クラシック音楽オデュッセイア

2009年の大病以来、月1回程度の更新ペース。クラシックに限らず、身の回りの事なども、気の向くままに書いております。

母の現況。見知らぬ人との、束の間の優しい時間

2024年02月10日 | エトセトラ
2024年2月10日(土)。母が強い頭痛を訴えて突然の入院となったのが、昨年の2月20日。間もなく1年になる。現在、週2回ぐらいのペースで見舞いに行っている弟の話を聞くと、母はいつも眠っている状態らしい。ごくたまに目を開けても、そこに誰がいるとか、もう何もわかっていない様子で、すぐまた眠ってしまうとか。鼻から差し込まれた管で栄養を注がれ、肉体は生きて(というか、生かされて)いるけれども、精神の方はもう終わってしまっているようだ(涙)。一人での生活にも慣れ、気持ちもある程度整理がついているブログ主だが、やはり時折、つらい心境になるのは避けられない。

そんな日々の中、見知らぬ人から受ける何気ない親切や、優しい対応にふと心が癒されるのを感じる事が最近続いている。昨年11月から話題の映画『ゴジラ-1・0(マイナス・ワン)』を、先月末と今月頭の2回に亘って見に行った。1回目は立川シネマシティでモノクロ版を、そして2回目はTOHOシネマズ府中でカラー版を、それぞれ見た。なるほど評判通り、非常に見応えのある傑作だった。内容についての感想は、将来気が向いたら書くかもしれないが、今回は全然違う話。2回の鑑賞体験時に共通して感じた和(なご)みみたいなものについて記しておきたい。それは、各会場の若いスタッフさんたちの対応の優しさ、丁寧さである。職業訓練というか、社員教育というか、どちらの映画館も本当にしっかりしている。渋谷のチーマーっぽいおニイちゃんがチケット売り場にいて、一瞬「えっ」とか思ったのだが、「『ゴジラ』を見に来ました。その前に、定期会員になりたいんですが」と意向を伝えると、「かしこまりました」って。きゃあ、何このギャップ萌え。ww 本当にどちらの施設もスタッフさんが優しくて、「また来よう」って気持ちになったブログ主であった。

それと、つい3日前、昨年オープンした新しいスーパーで、夕方の買い物をしていた時のこと。アジの開きが2枚入ったトレーを手に取り、その場でポリエチレン袋に入れようと、ロールをくるくる回して1枚取った。ところが、いつものことながら、この引っ張り出したポリ袋の口がなかなか開けない。指先が乾いている上に、数年来の神経障害による指の動作不全があるため、どうにも袋が開けず苦戦していた。「この不器用な指が、情けにゃあ」などと、心の中でぼやきながら。

すると、「開けましょうか?」という声が不意に、右後方から聞こえてきた。振り向くと、店員さんではない。ブログ主同様、買い物に来ていた人だった。マスク姿だったので顔の下半分は見えなかったが、20代後半ぐらいとみられる若い女性で、くっきりした濃いめの眉の下で優しい目がほほ笑んでいる。「あ、どうも」と素直に厚意に甘え、袋を手渡す。「私もそんなに上手じゃないですけどね」と言いつつ、おしゃれに爪の伸びた指先で袋の縁をコシュコシュ、クシュッ。口の開いた袋を受け取りつつ、「ありがとう」とブログ主は感謝の意を伝える。満足げな様子で、その場を離れるレディ。僅か1~2分の出来事ながら、何か忘れ難いひと時を得た思いがした。だって、猫背姿の見知らぬ男がポリ袋をコスコスやっているのを見たって、助けてあげようとか考えないでしょ、普通。それも、妙齢の女性が。彼女がこの老人に手を差し伸べてくれた理由は不明だが、束の間の幸福な時間に、ブログ主がある種の癒しを感じたのは事実。そして、1つの妄想を抱いたのも。・・・「こんな風に、何かに一緒に向かっていける伴侶がいたら、自分の余生もずっと幸せなものになるだろうな」。
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