クラシック音楽オデュッセイア

2009年の大病以来、月1回程度の更新ペース。クラシックに限らず、身の回りの事なども、気の向くままに書いております。

YouTubeで聴けるボリショイ劇場黄金期の<エフゲニ・オネーギン>

2018年12月24日 | 演奏(家)を語る
2018年12月24日(月)。天皇誕生日の、振替休日。今月、ひょんなきっかけから、YouTubeの動画をブログに貼り付ける方法を覚えた。各動画の画面下にある「共有」をクリックしてから埋め込みコードを呼び出し、それを自分のブログ原稿ページにコピペすれば完了とのこと。ああ、そうやればいいのかと、今頃・・・(苦笑)。で、新しい記事で早速何か載せてみようと思ったのだが、さて、どの音源を選んだものかと、しばし思案の思案橋。

結論。検索を通してたびたびアクセスをいただいているらしい<エフゲニ・オネーギン>を採り上げることにした。と言うのも、つい先日、当ブログ主にとって最高の<エフゲニ・オネーギン>全曲が、YouTubeに載っているのを発見したから。「<エフゲニ・オネーギン>の歴史的名演(1)」という過去記事の中で、当ブログ主が “ベスト・オネーギン”と書いていた、アレクサンドル・オルロフ指揮ボリショイ劇場管弦楽団、他による1948年の録音である。具体的な賞賛箇所については当該過去記事に記してあるのと、今回は論より証拠があるということで、この場で贅言を並べるのは控えたい。

時間的な都合などで全曲聴くのは無理という方は、第2幕の後半部分だけでもお聴きいただけたらと思う。オネーギンに決闘を挑み、死を覚悟したレンスキーが愛するオリガに向かって叫ぶ壮絶な「さようなら!」[1:44:17]、迫力に満ちた濃厚なボリショイ・サウンドが響く間奏曲[1:45:15~]、有名なアリア『我が青春の日々は、いずこへ』[1:48:38~]、そしてオネーギンの銃に撃たれてレンスキーが絶命する幕切れまでの、合計約17分。<ボリス・ゴドゥノフ>のユロージヴイを一番の当たり役にしていた名歌手イワン・コズロフスキーの、一世一代とまで言えそうな圧倒的名唱が聴かれる。

続いては、[2:01:38]から始まる第3幕がお薦め。タチヤーナを歌うエレナ・クルグリコワ(※ヴィシネフスカヤやミラシキナが登場する前の時代に活躍していた人)が「手紙の場」を持つ第1幕より、この第3幕の方で良い出来映えを見せているということ、重鎮マルク・レイゼンが歌う貫禄満点のグレーミン公が聴けるということ(※有名なアリアは、[2:12:39~])、そして第1幕の登場シーンからずっとオネーギン役で素晴らしい存在感を示してきたアンドレイ・イワノフの物凄い声「この恥、このタスカー(注1)、みじめな運命!」がラスト・シーンで聴けるということ・・これらが、その理由である。



―ところでレンスキー役と言えば、当録音のコズロフスキーとしのぎを削っていたもう一人の名テノール歌手セルゲイ・レメシェフが、長きに亘って同役の代名詞的な存在だった。ただ、当ブログ主の感想としては、複数の音声録音で聴ける歌よりも、こちら↓の映像に記録された物こそ、レメシェフ最高のレンスキーであると絶賛したい。声、歌唱、そして風貌と揃って、これはもう究極のレンスキーと言ってよい。オネーギン・ファンを自認する人は是非、見てほしい。



―最後に、もう一つ。当オルロフ盤で重厚なグレーミン公を演じているマルク・レイゼンは何と、90歳の時にも同役のアリアを舞台で歌っている。そのときの記録映像が、これ↓。凄すぎるだろ、この人。w



―今回は、これにて。

(注1)タスカー ・・・この言葉については、当ブログ2007年4月9日の記事『エフゲニ・オネーギンを巡って』に解説あり。
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