいかも知れませんが、
・元日本弁護士連合会の会長(関西の弁護士会から日弁連会長に就任した人は数えるくらいしかいないのでは?)
・関西の元大物弁護士(「元」ということは今は現役を引退している?)
・著者多数(弁護士で本を書く人は多くはないのでは?)
と書いてあると、嫌でも、一時期テレビにもよく出演して、社会正義派の弁護士として、司法改革を推進した、「あの弁護士」ではと思ってしまいます。

よく分かりませんが、少年事件だから、一応「匿名報道」にしたのでしょうか?
でも、こんな風に記事にされてしまうと、事実上公表されているとの一緒ですよね。。。

今回報道された有名な元弁護士の方は、自分以外のことでとばっちりを受けた格好でしょうか。

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検察庁の法テラス案内サイト

2006年07月21日 | その他
昨日、検察庁のサイトに「法テラス(日本司法支援センター)」に関するサイトが公開されたようです。

リンク先は
http://www.kensatsu.go.jp/

最近、弁護士会でも研修を行う等して、ようやく法テラスの役割が見えてきたというのが私の正直な実感なのですが、何だか、私が知っている限りの法テラスの業務とちょっと違うなぁ…という気がします。

私が知っている限り、法テラスは原則として紛争解決方法として誰に相談するべきか道案内をするだけであって、法テラス自体で相談業務を常時やる訳ではないと聞いています。
したがって、
○法的トラブルの解決に役立つ情報を無料で提供
○近くに弁護士や司法書士等の法律の専門家がいないなどの理由で法律サービスを受けることが難しい地域において,適切な料金で法律サービスを提供
と書かれてしまうと、「本当なの!?」と思ってしまいます(私が知らないだけかも知れませんが…)。

あと、国選弁護についても、法テラス移行に関する研修にこの前参加しましたが、基本的には国選弁護費用は低下する傾向にあるようですし、報酬請求の手続きが以前より複雑になっていますし、何よりも、法務省管轄下で国選刑事弁護を行うという体制に違和感を感じます。
(検察官は当然法務省の管轄にありますし、法テラスも法務省が監督機関です。国選弁護人は法テラスとの契約により選任されるとなると、結局、法務省の監督下でやると?と言う違和感です。たぶん、法務省があからさまに国選弁護活動について何らかの権限を行使する訳ではないのでしょうが…)。

法テラスが動き出す10月以降に、私も国選弁護の担当日が入っています。
実際にどの様になるのか、ちょっと不安です。

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昭和天皇の発言メモが発見された!?-靖国に関する議論の影響か

2006年07月20日 | その他
あと1ヶ月もしたら終戦記念日を迎え、小泉首相が靖国神社に参拝するか否かが話題になっていますが、報道によると、昭和天皇が発言した内容を記したメモが発見され、公表されています。

靖国参拝について、色々な意見があると思いますが、報道だけを見ると、昭和天皇は、いわゆるA級戦犯との合祀に消極的な見解を持っていたことが伺い知ることができます。

憲法上、天皇は「象徴」とされ政治的な権力を何ら持ち合わせていませんが、やはり時の自民党政権の元首相が「天皇を中心とした神の国」と発言したように、天皇の存在は相当な影響力があるはずです。
その観点からすると、今後の靖国議論に影響を与えるのは必至でしょうし、小泉首相の靖国参拝実現についても少なからずの影響を与えるのではないでしょうか。

なお、報道によると、いわゆる分祀論について政治の世界で議論することは「政教分離」の原則との関係で問題が生じるのではないかとの声が出されています。
ここで政教分離とは、政治(統治権力)は特定の宗教と結びついてはダメなこと、要は政治は宗教的に中立であることを求めるもので、憲法上の原理とされています。
靖国神社という特定の宗教団体にまつわる事項なので、政教分離の懸念が出ているのかも知れませんが、分祀論について、政治の世界で解決しない限り永遠に解決しないような気がします。

何かうまい解決方法はないのでしょうか?


関連するニュースへのリンク
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060720-00000045-mai-soci

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Blogの炎上、約7割は不愉快-アンケート調査の結果で判明

2006年07月19日 | その他
個人がお手軽に情報発信できる手段として、Blogを利用する人はかなり多くなってきています。
そして、Blogの楽しみの一つとして、自らの情報発信に対する反応、例えば全く知らない人からのコメントやメールによる会話が可能になったことだと思われます。

ただ、最近、Blogの機能であるコメント書込みを利用して、悪意ある書込を行い、その悪意ある書込対して、さらに上乗せするように悪意ある書込が行われ、結果として数珠繋ぎとなりBlog開設者では収拾がつかない状況になることがあります(いわゆる「炎上」です)。

この様な状態を見た、普通の閲覧者はどの様に思うのか?という問いかけに対し、ある所がアンケート調査を行ったところ、約7割の人が「不愉快」と感じていることが判明しました。

仕事柄、Blogの炎上の原因となった書込者を特定して、何らかの請求を行いたいと主張する相談者にお会いすることがあります。
しかし、よく当職は、「やることは構わないけど、おそらくは特定することは難しいと思いますよ。それよりも、閲覧者の大部分は悪意ある書込なんかに関心はないだろうから、Blogを続けたいのであれば、しばらくコメント記載機能を封鎖し、ほとぼりが冷めてからコメント欄を再開した方が無難ですよ」とアドバイスを行っていました。

今回のアンケート結果を受け、今までの当職のアドバイスも、世間的感覚から大きくは離れていなかったな…とちょっと安心しましたが、しかし一方で、いつまでもこんな事を言っている場合ではない、悪意ある書込者の特定方法の法的整備および技術的な解決手段が早くできないかなぁと強く思うようになりました。

上記アドバイスは、完全に法律論的な解決ではなく、単なるその場しのぎに過ぎないのですが、新しい技術に対して法律が追いつかないというのは、今後も続きそうです。


関連するニュースへのリンク
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060718-00000013-inet-sci

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PL事故の対応を考える-パロマの報道を受けて

2006年07月18日 | 経験談・感じたこと
パロマのガス瞬間湯沸かし器の不備について、大きく報道されています。
そして、日を追う毎に、パロマ側の会見の矛盾点が明らかにされていって、どうも情報隠しを行っていたのではないか?という疑いまで持たれているようです。

最近、PL事故対策として有名になったのは、松下電器のガスファンヒーターでしょう。
「何もそこまで…」というくらい、テレビCMやら紙媒体等で告知し、とにかくウミをを洗い出す戦法を取って非常に評価されたことは記憶に新しいと思います。

ところが、今回のパロマガスに関しては、残念ながら後手後手になっていて、被害者への補償問題という法律上の問題だけではなく、事実上の問題として(こっちの問題の方が大きいでしょう)ブランドイメージに大きなキズが入ってしまったようです。
(大きな不買運動は発生していないとはいえ、消費者からすれば、パロマガス器具は不安だなぁ…というマイナスイメージを持ってしまったことは否定できないでしょう)。

大企業でも、対応を間違えてしまうと、企業の存続自体に悪影響を与えることを、よく理解する必要がありそうです(雪印の事件等)。


ところで、PL(製造物責任)法が施行されて昨年で10年経ちました。
そこで、知り合いを通じて、PL事故に対する事前予防あるいは事故後対応に関するセミナー等の依頼を受けるようになったことをきっかけとして、私自身もPL法について、多少なりとも調べるようになりました。
そこで分かったことですが、私の調べる限り、大企業も含め、意外とPL事故に対するリスク管理・危機意識は低いように思われます。
特に、どうしても「情報隠し」が行われる傾向があるため、その場しのぎの対応にならざるを得ず、後から大どんでん返しを受けて、結果的にはPL事故に対する損害だけでは済まない問題となっているように感じます。

今回の件を他山の石として、他の事業者も改めて対応策を考えた方がよさそうです。


関連するニュースへのリンク
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060718-00000001-yom-soci

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熟年離婚の参考資料-厚労省が離婚時の厚生年金分割の支給額を教えます!

2006年07月15日 | 法律情報
報道によると、来年4月から実施される離婚時の厚生年金分割に当たり、離婚したら幾らもらえるのか支給額の目安を教えるサービスを今年の10月を目処に始めるようです。

厚生労働省が離婚を勧めるために、この様なサービスを始める訳ではないでしょうが、まぁ、離婚はともかく、参考までに支給額の目安を知っておくことは必要かも知れませんね。

なお、一部噂では、年金分割が認められることで、熟年離婚が一気に増えるのではないかと言われていますが、どの様になるのでしょうか。
来年の今頃になれば、結果が見えてきそうです。


関連するニュースへのリンク
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060715-00000020-mai-pol

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